SSブログ

「日本人」とは、なんなのだろうか?(1) [ 科学コミュニケーション]

「日本全体を明るくするニュース」と言えば、スポーツの報道はその一つだ。
日本人のスポーツでの快進撃は、往々に大きく報じられる。例えば、、、
● 伊藤美誠がスウェーデンOP優勝、世界1位の朱雨玲を破る
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181105-00000004-jij_afp-spo
●【MLB】大谷翔平を新人王に選出した米野球専門誌「アンドゥハーは3位にも入らない」
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181102-00241275-fullcount-base

そして今年のスポーツシーンで忘れてはならないのが、女子テニスプレーヤー
大坂なおみさん。今年9月の全米オープン女子シングルスでは「日本人」初優勝を
果たしている。
USopen.JPG
US Open 2014 by Michael Vadon (protected by CC License)

ところで彼女は「日本人」なのか? 日本人であるが、現在はアメリカ国籍も
もっており、「アメリカ人」でもある。そして近い内に日本国籍を捨てて、
アメリカ人になるのではないかとも言われている。
日本国は二重国籍を認めていないからである。
●日本は大坂なおみの二重国籍を認めるべき!
 https://www.newsweekjapan.jp/pakkun/2018/09/post-40.php

日本でもこれを機に「二重国籍」を認めてはどうか?との意見が散見される。
一方でこんな意見もある。
●大坂なおみ選手は「日本人」ではない。
 なぜ、都合のいいときだけ「日本人」にしてしまうのか?
 https://news.yahoo.co.jp/byline/yamadajun/20180921-00097718/
この記事中では、ドイツ人との“ハーフ”の方のコメントを紹介している。
"日本人は都合のいいときだけハーフを日本人扱いするけど、それがいやです"

同様のコメントが下記でも見受けられた。
●城田優のハーフ国籍言及が話題 大坂なおみ例に日本の風潮指摘
 https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181018-00010012-jisin-ent
 (以下引用)
「良いときだけ『日本人初』って持ち上げるくせに、
 都合が悪くなったら『やっぱり外人だから』って言うんですよ」 

仮にである。大坂なおみさんが全米オープンで優勝していなければ、
このような二重国籍問題は話題にならなかったのではないか?
テニスファンは、大坂なおみが優勝したことを喜んでいるのか?
それとも「日本人」が優勝したことを喜んでいるのだろうか?

----
果たして、「日本人」とは一体全体、何なのだろうか?
ノーベル賞にしても、スポーツと同じような報道が目立つ。
例えば、先日亡くなられた下村脩先生。2008年にノーベル化学賞を受賞
しているが、受賞理由となった研究はアメリカで成し遂げられたものだ。
南部陽一郎先生(2008年ノーベル物理学賞)の研究もアメリカで行われた
ものだった。彼らの研究は日本国籍を所有した状態で行われたので、
定義上、日本人による研究ではある(なお、南部先生は受賞時には米国籍)。

2008年は小林先生・益川先生も受賞されたので「日本人4名がノーベル賞」
とあって、日本中が湧いた。確かに彼らの研究風土を育てたのは日本だろう。
しかし下村・南部両先生の研究を成功に導いたのはアメリカの大学や研究所
である。彼らは「日本人」としてノーベル賞を受賞したと言えるのだろうか?
このときにも、日本も二重国籍を認めてはどうかという議論が起きていた。
(関連記事)
https://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-11-06
https://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-10-08

そういえば似たような(しかし大坂選手のケースとは逆の)話題が
国会で争われている。明後日に続く。


nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。