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ポンポン山はなぜポンポンなのか? [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]

京都と大阪の県境付近に「ポンポン山」という標高600mくらいの小山が
あります。

●ポンポン山って何がポンポンなの?高槻のポンポン山から見た枚方の景色
 https://www.hira2.jp/town/town-ponponmountain-20170708.html
https://www.hira2.jp/town/town-ponponmountain-20170708.html

ちょうどよいハイキングコースですが、名前が変ですね。
なぜポンポン山というのでしょうか? ちょっと考えてみましょう。

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山を登っているときに、足元の地面からポンポンという音がなるのであれば、
そこには空洞があるのではないか?と推測できます。

実際にそのような調査例が、福島県いわき市で得られています。
物理探査学会という学術団体は、2011年の東日本大震災の直後に、
いわき市で地下探査を実施しています。

地下を診る技術 ~驚異の物理探査~

地下を診る技術 ~驚異の物理探査~

  • 作者: 物理探査学会編著
  • 出版社/メーカー: 公益社団法人 物理探査学会
  • 発売日: 2014/10/05
  • メディア: Kindle版


●研究委員会報告 「いわき市における災害対応」(物理探査ニュースNo.11)
 http://www.segj.org/letter/news_no11.pdf
(以下は、このニュースからの抜粋)
"物理探査学会では、東北太平洋沖地震関連の緊急災害対応として、いわき市に
おいて物理探査手法を用いた調査を実施しています。(中略)
4月上旬に東北大学佐藤源之教授(当学会理事)のところへいわき市より、
「福島県いわき市の炭坑跡地において、地震に伴う地表の陥没と出水事故が発生し、
また地下浅部で地鳴りのような音が頻繁に発生していて多くの住民が不安を抱いて
いる。それらの原因について専門家の意見が欲しい。」という内容の相談から
始まりました。”

この地域ではかつては石炭が採れていて、坑道が多数残されてました。
地震によってこれらの坑道跡が崩れてきているのではないか?ひいては道路や
家が飲み込まれてしまわないか?そんな心配が震災直後が湧き上がったのです。

上記ニュースにあるように、まずは地震計を地域に設置しました。
観測記録と音の発生時刻を対比した結果、地鳴りのような音は、地震の揺れの
うちの高い周波数の成分が「音」として聞こえている事が分かりました。つまり、
余震の音であって、坑道跡が崩れて起きているというわけではありませんでした。
また道路の一部が破れて地下水が湧き出ていました。これも心配です。
そこで地中レーダを用いて付近の地下を探査したところ、地下浅い部分に空洞が
ありましたが、家や車が沈むほどの大規模な空洞はありませんでした。

GPR.jpg
 地中レーダを用いて、地下の3次元的な様子を透視。赤い部分が空洞と
 思われる箇所。深さは20~80cm程度と思われる。地表は平坦な空き地。
 以下より引用(加筆):
 高橋一徳, 劉海, 駒木野智寛, & 佐藤源之. (2016). 東日本大震災後の復興における
 地中レーダの活用事例. 物理探査, 69(3), 185-194.
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/segj/69/3/69_185/_pdf/-char/ja

以上は、新聞・テレビではあまり報じられませんでしたが、地下探査などを行い、
震災後の被災地の不安を少しでも減らす科学的な活動が行われていたのです。(※)

このような空洞の中で、地震の音などが反響して、地鳴りのように聞こえていた
可能性は考えられると思います。そうなると、ポンポン山にも空洞があったり
するのでしょうか?

次回に続きます。


(※)関連する学会発表の概要が下記にあります。2011年秋時点での速報です。
●物理探査学会第125回(平成23年度秋季)学術講演会
 http://www.segj.org/committee/gyouji/programView/viewProgram.php?event_id=32
 発表番号1~4んどを御覧ください。
1) 福島県いわき市での緊急災害調査の概要 [講演要旨]
2) 福島県いわき市での緊急災害調査
 -CSAMT法による湯ノ岳・藤原断層近傍の地下構造-
3) 福島県いわき市での緊急災害調査
 -高精度地中レーダを用いた地下空洞の計測-
4) 福島県いわき市での緊急災害調査
 -炭坑跡地での陥没及び出水災害箇所での浅部物理探査-


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