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深海へ潜る(9) [ 海底鉱山]





前回の続きです。
今回私が探しているのは、熱水地域に特有の、金属成分を多く含む岩石。
写真1枚目は、一見するとただの岩ですが、どうやらこれが目的の岩石のよう
です。茶色く見えるのは表面が鉄で覆われているため。金属成分が錆びている
ようです。このような岩石は表面だけでなく、内側にも茶色の層が複数含まれて
います。おそらく熱水の噴き方の変化がそのまま記録されているのでしょう。

写真2枚目は、熱水マウンドの中腹。このマウンドの中腹でも、温かいお湯がじ
わじわとしみだして、ゴエモンコシオリエビなどが群れが暮らしています。
まるで植物のように「びっしりと生えている」という表現がぴったりです。
こういう場所などで岩石を採取して、洋上で観察や測定を行いましたが、
茶色っぽい岩石を触ると手が真っ茶色になります。鉄サビですね。
あと良く見ると岩石にはところどころに穴があいてました。たぶんかつて、
熱水が通った跡なのでしょう。

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ところで、レーダーもなければ、視界も10m程度しかない深海の世界で、
私たちはどうやって旅をできたのでしょうか? 驚く事なかれ、実は
紙の地図に自分の居場所を書きながら、あっちこっちに移動しています。
潜水船自身の位置は自分ではわかりません。なので母船から超音波で位置を決め
てもらって、水中電話(これも超音波)で「しんかい位置、X=〇〇、Y=□□」と
いうように母船から連絡してもらいます。
それを潜水船の船内で書き留めるのです。
カーナビはありませんし、かっこいいディスプレー表示もありません。
それでもパイロットは(まるで自分の庭を歩くかのごとく)目標地点へ的確に
潜水船を移動させていきます。海底をなめるように、海底から数十cmの高さを
維持しながら移動したり、時には急な崖を登ったり飛び越えたりしていても、
です。すごい技術!

でも近年の技術の進歩もすごくて、最近では潜水船自身が自分の場所を知る方法
も開発されています(DVLという装置を積みます)。近い将来、深海カーナビが
搭載されていて、液晶表示で海底の位置が表示されるかもしれません。それでも
深海カーナビが海底で壊れてしまうと迷子になるので、「紙の地図に書き写す」
作業は残るでしょう。それで構わないのです。これは海底の大事な地点を書き写
した記録なので、まさに「宝の地図」なのですからね。

写真4枚目は、潜水船内で自分撮り。こんな感じで行って参りました。
後に頂いた正式記録によれば潜航時間は8時間6分。うち海底にいた時間は
およそ6時間。楽しい旅路でした。また行ってみたいですね。

つづく。

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