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甘い汁は、いつまでも甘い [ 地球温暖化を学ぼう]

今日は大阪都構想(大阪市廃止・特別区設置)の投票日である。
大阪の未来は、大阪市民の投票で決まる。しかも賛否は拮抗とのこと。
「選挙とかに行っても、たかが1票やしなぁ、、、」
と嘆かずに、ぜひ投票に行こう!! 特に若者!

 osaka.JPG
   Osaka by Jennifer Morrow (protected by CC License)

しかし、賛成・反対のどちらに投票をすればよいのか??
人生は選択肢の連続である。重要な選択ほど悩む。
(今回は270万人が悩んでいるわけだ)
そんなときこそ、証拠や根拠が必要となる。情報に溢れた21世紀だ。
庶民の得る情報が限られていた20世紀と違って、その点はラッキー!
かと思いきや、20世紀よりも21世紀のほうが混沌とした世の中ではないか?

問題が難しくなればなるほど、証拠や根拠を集めるのが大変だったり、
結論の白黒がハッキリしなかったりする。そのすきを突いて、諸説が
入り乱れる。いわゆるフェイクニュースも、情報過多の21世紀だから
生まれたのである。

では私達は何を信じればよいのだろうか?

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海からの大量のCO2放出は無い(2) [ 地球温暖化を学ぼう]

前回の続きだ。下記の図1をみると、海から大気へ放出される二酸化炭素(CO2)に
比べると、人間が出すCO2なんて微々たるものだ、CO2増加は自然現象であって人間の
せいではないのではないか?なんて思えてくる。はたしてそれは正しいか?というお話。

キャプチャ.JPG
図1. 炭素循環の模式図(1990年代) (気象庁HPより)

じゃあ、この図の原図を確かめてみようというわけで、なんとか大元となる図が
見つかった。というか、廻り回ってたどり着いたのはIPCC第3次報告書だった。
 http://www.grida.no/climate/ipcc_tar/wg1/pdf/TAR-03.pdf
 ※Figure 3.1。下記はその一部。

 fig1.JPG
 fig2.JPG
図2. a) CO2の自然循環、b) 人為的なCO2放出

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海からの大量のCO2放出は無い(1) [ 地球温暖化を学ぼう]

あらためて今、地球温暖化問題に注目が集まりつつある。
きっかけはもちろん、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が最近、
地球温暖化に関する報告書をアップデートしたからである。
●科学からのメッセージ:IPCC第5次報告書が伝えること(4)
 http://www.kankyo-business.jp/column/007493.php

異常気象と人類の選択 (角川SSC新書)

異常気象と人類の選択 (角川SSC新書)

  • 作者: 江守 正多
  • 出版社/メーカー: 角川マガジンズ
  • 発売日: 2013/09/10
  • メディア: 新書


あわせて、東日本大震災からの復興が少し進んできて(+景気も上向いてきたので)
「地球温暖化にどう対応しようか?」という機運や懸念が再び高まってきているのだろう。
ただし御存知の通り、地球は複雑である。地球温暖化の正体やその対策を、明々白々に
示すことはとても難しい。

一方、その「科学的な限界」につけ込むがごとく、
「地球温暖化などウソまやかしだ」と吹聴する類には、私は不快感しか抱けない。

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CO2はどこから来たか?CO2に聞けば良い [ 地球温暖化を学ぼう]

前回の本連載「地球温暖化を学ぼう」では、大気中のCO2の増加は人為的なCO2排出と
密接な関係があると書いた。 → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-03-06
しかし、まだまだ疑り深い人がいるようで、上記記事にもトラックバックなどで
CO2濃度は自然変動の影響を大きく受ける」とご意見を送ってこられる方もいたりする。

はてさて、自然変動の影響はどれくらい「大きい」のだろうか?
ここはひとつ、空気そのものに出身地を訪ねてみよう。
そんなことができるのか? できるのだ。
二酸化炭素(CO2)と酸素(O2)が教えてくれるのだ。
(今日の記事は国立環境研究所の研究成果の紹介・解説です。本記事の末尾参照)

まず1999-2005年の6年間に、大気中のCO2濃度は約12ppm上昇しており、O2濃度
(ここでは酸素と窒素の比)は約25ppm減少したことが大気の観測から分かっている。
(ちなみに1 ppm =100万分の1の体積分率)
graph0.jpg
  図1:大気中のCO2(赤)及びO2(青)の観測結果
  毎年の変動ではなく、長期間に渡る変化に注目。

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CO2増加は人為的か自然変動か? [ 地球温暖化を学ぼう]

久々の温暖化記事である。このブログでの連載「地球温暖化を学ぼう」のキッカケは
地球温暖化論がホントかウソかを(感情論ではなく)、科学面からきちんと理解して
みましょう、であった。連載を通じて、私自身はある程度の知識が身についたし、
ここ数年は一般市民にも地球温暖化に関する認識が広がったので連載もお休み状態
であった。しかし去年くらいから再び「地球温暖化など無かった、まやかし」なんていう
人達が増えてきた。ならば温暖化連載も1年半以上ぶりに復活させねばなるまい。

手始めに「二酸化炭素(CO2)の増加が人間活動のせいか、自然の変動か?」について
改めて考えてみよう。これは以前の本連載で人間活動が原因である可能性が高い
ことを述べているが、疑い深い方がおられるようなのであらためて説明しよう。

まず人間活動によって放出されたCO2の量については次のような見積もりがある。
co2.jpg

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宇宙線では寒冷化しない [ 地球温暖化を学ぼう]

久々に地球温暖化関係のニュースをひとつ。
温暖化に直接関係するニュースではありませんが、興味深いニュースです。
●西暦775年に宇宙環境の大変動が起きていた(サイエンスポータル)
 http://scienceportal.jp/news/daily/1206/1206051.html
3531258945_59b2052c51.jpg
Yakushima HDR-12 By Kabacchi (CC Licence)

屋久杉の年輪を分析したところ、西暦775年に強い宇宙線が空から降り注いでいたことが
明らかになったそうな。775年というと、ナントウツクシイ(710年)とナクヨウグイス(794年)の
間だから奈良時代かな? その頃に(なぜかは分からないけれど)宇宙線が通常よりも
20倍も増加していて、過去3000 年の間で最大だそうです。

このニュースで話題になっているのは「なぜ宇宙線が増えたか?」その原因なのですが、
私はむしろ、その時の地球の気候のほうが気になります。というのは、宇宙線が降り注ぐと
雲がたくさんできて地球は寒冷化に向かうのではないか?と考えるグループがいるからです。

地球温暖化対策が日本を滅ぼす

地球温暖化対策が日本を滅ぼす

  • 作者: 丸山 茂徳
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2008/09/27
  • メディア: 単行本


この仮説が本当ならば、西暦775年頃に空は雲におおわれて、地球は寒冷化したはず。

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予測誤ったIPCC [ 地球温暖化を学ぼう]

※注(2014/05/19):下記記事ではAFP BBの記事(写真付き)の貼り付け機能を  使っていましたが、レイアウトが崩れるためテキストリンクのみへ変更しました。  (ソネブロさん、AFP BBの件、ご修正をよろしくお願いいたします)  

●「抜本改革が必要」、予測誤ったIPCCに国際検証委が勧告
 2010年08月31日 10:16 発信地:ニューヨーク/米国
 http://www.afpbb.com/articles/-/2752164?pid=6127650

こんなニュースが。
例の「ヒマラヤ氷河が解けてしまう時期」に関する誤りについてである。
●ヒマラヤ氷河の解氷速度の誤り認める、国連パネルが陳謝
 2010年01月21日 16:55 発信地:ジュネーブ/スイス
 http://www.afpbb.com/articles/-/2685225?pid=5209336

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1940~70年頃のプチ寒冷化の原因は? [ 地球温暖化を学ぼう]

前回の温暖化関連の連載で、1900年以降の気温の上昇トレンド(=地球温暖化)は
おそらくは近年の工業化に伴う現象であろうと書きました。でもよく見れば1940~70年
頃は気温が上がらず、むしろ下がり気味。

温暖化2.jpg
グラフ1:前回連載記事のグラフに加筆。
1940~70年頃のプチ寒冷化+その後の気温急上昇部を緑に塗ってみた。
今回は、このプチ寒冷化の要因を推理してみます。見た目は大人、中身は子供!

まずプチ寒冷化は北半球では顕著ですが、南半球ではそうでもありません。
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/an_wld.html
ということは、このプチ寒冷化は北半球に原因があると考えられます。

前回、長期的に地球の気温を変動させる主な要因は3つと書きましたが、北半球だけを
プチ寒冷化させそうなのは2)太陽光を反射する物質(氷・雪・雲など)の増減です。
1の太陽から届く光は北半球と南半球では同じですし、3の温室効果ガスのうち
CO2は北半球でむしろ増えています(こちら)。

「そんな証拠あるのか?」

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地球温暖化は自然現象なのか? [ 地球温暖化を学ぼう]

さて、前々回の温暖化連載記事で、「過去30年の気温上昇の様子は太陽活動の
変動では説明できない」と述べたところ、次のようなコメントを頂いた。

>何千、何万、・・・、何十億年と続く営みを、僅か数十年での矮小な差異を
>針小棒大に扱って否定できるものでは到底ないでしょうね。
----
>科学の法則というものは数万年前も数千年前も現代も成り立つものです。
>現代だけ別というのはあり得ません。

そこで今回は、いわゆる地球温暖化は単なる自然現象なのかどうかを考えてみたい。
結論を先に書くが(観測データもまだ足りないけれども)、地球温暖化はやはり近年の
工業化に伴う要因によるものではないか?と私は考えている。

新規作成_1.jpg
  「小氷期」は石油文明とは無関係な、自然現象だ。

まず人類が石油を大量に使い始める以前から気候は大きく変動している。14世紀半ば
~19世紀の寒冷な期間(=小氷期)はその代表例だ。地球温暖化もこのような自然の
気候変動の一部ではないか?という考えもあって、下記はその代表的論文である。

○赤祖父俊一, 気候変動への誤りのない適応のため:自然変動と人類活動の区別
 (黒潮圏科学, vol.2, p.179−182, 2009年)
 https://ir.kochi-u.ac.jp/dspace/bitstream/10126/1221/1/akasofukikou.pdf
赤祖父先生はオーロラ研究の第一人者である(同じ「黒潮圏科学」同号には
先生のオーロラに関する寄稿もあるのでそちらもあわせてご覧いただきたい)。
上記論文で赤祖父先生は、「地球温暖化は自然現象であり、1800年頃に終わった
小氷河期からの回復過程である」と主張されている。つまり、「異常に」寒かった地球が
温かい「正常な」地球へと戻る自然のプロセスを「地球温暖化」と呼んで、問題だと
騒いでいるのではないか?と言うわけだ。本当だろうか?

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温暖化の原因はCO2ではない、その証拠? [ 地球温暖化を学ぼう]

さて本連載ではここまで、温暖化とは何かを勉強してきた。ざっとおさらいすると…

 温暖化の定義から始まり、気温の上昇傾向は明瞭であること、二酸化炭素(CO2)は
 人為的に増えたことを述べ、CO2の性質と、温室効果の説明を行った。
 南極での温暖化や温暖化懐疑派論文の稚拙さホッケースティック論争などの
 温暖化関連ニュースを扱ったり、Q&Aコーナもあった。また2度に渡り(こちらこちら)、
 太陽活動の変動では現在の温暖化傾向を説明できないことも述べた。

と ここまで振り返ると、地球温暖化は人間が排出したCO2が要因!とも思えるかもしれない。
・・・しかし本当だろうか?
今日はちょっと目線を変えて、地表と宇宙での太陽光の観測データに着目してみてみよう。

まずは宇宙から地球を見てみると…
graph1.jpg
  図1(引用:Wielicki et al., Science, 2005)
  http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/308/5723/825

水色は地球が跳ね返す太陽光の強さ変化(2000年1月~2004年1月)。
だんだんと跳ね返す強さが小さくなっている(ちなみにオレンジ色は古い研究結果)。
模式図は下みたいな感じで、雲や氷など太陽光を反射するものが減少したためだろう。
radiation1.jpg
        ってことは地球は温まってないか?

----
次に地表へ目を移そう。

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再・太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない [ 地球温暖化を学ぼう]

270734599_6427586995.jpg
Solar eclipse partial phase and corona by RBerteig
(protected by CC License)

本連載で以前に「太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない」という
記事を書いたのだけれども、どうもまだ疑り深い人がいるようなので、
新しいデータとあわせて改めて「説明できない」ことを説明しよう(ややこしい)

さて昨年は太陽活動の低さが話題になった。例えばこちら。
弱る太陽 活動200年ぶりの低水準(2009年6月3日:asahi.com)
太陽活動の指標の一つである太陽黒点数の少なさは今も変わらない。
spot.jpg
図1:黒点相対数の変動(~2009年11月)。
ベルギーの研究所(SIDC)の提供データに基づき作図。
データ詳細はこちら(http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sunspot-number.png

もしも太陽活動が現在の地球温暖化の主要因ならば、地球温暖化の傾向=気温上昇の
傾向は衰えているはず。はてさて?

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温暖化データにトリック? [ 地球温暖化を学ぼう]

当方が米国出張中に、コペンハーゲンでは地球温暖化に関する会議が開かれていた。
米国のニュースでも大きく取り上げられていたが、基本的には物別れに終わったようだ。
●COP15、「コペンハーゲン合意」を承認 「留意する」との表現で
 2009年12月19日 21:38 発信地:コペンハーゲン/デンマーク
 http://www.afpbb.com/articles/-/2676676?pid=5064784

その一方で、(11月末ごろから話題になっていたが)温暖化を示すデータに
トリックがあったのではないかという噂が持ち上がっている。
温暖化データに「トリック」?研究者メール暴露(読売新聞)
上記記事は関係者からの電子メール流出が元ネタの様で、
”(地球温暖化傾向とは異なる)気温の低下傾向を隠すため「トリックを終えた」と米国の
研究者に送信したメール”等が含まれていたそうだ

私のところの学生も最近「温暖化はねつ造らしいですね」と言ってくる。ところがこの話、
実はもうとっくの昔に「疑惑」として知られているのだ。ちょっと解説をしておこう。

今回話題になっているのは、過去から現代までの気温変動の曲線である。
ondan.jpg
20世紀になってからの気温の急上昇がホッケーのスティックに似てるので、
「ホッケースティック曲線」とよばれている。例えば下記ブログにグラフが紹介されている。

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温暖化連載へのご質問 [ 地球温暖化を学ぼう]

温暖化の記事はさまざまな方からの反響が大きく、大変うれしいです。
(と同時に、専門家ではないのでお返事にいつも苦しみます 泣)
今回は当ブログのQ&Aフォームから頂いたご質問についてお答えすることにしましょう。
(本名書くのかな?さん、yaoさん、大変長らくお待たせいたしました)

Q1)1991年ピナツボ噴火の際のCO2減少問題をどのように説明するのでしょうか?
まずはじめに、1991年のピナツボ火山の噴火の際にCO2は減少していません。
CO2の増加傾向が1991~1993年頃まで弱っており、これが1991年のピナツボ噴火に
よるものではないか?と考えられているのです。その原因は、噴火による気温の低下
のようです。気温が低下すると、陸上生物や海から放出されるCO2の量が減るようです。
(吸収量が増えるといったほうがよいかも?)

しかしピナツボ噴火により大気中にばらまかれた「エアロゾル」(微粒子)が太陽光
を遮ったために地表温度が低下したのですから、噴火から時間が経ってエアロゾル
が少なくなってくれば気温は元に戻り、CO2増加傾向も元に戻ります。逆にいえば
CO2の増加傾向はピナツボ噴火の影響と関係なく続いているということでしょう。
(詳しくはこちらをご覧ください → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-07-13

3660169591_bba05c91e6.jpg
Amazing Sarychev Volcano - as seen from space
by Goddard Video and Multimedia (protected by CC License)
こちらは6/12に噴火した、北海道・千島列島の北方のサリチェフ火山。
宇宙から見ると火山の噴煙ってこんな感じに見えるらしい。

Q2)地球上いたるところに残る海進・海退の跡からは、少なくとも現在よりも気温の
上下0.000何℃という世界ではなく少なくとも±4度以上の変化があったようですが。

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この論文はリジェクトだ [ 地球温暖化を学ぼう]

私の連載「地球温暖化とエネルギー問題」の読者の一部は勘違いしているようだが、
私は地球温暖化が脅威だと言ったことは一度もないし、CO2が温暖化の要因だと言った
こともない。温暖化の真実を知りたいだけであり、温暖化問題懐疑派の槌田敦氏の話にも
耳を傾けている。その槌田氏、自身の論文が掲載されないからと気象学会を訴えたのだ。

●論文掲載拒否で精神的苦痛と提訴 日本気象学会に元大学教授(47News)
 http://www.47news.jp/CN/200905/CN2009052701000874.html
 (以下引用)「二酸化炭素(CO2)の増加が地球温暖化の原因」との通説をめぐり、
 因果関係が逆と唱えた論文の機関誌掲載を拒否され、精神的苦痛を受けたとして、
 槌田敦・元名城大教授が27日、発行元の日本気象学会(東京)に慰謝料100万円を
 求める訴えを東京地裁に起こした(共同通信)。」

掲載拒否(リジェクト)ということは「槌田氏が学会からの論文修正要求にちゃんと
答えることができなかった」ということを意味している(詳しくは"査読とは"を参照)。
それを訴訟を起こすとは、仮にも学者を名乗る者として恥ずかしい話である。
しかも、内容的にもこの論文の掲載拒否は当然の結果である。以下に解説しよう。

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南極も温暖化とのニュース [ 地球温暖化を学ぼう]

こんにちわ。週末ブロガーのMANTAです(この記事、土日に書きました!)。
いやー、もうちょっと更新しようと思ってはおるのですが、転職後、どうもいかんですね。
こんなペースではありますが、お許しくださいませ。

さて地球温暖化の連載の途中ではありますが、今日は地球温暖化に関する
興味深いニュースを4つほどご紹介しましょう。先に私の感想を書いてしまうと…
・南極も含めて、地球はこれまでは温暖化傾向だった。(これからは?)
・科学者も、CO2が温暖化の原因かどうか本当は理解できていない
・温暖化の様子や原因を衛星などを使って、きちんと調査する必要がある

まず一つ目は昨年の地球の平均温度について。
●2008年は史上8番目に暑い年だった、米国海洋大気庁(Technobahn)

観測史上"暑かった年ベスト10"のうち2001年~2008年が連続ランクインとなりました。
(元ネタはこちら) 昔に比べて、ここ最近の地球は温暖化しているんですね。
ただし、一番暑かったのは2005年なので、「地球温暖化はもうピークを超えた。これからは
寒冷化へ向かうのだ」という説も囁かれています。私も気になるところです。2008年は、
ラニーニャ現象のため(海水温が下がり)地表の平均温度が下がったとも言われてます。
ラニーニャ現象が終息した今年2009年は暑くなるのか?寒くなるのか?気になりますね。

----
次に南極について。かつて当ブログにコメントをいただいたとおり、「気温が上昇しない大陸」
として唯一例外であった南極。ところが最新の科学成果によれば、南極大陸もここ50年間は、
地球平均と同じ程度に気温が上昇していたことが判明したようです。

●<温暖化>南極大陸も10年ごとに0.12度 米大など分析
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090122-00000015-mai-soci
●南極温暖化の進行、衛星データから判明(National Geographics)

 ※地図あり。オレンジほど温度上昇が大きく、白は上昇量ゼロ。

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資料:地球の放射平衡の計算式 [ 地球温暖化を学ぼう]

※これは前記事「地球には温室効果が不可欠だ」に関連する資料です。
 前記事とあわせてお読み下さい。

以下に地球の放射平衡に関する数式を記す。下記資料に基づいている。
●東京大学先端科学技術研究センター 地球大気環境科学分野 近藤研究室
 先端学際工学専攻 先端物質デバイス論 講義資料(平成19年度、地球温暖化の項)
 http://www.atmos.rcast.u-tokyo.ac.jp/pdf/H19_Climate.pdf
●気象ノート:第5章 大気における放射
 http://homepage1.nifty.com/weather/yoho-note/yoho05.html

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地球には温室効果が不可欠だ [ 地球温暖化を学ぼう]

地球温暖化関係の連載記事の続きである。
随分間の空いてしまったが、これまでにこんな話をした。
頭を冷やすのは誰か?
地球は温暖化している
気温が上がって二酸化炭素が増えたのではない
太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない
二酸化炭素には温室効果がある

前回の記事では、ペットボトルの空気がどうやって暖められるかを書いたので、
今回は地球はどうやって暖められているかを考えよう。結論を先に書くと、二酸化炭素
などの温室効果ガスがあるために、地球は暖かく保たれている。

sun.jpg
(Microsoftクリップアートの「太陽」には楽しいイラストがいっぱいあるなぁ)

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二酸化炭素には温室効果がある [ 地球温暖化を学ぼう]

地球温暖化に関する科学的な理解シリーズ、まだまだ続けている。
そういえば今年の冬は寒かった。それをみて「地球寒冷化が来た!」と騒ぐ方々がいた。
そして今年の夏はすごく暑い。ならば「温暖化だ!」と騒ぐのだろうか?
ここで科学的に「地球温暖化とはなんなのか?」について考えて冷静に考えてみたい。
暑いんで頭が回らんけどね。

さて、これまでの記事はこんな感じである。
頭を冷やすのは誰か?
地球は温暖化している
気温が上がって二酸化炭素が増えたのではない
太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない

今回は二酸化炭素(CO2)の温室効果について考えてみよう。

教科書には「CO2は地球を暖める効果があります」と書かれている。
CO2はどうやって地球を暖めるのだろうか?
warm.jpg

物を暖める、あるいは冷ます方法は大きく分けて3つある。
 1)伝導(暖かい物に冷たい物を直接触れさせる)
   例:素手でヤカンを触ってやけどした
 2)対流(暖かい物と冷たい物を混ぜる)
   例:エアコンの冷風が部屋全体を冷やす
 3)放射(暖かい物から離れたところを暖める)
   例:電気ストーブの前はほんわりと暖かい
     でもあいだに誰かが割り込んできたら寒い
   赤外線などの電磁波が物体に吸収されるとその物体の温度は上がる。
   また暖められた物質からも、その温度に応じた赤外線などが放射される。
   ポットの内側が銀色なのは、ポット自身が赤外線を吸収しないための工夫だ。
   もちろん人間自身の体温によっても放射は起きている。
   サーモグラフィーはこの放射を利用した温度計測器である。

CO2は3つのうち、どの方法で地球を暖めるのか?
こういうのは簡単な実験で考えると分かりやすい。ここでは2つの実験を紹介しよう。

【実験その1】CO2や空気をいれた透明容器を暖めてみよう。
exp1.jpg

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太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない [ 地球温暖化を学ぼう]

さてサミットも終わってしまったが、そんなことは関係なく
地球温暖化に関する話題の続きである(その1その2その3)。

"地球温暖化懐疑論"なるものを見ていると、2つのグラフがよく紹介されている。
1つは「気温変化の後でCO2濃度変化が起きる」というグラフである。
この「Keelingのグラフ」には実は"手品の種"があることは以前の記事で解説をした。
もう1つは「地球温暖化は太陽活動で説明できる」というグラフである。

●Solar Activity and Climate

この最初のグラフがそれである。Fig.4にはより詳細なグラフもある。
赤色が太陽活動周期(太陽黒点周期とも言うようだ)。一般に太陽黒点数の増減は
11年周期と言われているが、よく調べると11年より長かったり短かったりする。赤色は
それを示しており、近年短くなる傾向=太陽活動が活発化していると言える。
黒色が北半球の平均地表気温の変化。太陽活動周期の変化と気温変化はそっくりである。

このグラフはFriis-ChristensenとLassenにより1991年にScience誌に掲載された。
ここでは2名の頭文字を取って「FC&Lのグラフ」と呼ぶことにしよう。

池田信夫氏のブログでも、このFC&Lのグラフは紹介されている。
●地球温暖化論のウソとワナ(池田信夫Blog)
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51294063.html
図2がそれであり、池田氏は「太陽活動の影響で、気温の変化はほぼ説明できる」証拠の
一つとしてあげている。

しかしこのグラフ、あちらこちらのサイトで紹介されているが、どういうわけか1980年以降の
グラフをみたことがない。続きがどうなっているか、ご存じだろうか?
ここにまたトリックがあるのだ。

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気温が上がって二酸化炭素が増えたのではない [ 地球温暖化を学ぼう]

さて前回の続きである。
地球温暖化の原因としては、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの影響が指摘されて
いることはTVなどで皆さんご存じだろう。たとえば、下記のサイトを見てお分かりのように、
過去40万年の南極の気温とCO2の濃度には、大変よい相関関係がある。

●Changes in Carbon Dioxide and Temperature (U.S. EPA)

図の右端でCO2濃度がグインと上昇している。

詳しく見ると1850年以降上昇しているようだ。
●過去250年間の大気中二酸化炭素濃度の増加の様子
 (東北大学大気海洋変動観測研究センター)
http://tgr.geophys.tohoku.ac.jp/observation/co2
「この割合なら、これから気温は10度以上上昇するのでは?」などと思ってしまう。

しかし相関関係があるからといって、CO2が地球温暖化の要因といえるだろうか?
最近面白い説がインターネット上を賑わしている。それは…
「CO2濃度の増えたのは人間活動のためではなく、気温が上昇したせいだ」

その一例をこちらにあげる。
●地球温暖化バブル(池田信夫 blog)
 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51294058.html

常識とは異なり、地球温暖化が起きたのでCO2は増えた、というのである。
本当だろうか?

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地球は温暖化している [ 地球温暖化を学ぼう]

前回の記事の続きである。
「1. 地球は本当に温暖化しているのだろうか?」について考えよう。
前回紹介した「池田信夫 blog」さんでは、最近約30年間の温度変化について
こう指摘されている。(” ”は記事からの引用)

●排出権取引に反対する(池田信夫 blog)
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51294741.html
 ”2007年に地表の平均気温が約0.6~0.7度下がったことを発表した。
  これは年間としては記録史上最大の低下であり、その後も続いている。”

また世界の主要な5観測機関の結果も示してこう指摘している。
●地球は温暖化しているのだろうか
 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51294141.html
 "公平にみて、この変動はランダムもしくは循環的であり、
  単調なトレンドを読み取ることはできない。"

しかし私には「公平に」みれば、気温は1980年頃から上がり下がりを繰り返しながら、
現在まで徐々に増加しているように見える。ここ30年間で0.5度程度の上昇であろうか?

前回の記事で書いたように、地球温暖化とは長期間の地球表面の平均気温・水温の増加
を意味しているため、この30年間で0.5度増加という長期傾向こそが「地球温暖化」である。
「2007年から気温が1度近く下がった」などという短期間(おそらく10年以下)の温度変動から
「温暖化というよりむしろ寒冷化ではないか?」というような議論は議論にすらならない。

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頭を冷やすのは誰か? [ 地球温暖化を学ぼう]

サミット開催中である。今日は主要テーマである”地球温暖化対策”に関して
北海道で議論されているはずだ。

●洞爺湖サミット きょう温暖化対策討議 長期目標どう米説得
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080708-00000079-san-pol

ネット上の各所でも温暖化対策賛成派と反対派が議論を戦わせている。特に反対派は、
・二酸化炭素排出量削減は温暖化抑制の効果はない!経済活動を阻害するだけだ!
・「地球にやさしい」なんて偽善だ!
・そもそも福田内閣が気に入らない!
などなどの思いから、どうやって二酸化炭素を「善玉」にしようかと躍起に見える節もある。

そういった政治・経済的な議論はどんどんやるべきだ。しかし、
・「地球の気温は実は上がっていないのではないか?」とか
・「二酸化炭素の増加は地球温暖化の原因ではなく、結果ではないか?」
といった、一部の科学データの”見た目”に基づく議論はもうそろそろやめてはどうだろうか?


Earth Egg by azrainman (protected by CC Licence

ここで地球温暖化対策反対派の誤った理解例を一つあげよう。
●温暖化懐疑論のまとめ(池田信夫Blog)
 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51294137.html

※先に断っておくが、私は彼のブログが好きである。書かれている情報の真偽は
ともかく、彼の文章の書きぶりが好きなのである。論点が整理されているからこそ、
あえて反論してみたくなるのである。

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