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祝!高校生が受賞 [▼研究実況 Now!]

スーパーサイエンスハイスクール(SSH)という学校が日本にはあります。
https://www.jst.go.jp/cpse/ssh/ssh/public/about.html
https://www.jst.go.jp/cpse/ssh/ssh/public/about.html

文部科学省から指定された高等学校などで、先進的な理数教育を実施したり、
高校生による科学的な調査研究を行うなどの取り組みをおこなっています。
SSH指定校は全国で200校以上にのぼります。各都道府県で平均して5校程度が
指定されています。
https://www.jst.go.jp/cpse/ssh/school/list.html

年に一度行われる「スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会」では
約200校の高校生が自身の研究成果を発表し、その頂点を競い合います。
すなわち「科学の甲子園」とも言えるでしょう

私は奈良県のSSH校の1つである、奈良学園高等学校の指導(運営指導委員)を
させて頂いていますが、同高校の高校生グループが、先日(8月20日)行われ
ました「令和3年度SSH生徒研究発表会」で文部科学大臣表彰を受賞しました!
なんとこれ、最優秀賞です!! そう、金メダルなのですっ!!!

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令和3年度スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会表彰校の決定について
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2021/0820ssh.htm

発表タイトルや発表時のポスターなどはこちらに公開されています。
●SSH生徒研究発表会で最高賞(文部科学大臣表彰)を受賞しました
 (奈良学園高等学校HP)
「校内サギソウ(Habenaria radiata)群落の送粉者の研究」
 https://www.naragakuen.ed.jp/news_event/001572.html

本研究は、先輩たちから実施してきた8年間の観察記録に基づいています。
この高校には里山があり、そこには奈良県の絶滅寸前種であるサギソウの
群落が発見されていました。長期間の観察と、この1年間の新たな試みが
高く評価されたのです。

----
本件について、私は高校生たちの研究内容そのものは指導していません。
他大学の先生もほとんど指導されていません。高校の理科の先生の
ご指導の元で、高校生たちが頑張って野外調査を行った成果です。
私は、発表会でのプレゼンテーション部分の指導を行っただけです。
また私以外にも、数名の大学の先生がプレゼン指導を致しました。

Poster.JPG
 ポスターはこんな感じでした(上記の奈良学園HPより)

8月4~5日がポスター発表、8月20日がオンラインでの口頭発表であり、両方
とも事前の発表練習に参加しまして、コメントをさせて頂きました。短い時間
ではありましたが、高校生自身が自分たちの研究を見つめ直し、一体何を発見
できたか考え直すキッカケにはなったかと思います。その証拠に、ポスターと
口頭発表のスライドはだいぶ違っています。発表形式の差もありますが、
高校生たちが工夫されたのだと思います。ちなみにスライドについては後日、
科学技術振興機構のページで動画で公開されるみたいです。
 ↓
https://www.jst.go.jp/cpse/ssh/ssh/public/sshevent.html
※上記は令和2年度のもの。

----
ところで私(や他大学の先生方)は、高校生の科学研究のプレゼンテーション
に対して、どんなアドバイスをしたと思いますか?
「大きい声でハキハキと」
「分かりやすく説明しよう」
そんな当たり前の指導は不要でした。
すでに高校生たちはそのレベルはクリアしていたからです。

私が高校生たちに繰り返しアドバイスをしたのは以下の3点です。
・これまでの研究で何が分かっていて、何が分かっていないかを明瞭に!
・今回の研究では、過去の研究を踏まえてどのような科学的な仮説を立てて
 どのように観察や実験を工夫したのでしょう?
・プレゼンでの情報量が多すぎる。もっと絞って(特に口頭発表では!)
この3つを同時に成り立たせるのは案外難しいのです。高校生たちは、先輩の
研究成果の上に、自分たちの研究を上乗せしています。なので、過去の話を
しないといけませんし、自分たちの話をする必要もある。時間にも限りがある。
最初のプレゼンはそのあたりが渾然一体となっていて、ゴチャゴチャしていました。
私はその交通整理の手助けをしただけです。あとは、生徒自身が情報を整理し、
自分たちの発見を自分たちで理解する必要がありました。これは偏差値などとは
また違った能力です。考える力、生きる力、とでも言えるでしょうか?
今回の受賞をみれば、彼・彼女らがその力を(部分的に)手にしたのは明らかでしょう。

高校生たちはこのコロナ禍で、また本番までの時間もない中、アドバイスに
従って非常によく頑張りました。いや、そもそも彼・彼女らの研究は昨年の夏、
つまり今よりもコロナウィルスの実態がつかめず、不安で大変だった頃の
野外調査に基づいています。サギソウは8月に花を咲かせる植物で、その時しか
この研究内容を実施できなかったのです。植物や昆虫の観察を、毎日毎日、
暑い中、雨の中、粘り強く野外調査を行った努力が全国的に認められたのです。

世の中、新型肺炎に負けそうな大人や子供がたくさんいる中で、
よくがんばりました。ほんとに良かったね! おめでと!!!
そして、そこには高校の先生方のサポートもあったことは容易に想像できます。
先生方、お疲れさまでした。

・・・さてと、生徒の皆さん。テッペンを取った次はどうする?
学術論文を書いてみる? 私はあいかわらず専門外ではありますが、
論文の書き方くらいは指導できますよ。英語論文だったら、世界へ発信だ!!
そして後輩の生徒の皆さん、先輩は頂点に達しました。
次はどうする??
What's next?
その気持ちこそが、科学なのです。
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MANTA

※動画がアップされていました!

令和3年度 スーパーサイエンスハイスクール生徒研究発表会
https://www.jst.go.jp/cpse/ssh/ssh/public/sshevent.html

by MANTA (2021-10-21 18:50) 

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