フェイクニュースでは感染はとまらない

こんな新聞広告が話題になっている。

●「タケヤリで戦えというのか」宝島社が意見広告で政府のコロナ対応を批判
https://www.huffingtonpost.jp/entry/takarajima_jp_6099ee15e4b0909247fa0dec


　写真は上記のThe Huffington Postより。
　元の画像はこちら：https://tkj.jp/company/ad/2021/index4.html

広告によれば、
「ワクチンもない。クスリもない。タケヤリで戦えというのか。
このままじゃ、政治に殺される」とのことである。
言いたいことはわかるが、ツッコミどころ満載である。
・この写真、竹槍ではなくて、薙刀だ。
　→広告デザインの間違い：竹槍ではなく薙刀の訓練、
　　1941年撮影で太平洋戦争の開戦前（Yahooニュース）
　　https://news.yahoo.co.jp/byline/obiekt/20210512-00237426/
・ウイルスが人の顔になっている。なぜ戦うべき相手（ウイルス）が
　こちら側で一緒に薙刀を手にしているの？　いったい何と戦ってるの？
・そもそも私達はウイルスと「戦って」はいない。
　ウイルスからどうやって自分を、そして社会を「守るか」の日々だ。
・元となる写真があるようだが、この広告には出典はない。よいの？

上記の広告は、印象づけには成功したかもしれないが、もはやフェイクニュース
と言えるかもしれない。それを掲載する新聞社も、フェイクニュースに加担したと
言われても仕方ない。いやむしろフェイクニュースを率先して流している側か？
●「自衛隊のワクチン接種を民間に丸投げ」と“誤報”したAERA
https://news.yahoo.co.jp/articles/6c113fd4f450adba7fde0d559ed7da744018c641

信じてはいけない　民主主義を壊すフェイクニュースの正体 (朝日新書)

• 作者: 平　和博
• 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
• 発売日: 2017/06/13
• メディア: Kindle版

フェイクニュースの見分け方（新潮新書）

• 作者: 烏賀陽弘道
• 出版社/メーカー: 新潮社
• 発売日: 2017/06/23
• メディア: Kindle版

ウイルスの脅威はいま始まったことではない。
しかし、想定しうる未知のウイルスに対して予め準備をしておくことは現実的には
不可能だ。なので、薬やワクチンを用意するのには時間がかかる。今回も当初から
「最短で1年、2～4年かかるかも」と言われてきた。ワクチンについては予想を
上回る急ピッチで開発が進んだが、やはり種々の副作用で取りやめとなるワクチンも
海外では多数ある。あわててワクチンを打つことが、果たして正解なのか？
海外でのワクチン接種の経験をベースに、高齢者から順に、慎重にワクチン接種を
すすめる日本のどこが間違っているというのか？

また海外に比べて緩い経済制限下で、海外よりも感染者数の少ない日本で、
「ワクチン！ワクチン！」と切望する人は、単に自分自身の「安全・安心」
だけを考えた身勝手な行動とはいえないか？
むしろ、感染爆発している欧米やインドなどに、優先してワクチンを届ける
ことが、日本としての国際協力だと思えないだろうか？
「どうぞお先に」の精神である。

医療崩壊やワクチンをうつ医療者の不足も叫ばれるが、
下記のニュースを見ると本当だろうか？とも思う。
●まん防の最中　日本医師会・中川俊男会長が政治資金パーティーに参加していた
https://news.yahoo.co.jp/articles/590bd8807f1189004aa3f6711b8c98e8706736eb
●五輪組織委の公認スポーツドクター200人募集に応募280人
https://www.nikkansports.com/olympic/tokyo2020/news/202105110001116.html

報道各社は、むしろこのあたりのニュースをもっと掘り下げて、
なにが本当に足りないのか、どうすれば経済活動を保ちながら
より安全・安心に暮らせるのか？を報じるべきではないか？
おそらくは記者の多くが科学・技術に疎いこと、客観的にデータから事実を
紡ぎ出す分析力が弱いこと、センセーショナルな記事を書いてアクセス数を
増やすことが社会貢献だと満足していること、などが要因なんだろう。

・・・って、駄目じゃん。