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自粛は続くよ、どこまでも? [▼連載【新型コロナウイルスと社会】]

前回から1ヶ月が経ってしまった。
新型コロナウイルスの感染拡大は、なかなか止まらない。
大阪の場合はこのような感じだ。
covid0.jpg
下記サイトの図に加筆。
●新型コロナウイルス感染症まとめ
 https://news.yahoo.co.jp/pages/article/20200207

「まん延防止等重点措置」と「3回目の緊急事態宣言」の間で大阪での感染拡大
のスピードは落ちてきているので、まん延防止…も無駄ではなかった。いまが
感染のピークだろうか? 5連休もあって、感染者数が減少に転じたか、
良くわからないが、今日夕方の新規感染者数でハッキリするだろう。

しかし今日の1日だけで「感染者が減った!」とはならないだろう。
皆それは分かっていて、最近の報道やSNSでは以下のような意見が目立つ。
・政府や学者、県知事などが適切な対策を練らないせいで、
 私はちゃんと自粛しているのに、こんな目に!!
・大阪・兵庫で感染が多いのは、変異ウイルスが関西空港から
 たくさん入っているため?! 空港はなにをしているのか!

しかし悪いのはウイルスだ。そして残念なことに、この夏・秋・冬、
そして来年の今頃も、その後も、感染拡大の波は定期的に何度でも
やってくるだろう。なぜか? 以下、大雑把に計算をしてみた。

covid1.jpg
  ちなみに先日、ある大病院で、看板を見かけた。
  (この写真は本記事にはあまり関係ありません)

1)まず、京都大学の山中先生によれば、終息のためには7~8千万人の
ワクチン接種完了が必要ではないか(のべ1億6千万回の接種)とのことだ。
●「ワクチン広がらないと来年今ごろ…」山中教授の指摘
https://news.yahoo.co.jp/articles/11934a61e545627b7cef624b97bc10bedb4a94f9
    ↓2)政府は年内に約1億人分以上のワクチンを確保する予定だが、、、
●Q.ワクチン供給の契約は?
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/qa/detail/qa_02.html#mokuji17
    ↓
3)肝心のワクチン接種には様々なボトルネックがあるようだ。
例えば山梨県甲府市では、65歳以上の高齢者の接種開始は6月頃、
接種終了は9月中旬以降だそうだ。最短で3.7ヶ月間はかかるらしい。
●高齢者ワクチン接種 「7月末」の根拠は 野党ヒアリング詳報
 https://mainichi.jp/articles/20210426/k00/00m/010/150000c
    ↓
4)甲府市の高齢者人口は約5万人、全人口は約19万人である。
●甲府市人口ビジョン【令和2(2020)年改訂版】
 https://www.city.kofu.yamanashi.jp/sesaku/senryaku/documents/bijyon.pdf
なので、甲府市では月平均で1万3~4千人分(5万人÷3.7ヶ月)のワクチン接種
が可能であり、甲府の全市民の接種には単純計算で約14ヶ月は必要だ。
14歳以下の子供の人口は約2万人だそうなので、
子供たちを除けば接種完了までは約13ヶ月となる。
    ↓
5)これを全国に拡大してみよう。
下記によれば、甲府市の人口10万人あたりの医師数は約350人である。
これは全国平均の約1.4倍だそうだ。
●山梨県 甲府市(地域医療情報システム:日本医師会)
 https://jmap.jp/cities/detail/city/19201
医師数の比率がワクチン接種期間にそのまま影響するとすれば、
全国民(子供を含む場合)の接種が終わるには、最短で14ヶ月×1.4倍
つまり約20ヶ月は必要という計算となる。山中先生の言うように
国民のうち7~8千万人の接種完了を目安とすれば、20ヶ月/1.3億人*0.75億人
つまり約12ヶ月必要だ。最短でも約1年間かかる。

covid2.jpg
  先の写真の続き。
  実際はワクチン接種の事前練習でした。

6)単純計算だが、仮に全国で6月から、高齢者のワクチン接種が始まったとして
国民の6割程度が接種を終えるのは早くて来年の5月末、全国民が接種を終える
のは、最短で再来年の1月以降というわけである。

ところで山梨県は感染を比較的抑えていて(山梨モデル)、医療に余裕がある。
医療体制が逼迫している都道府県でも、山梨県並にスムーズにワクチン接種を
行えるだろうか? さらに、東京ではオリンピックもあるのでは?
これらの遅延要素を加味すれば、山中先生が言うような十分なワクチン接種状態
となるのは、早くて(今年ではなくて)来年の秋、あるいは冬くらいか。
それまでは、この状況=感染が増えたり、減らしたりが続くと予想される。

これはまじで長期戦である。
イライラせず、いまを「日常」と思って暮らすしかない。
できることと言えば、マスクに手洗い。
そして感染しない・させない行動を各自が心がけるしかない。
「なんとか我慢して、コロナ禍を乗り切って」という言葉を度々聞いてきたが、
ウイルスとの長い戦いは、なんと、まだ折り返し点を超えていないのだ。

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MANTA

追記:
ある研究者による、ワクチン接種予約の実例。
https://www.facebook.com/100003071100753/posts/3601497303295938/
ネット予約にほぼ1時間。1名分だけなんとか予約できたそうな。
これで、この方在住の市の65歳以上高齢者のうち、6分の1の予約
だそうな。月1回5000人が接種するとして、高齢者だけで半年かかるらしい(全市民ならあと2年?とのこと)
by MANTA (2021-05-07 08:56) 

MANTA

ワクチン接種の速度はあがってはいるようですし、高齢者への接種を7月末には終えられるという自治体も増えているようですが、こんなニュースも。

●接種7月末完了と発表なのに「8月を勧められた」…100%でなくても「接種完了」とする自治体も
https://news.yahoo.co.jp/articles/cabe3287c2d20fd1e793fc890cebd4e7d3945a53

我々にとって重要なことは、政府が決めた期限を守ることではなく、いつ頃・どれくらいの人達がワクチンを摂取できそうか?という正しい予測なのですが。
by MANTA (2021-06-04 18:34) 

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