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「はやぶさ」と科学コミュニケーション [ 科学コミュニケーション]

先ほどの記事の続き。今度は得られた成果とか、科学コミュニケーション面から。
科学コミュニケーションを考えるときに、「厳密さ」と「分かりやすさ」はいつも相反
するものです。(とは私はちっとも思いませんが、そう考える人は多いのでは?) 
はやぶさについても「擬人化が過ぎていかがなものか?と」いう批判があるようです。

●『はやぶさ』帰還の意義 (サイエンスポータル)
 http://scienceportal.jp/news/review/1006/1006141.html

たしかにフィギュアまで発売されてますし、、、
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1006/10/news066.html
雑誌も出てますけど、、、

現代萌衛星図鑑

現代萌衛星図鑑

  • 作者: しきしま ふげん
  • 出版社/メーカー: 三才ブックス
  • 発売日: 2009/06/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


まぁまぁ、ええやないですか。ちゃんと成果はあがってるんですから。そのうえで
「萌え文化」まで巻き込んで多くの人を惹きつけてやまないなんて、ええんとちゃう?
はやぶさの成果を挙げてみると、例えば先日のサンプルリターンの成功も素晴らしい。
これで宇宙から「帰ってくる」技術を身につけたのですから。これに先んずる昨年9月
JAXAさんは国際宇宙ステーションへ「補給機」を打ち上げるのに成功しています。

補給機と言っても、内部を1気圧&20度に維持できるようなので、もはや人が乗っていない
「有人宇宙船」ですね。サンプルリターンの成功と合わせると、日本は有人宇宙船の
打ち上げと回収技術を両方をこの1年間で会得したようなものです。それって、すごくない?
他にも科学的・技術的成果は山盛りですので、「よくやった!」でいいじゃあないですか。
それとも成功に対しても批判的なのも、気真面目な日本人の気質か?

----
その他、私が理解できる範囲でパッと目に着く成果を並べてみると。。。
●ついにたどり着いた小惑星イトカワが「ラッコ」だった件について(ASCII)
 http://ascii.jp/elem/000/000/529/529555/
 「お使い」に行ったイトカワの概要とか、プロジェクトの全般を関係者の
 インタビューに基づき紹介。これをよめば「はやぶさ」プロジェクトの全容
 を早分かり。(真田ぁ~ず、と言うのね。なるほど!笑)
 ※上記は連載で第3回。他の回も面白いよ。
●イトカワは中身がスカスカ
 http://www.isas.jaxa.jp/j/special/2008/hayabusa/13.shtml
 "特集「はやぶさ」がとらえたイトカワ画像"(JAXA:以下も同サイトより)
 小惑星の中の40%はスカスカらしい。どうなっているのか、
 ぜひ地下探査をかけてほしい! っていうか、やりましょか? (^^)
●イトカワにはクレーターが少ない
 http://www.isas.jaxa.jp/j/special/2008/hayabusa/08.shtml
 もっとたくさんあると予測されていたそうです。イトカワは若い?
 ※ちなみに知り合いが書いた文章です。元気かな?
●岩の塊がゴロゴロしてる
 http://www.isas.jaxa.jp/j/special/2008/hayabusa/05.shtml
 のっぺらぼうの地表と思ってたら意外と大きな岩が転がっていた。
 もっと大きな天体が壊れて、その破片でイトカワはできた?
●地すべりの跡も見える?
 http://www.isas.jaxa.jp/j/special/2008/hayabusa/03.shtml
 これまで観察された小惑星は、割と滑らかな表面だったのに、
 イトカワの表面には地球の地滑り地形とそっくりな地形も見える!
●宇宙でも風化してる
 http://www.isas.jaxa.jp/j/special/2008/hayabusa/10.shtml
 宇宙風化という現象があるそうですが、その様子も不均一らしい。
 表面付近の変動は意外に激しい??

以上が科学的成果。あと技術的成果としてはなんといっても「イオンエンジン」
でしょうか?作ったのはNECなんですね。その秘話が下記に書かれてます。
●イオンエンジンが起こした奇跡(NEC)
 http://www.nec.co.jp/ad/hayabusa/story/03/
有名な話が「こんあこともあろうかと」ですよね。
●イオンエンジンによる小惑星探査機「はやぶさ」の帰還運用(Make)
 http://jp.makezine.com/blog/2010/06/hayabusa.html
下記サイトには図があるのでどんな「裏ワザ」だったのか分かりやすいです。
●「はやぶさ」の危機に、真田ぁ~ず「こんなこともあろうかとッ!!」(ASCII)
 http://ascii.jp/elem/000/000/529/529648/index-5.html

しかし海底観測機器の開発経験からいえば、「こんなこともあろうかと」程度では余分な
回路や機能は付け足しません。余分な機能がなにかトラブルを引き起こす可能性は結構
あるのです。極限環境に送り込む装置は少しでも無駄を省くもんです。にもかかわらず、
そのようなバイパス回路を付けたのは、、、たぶん予感がしたんでしょうね。
「ここのパーツが駄目になる可能性は結構あるから、ここにバックアップ回路つけといたろ」
的な。ほぼ野生の感ですが、そういう嗅覚が危機を救う場面を私も何度か目にしました。

まあこれだけ成果があるんですから、擬人化くらいはよいのではないでしょうか?
いやむしろ歓迎すべきです。
科学好きなら思い出すことでしょう、こんな本ではじめて科学の面白さに触れたことを。

恐竜のひみつ (学研まんが ひみつシリーズ)

恐竜のひみつ (学研まんが ひみつシリーズ)

  • 作者: たかや 健二
  • 出版社/メーカー: 学研
  • 発売日: 1993/02
  • メディア: 単行本



星と星座のひみつ (学研まんが ひみつシリーズ)

星と星座のひみつ (学研まんが ひみつシリーズ)

  • 作者: 山梨 賢一
  • 出版社/メーカー: 学研
  • 発売日: 1992/05
  • メディア: 単行本


なので、前述の科学技術的成果についても、流れ星になった「はやぶさたん」に再度
登場いただいて、解説してもらうとよいかしら。ちょっと やりすぎ?
いや大丈夫だよ、森に帰ったはずの「モリゾーとキッコロ」もしょっちゅうNHKにでてるし。

モリゾーとキッコロ vol.1 [DVD]

モリゾーとキッコロ vol.1 [DVD]

  • 出版社/メーカー: NHKエンタープライズ
  • メディア: DVD


科学技術は、泣いて笑って、時に危機に瀕して、あるいは役立ったり儲けたり。
近年は最後の2つだけが強調されるように思いますが、科学技術って本来、
幅広い好奇心から生まれるものだと思います。
だから科学コミュニケーションは時には厳密に、時には分かりやすくでよいと思います。

おまけ:これも泣かせるねぇ。
http://drawr.net/show.php?id=1478887
事実、カプセル切り離した後に、1枚だけ、地球を撮影したもんね。おつかれさま・・・
●突入直前、地球を撮影 はやぶさ最後の1枚(47News)
 http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010061301000705.html
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HIROMI

 わたしもはやぶさが燃え尽きるときに、
「ずっとがんばってきたのにここで無くなっちゃうなんて、かわいそう!」
と思い、それを主人に言いました。すると主人は
「燃え尽きなかったら、落ちてきたらあぶないじゃん。」
と、何の感慨もない声で言いました。
うちの夫婦は方向が全く違うようです。
by HIROMI (2010-06-18 21:13) 

さなえ

日本のロボット技術が進んでいるのは鉄腕アトムのおかげだというのですから、擬人化して愛着をもつのは科学へ進む大きな動機付けになることは証明済み?のようです。お使いするはやぶさちゃんに感動して将来宇宙工学へ進む少年が続出しないとも限りませんよね。
by さなえ (2010-06-18 21:47) 

アヨアン・イゴカー

おまけのはやぶさたん、ほんとに泣かせますね。
人間は感動を糧に生きている生き物なのだと思います。
by アヨアン・イゴカー (2010-06-19 13:35) 

おおくぼ

萌えと言えば、こんな記事があります。

http://blog.goo.ne.jp/dongyingwenren/e/ae87491062fb8e43f0e6ae501d78256c
by おおくぼ (2010-06-19 22:43) 

MANTA

>「燃え尽きなかったら、落ちてきたらあぶないじゃん。」
>と、何の感慨もない声で言いました。
HIROMIさん、確かに!
一つの科学ニュースが感情だけでなく、成果の側面や、実用面・安全面等
いろいろな方面で話題となることは珍しいです。宇宙はやはり、人類にとって
一番のフロンティアと言うことかな?

さなえさん、聞いた話ですが、人型ロボットをこれだけ作ったりするのは、日本
くらいだそうですね(他の国は宗教的な制約などもあるそうです)。
今後は人型惑星探査ロボットが活躍する??
by MANTA (2010-06-20 10:22) 

MANTA

>人間は感動を糧に生きている生き物なのだと思います。
アヨアン・イゴカーさん、その通りだと思います。それをわざわざ否定して、
理由を付けないと科学的成果ではない!という必然性もないように思います。
科学はもっとピュア(+実用的)でよいのだと思っています。

おおくぼさん、中国でも話題になっているのですね。
>俺は、はやぶさに心動かされて泣いているのか。それとも、はやぶさを
>モデルにした二次創作に心動かされて泣いているのか。
という一文が気になりました。どちらなんでしょうね?

by MANTA (2010-06-20 10:28) 

すうちい

最後に1枚写真を撮ってたんですね。
よく戻ってきたので、鉄腕アトムの国としてはちょっと擬人化したくなっちゃいますよね。頑張った。
ただすぐ忘れ去られそうな気もして、ちょっと複雑。
by すうちい (2010-06-24 02:48) 

MANTA

>ただすぐ忘れ去られそうな気もして、ちょっと複雑
すうちいさん、それでもいいんじゃないですか? 一つの英雄よりも、こうして
しばしば科学が話題になるほうが重要な気がしています。

あとカプセルの中はやっぱり空っぽだったようですが、これから慎重に開けて
いくので、もしかしたら砂粒くらいは入っているかも? 秋頃の忘れた頃に
また話題になるような気がしています。
by MANTA (2010-06-24 08:39) 

春分

現代萌衛星図鑑はやりすぎだけど、つい買ってしまいそうな気もします。
擬人化や比喩は時々判断を間違わせますが、すこっちさんのマンガは
私はいまだに見ると泣けます。振り向いたところで泣けます。
by 春分 (2010-07-24 12:36) 

MANTA

春分さん、まあかわいい女の子に擬人化しているからよいわけで。
これが実際に開発や運用に携わったおっさ・・・いや研究者だったら、、、
自然哲学とは、多様な自然現象から抽象的概念を考える学問なのだ。
by MANTA (2010-07-24 14:54) 

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