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ダメな科学者達(2) [ 科学コミュニケーション]

※下記には個人名がでてきますが、彼らの断片的な言葉に基づく私の主観的
 見解です。ホントはすばらしい科学者かもしれません。

さて前回、社会に役に立たないことを研究している科学者について書かせて頂いた。
自分の好奇心のみをあまりにも重視して、社会を無視した研究こそ美学、とまで
考えるようであれば、科学者としてちょっと無責任ではないか?という内容
であった。今回はその続き、「反省を知らない無責任な科学者」のお話である。

最初はこちら。
●池田教授が「アベノミクスバブルがはじける時」を予測〈週刊朝日〉
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20130427/asahi_20130427_0004.html
池田清彦氏は生物学者だそうな。なので、上記の経済予測の内容がどれほど
正しいかはここでは議論しない(実際、バブルは部分的にはじけたのだから、
あっていたとも言えるだろう)。問題は上記記事の末尾である(以下、引用)。
”ひとたび円が雪崩を打って安くなりはじめ、輸入製品が値上がりして(中略)、
 狂乱物価になれば、貧乏人は大変だ。そうなる確率は相当高いと思う。
 私は余命いくばくもないのでどうでもいいけどね。

テレビでもよく拝見する著名な科学者であるが、太字のコメントは如何なものか?
彼は65歳。早稲田大学の教授であり、国立大名誉教授でもあり、長年 教育学部で
教壇に立ってきた。その間、これまでの戦後日本の道のりに、幾ばくかの責務を
背負ってこられたのではなかろうか?

「まあ私はもう引退だ、君たちの世代は大変だね」という言葉、かつて別の教授が
発していたのを思い出した。それはある、大学改組の会議だった。自分たちのいる
大学という組織を変えることは、いわゆる最高学府の組織を変えることでもある。
侃々諤々。その会合の終わりがけに、その教授は「大変だね」と言った。
さりげない、ねぎらいの言葉のつもりだったかもしれんが、
あんたね、なんで大学の組織改革が必要だと思う?
あなた達の世代が作ってきた組織が、社会のニーズにあってないからじゃないの?
なのに「大変だね」とか「もう知らね」ってのは科学者・教育者としてあまりにも
無責任ではないか?あるいは、自分のやってきた事や作ってきた道を、自分の一言で
台無しにしていることに気づかないのか?
…と心のなかで思ったことを覚えている。

----
「反省を知らない無責任な科学者」の例をもうひとつあげよう。
4月末の鳥島近海での地震時に、ある科学者と以下のやりとりを行った。

@HayakawaYukio氏とは早川由紀夫教授である。このブログではご紹介済みだ。
(研究者のウソを見抜く方法 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2012-09-11-1 )
同氏は独自に放射能の研究を進めておられる、地質学者であり、教育学部の先生だ。
一方、先にこのブログで紹介したが、深発地震とか震源決定の精度の問題とか、
伊豆小笠原~マリアナ地域では海洋プレートの沈み込み角度が急である事などなど、
いずれも地学教育の基礎の「キ」であり、教育学部の学生は受講していて当然である。
教壇に立つ者がそれを知らず、「教えて」「なんだあんたも知らないのか」という
態度は残念の一言である。  ちなみに他の方とのやり取りではこんな感じ。

「ありがとうございます、調べてみます」 これが普通のやり取りである。
分からないことは最低限自分で調べてから、他人と有意義な質問や議論をするべきで、
科学者として必須の資質である(だから私は「はぁ、、、驚きました」とつぶやいたのだ)
ただし、彼は実は深発地震とかちゃんと知っていたが、最近流行りの炎上マーケティング
的手法でタイムラインをにぎやかにしたかっただけかもしれない(彼のように)。

余談だが、その数日後、こんなつぶやきが。誰あてのメッセージかは分からないが
上記の私とのやり取りを見ると、ご自身にそのままスッポリと当てはまっている。

少し長い悪口めいた記事になってしまったが、科学者は謙虚であるべきで、過去の自分が
大なり小なり携わった事に間違いや無知があれば、素直に反省し、現在や未来になすべき
責務への糧とするべきであろう。一方で、上記についての読者の感想はこうかもしれない。
「そんな些細なことで揚げ足とっても仕方がない。
 大学の先生達は本来、もっと自由闊達にやるべきではないか?」
しかし、そうもいかない理由があるのだ。その3へ続く。
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アヨアン・イゴカー

>私は余命いくばくもないのでどうでもいいけどね。
こういう発言は、公的な場では避けるべきだと思います。人間、死が訪れるまで現役で、常に社会の一員であるという事実からは自由ではないからです。スマイルズ『自助論』(三笠書房)にある”人格の力”が不足しているかもしれません。
アベノミクスに対する考え方については、インタビュー記事を読む限り、正しいようにと思いますが。
by アヨアン・イゴカー (2013-06-11 08:29) 

MANTA

アヨアン・イゴカーさん、同意します。
「どうでもいい」「教えて」などは、まるで子供のセリフですもんね。

”人格の力”も調べてみました。「すぐれた人格は絶大な影響力を持っ てい
る」
その通りです(と信じたい)。「自助論」も今度読んでみたいと思います。

ところで、先の解説文で池田清彦氏は、「マネタリーベースが増えれば
マネーサプライが増えて、インフレになって自動的に景気がよくなる」と言う
人々のことを批判してます。でも安倍政権はそんなこと、一言も言ってない
ように思うのですが? どうなのでしょう。

by MANTA (2013-06-11 18:36) 

MANTA

追記です。
●池田早大教授「福島に大麻特区を作って震災の復興費に充てたらいい」
 http://dot.asahi.com/wa/2014012400021.html
 (以下引用)
”大麻が儲かる産業ということになれば話は変わってくるに違いない。そうなった時、日本はどうするのか。ちょっと見ものだねえ。まあそれまで生きていればの話だけどね”

またこれです。「私は死んでるんで知らないよ」口調。
こんな大学教授がひとりいるせいで、研究者の信頼はガタ落ちだ。
早稲田大学の品格にもかかわるよ。
by MANTA (2014-01-28 08:14) 

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