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贈る言葉 [▼研究実況 Now!]

昨日が大学院の修了式でした。
大学入学から数えれば、修士の学生は6年間、博士の学生は9年間
よく自分を磨きあげたと思います。今日は彼らに対する贈る言葉を綴ってみます。

grad.JPG
 ご卒業(ご修了)、おめでとう!!

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…最近、高校生などに講義をするとき、私はある質問を投げかけています。
”君たちが普段やっている「勉強」と、「研究」の違いはなに?”
あるいは、言葉を正確に用いるならば、この質問は次のように言うべきでしょう。
”「学習」と「研究」ってどう違うか分かりますか?”

高校生の答えは例えばこうです。
「勉強はやらされるもの、研究は自分の好きなことを調べること」
すると傍らにいる高校の先生は頭を抱えます。
(高校の勉強も好きになってくれよ)と。
「勉強は本などで調べたり覚えたりすること、研究は実際に実験や観察すること」
と答える高校生も多いです。

これらの答えは間違ってはいませんが、私はこうだと思っています。
”「勉強」には答えが用意されているが、
            「研究」には答えは用意されていない”
喩えれば、解答の付いていない問題集で勉強するようなものです。
高校生にとっては「そんなのムリ!」ですね。そりゃそうです。
しかし、今の君たちならなんとなく理解できるでしょう。
君たちは答えのない問題に挑戦し、それをやり遂げたのだから。

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   嗚呼、学び舎よ。

高校生だけではありません。社会に暮らす一般市民の方々も「研究とは答えのない
問題を解くこと」という印象をあまりもっていません。一方で、世の中は正解のない
問題で満ち溢れています。世間の人々の大多数は、非常に漠然と
「この世の問題は誰かがなにかで解決してくれる」と考えている。

 いったい誰がガンの治療方法を編み出すのでしょう?
 いったい誰が低燃費の自動車を開発するのでしょう?
 いったい誰が石油や金属資源を探してくるのでしょう?
 いったい誰が地下水汚染の調査法を発明するのでしょう?

おそらくは研究で身を立てた人達です。おごる事なかれ。研究者は神ではなく、一人では
大したことはできません。多くの人達と苦楽を共にして、研究はやっと人達の役に立つのです。

君たちはそのスタート地点にようやく立ちました。
ぜひそのチカラを社会に役立ててください。
これからは自分の頭と足で、どこにあるとも分からないゴールを自分で設定し、
走っていかねばなりません。ぜひ颯爽と走っていってください。
そしてなにか困ったことがあれば、遠慮なく大学を頼ってください。
扉はいつもあいています。

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最後になりますが、これからいろいろと楽しいことや困難なことがあると思います。その時、
周囲の人達はいつも君たちのことを見ています。常に正しいと思うことを自信をもって
やってください。と同時に周りへの思いやりや、周りに頼ることも大切にしてください。
これらに共通する大事なことは、想像力です。
自分の未来を想像し、他人の未来を想像してみてください。きっと道は開けます。

「空想は知識より重要である。知識には限界がある。想像力は世界を包み込む。」
          アルベルト・アインシュタイン

これにて私の贈る言葉と致します。
ご修了、おめでとうございます。

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コメント 4

アヨアン・イゴカー

>研究には答えは用意されていない、
答えを探すのが研究、そして最初に見つけた人に栄誉が待っている(ことが多い)。
>「空想は知識より重要である。知識には限界がある。想像力は世界を包み込む。」
この言葉いいですね。早速、備忘録に書き写させて頂きます。
by アヨアン・イゴカー (2015-03-24 23:23) 

MANTA

>この言葉いいですね。早速、備忘録に書き写させて頂きます。
さすがアインシュタインですね。

原文はこちらのようです。
I believe in intuition and inspiration. Imagination is more important than knowledge. For knowledge is limited, whereas imagination embraces the entire world, stimulating progress, giving birth to evolution. It is, strictly speaking, a real factor in scientific research.
”Cosmic Religion : With Other Opinions and Aphorisms (1931)” by Albert Einstein
by MANTA (2015-03-25 08:57) 

アヨアン・イゴカー

原文も有難うございます。
早速こちらも書き写させて頂きます。
私は自分が感情を最優先する人間で、何か新しいことをやるためには論理よりも感覚・感情・ひらめき・好き嫌いに任せたほうがよいだろうと言う結論になりつつあります。
by アヨアン・イゴカー (2015-03-25 23:12) 

MANTA

ご指摘のとおりかと思います > アヨアン・イゴカーさん
何かに取り憑かれたかのような熱情や、大失敗・挫折からくる「コンチクショウ」
という気持ちがなければ、研究はうまく行きません。
感情と論理の両輪(バランス)はとても大事です。
by MANTA (2015-03-26 12:25) 

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