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太平洋の底で -帰路(8) [ シリーズ実況 Old..]

2年ぶりにあがってきた「電磁気観測所」は、いろいろと壊れているところがあって、
下船後、メーカーさんへ「入院」させねばならないが、それでもデータを取っていて
くれた。よかった。長い間、海底でがんばってくれた観測所よ、お疲れ様。
また2年前に一生懸命整備した研究者たちよ、お疲れ、ありがとう。
…っていうか自分自身だったりする。
2年たったけど、自分自身、あんまし変わってない。進歩もない。
いいのやら、わるいのやら。

さて日本に向かい始めてすでに道半ば。

低気圧が近づいてきて、海は荒れ模様になりつつある。甲板長が荒天準備をしている。
出港以来、船酔いしらずの研究者も、一人、また一人と、倒れていく
(船酔いでちょっと寝てるだけなので心配はない)
私も気持ち悪い。が、これは前の晩の打ち上げの酒が残っているだけである。

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太平洋の底で -ご対面(7) [ シリーズ実況 Old..]

さて、苦労して設置した装置「電磁気観測所」であるが、回収せねばならない。
いや、今回設置した電磁気観測所ではない。2年前に、設置していた観測所である。

つまり観測所を取り替えたわけだ。
・2年前に1台設置した
・今回、もう1台投入して、無人探査機「かいこう」で2年前の装置の近くへ移設
・1日ほど2台で並行観測
・2年前に設置した方を回収
こうすれば、2台の電磁気観測所の測定値にどれくらいズレがあるかわかるので、
観測所を入れ替えても、測定データにとぎれ目はない、というわけだ。

回収は自己浮上方式。
超音波で電磁気観測所に指令を送ると、重りを切り離して浮いてくる。
おっと、間違うなよ、2年前の方だぞ。今回おいた方に切り離し指令を送るなよ。
(こんな遠くまで何しにきたかわからなくなる)

浮上中のブリッジでは、電磁気観測所が水面に近づくにつれて緊張が満ちてくる。
電磁気観測所までの距離は超音波でわかるが、方位はわからない。

どこに船を持って行くか、船長が二等航海士に指示する。
水深5600mからの旅路。毎分30mずつ浮いてくるので、3時間以上かかる。
だが、結局浮いてきた場所は、船長の予想通りであった。
さすが!である。

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