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宇宙で金儲けなんて、できるものか。 [▼科学ニュース New!]

科学ニュースが続きます。ワイドショーもにぎわしていた、ママさん宇宙飛行士
山崎さんが国際宇宙ステーションから無事に帰還されました。帰還途中に燃え尽きて
しまったシャトルもあったんだから、無事に帰ってこれたのは本当に良かった!

●<山崎飛行士>優希ちゃん抱きつく 家族と15日ぶりに再会
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100421-00000021-mai-soci

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Happy Birthday ISS (10 years) by FlyingSinger
(Flickr CC licence)

帰ってきた、といえば、ついにヤツも帰ってきますね。
●はやぶさのカプセル、6月13日に地球帰還
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100421-00000023-zdn_n-sci
なんと、7年間、45億キロの宇宙の旅を経て、地球へ戻ってくると。凄いことですね。
私も過去に探査機「はやぶさ」関連の記事を書いてますね。2006年のことです。
→ こちら http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2006-06-18
あれからもう4年経ったのかぁ… 自分の4年間も振り返り、しみじみ。
ちなみに地表に戻ってくるのは小惑星イトカワの岩石サンプルを収めたカプセルのみ。
長旅を続けてきた探査機「はやぶさ」本体は大気圏で燃え尽きます。
詳しくは下記スライドをご参照ください。
●「はやぶさ」試料回収カプセルの再突入に係る計画について(報告資料)
 http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2010/0405.shtml
 「6.再突入飛行計画の概要」に、「はやぶさ本体消滅」の文字が…

とはいっても、カプセルの中は空っぽの可能性が高いです。小惑星イトカワ上で
岩石サンプル用の金属弾の発射には失敗しているらしいからです。
●はやぶさ、金属弾発射されず?(sorae.jp)
http://www.sorae.jp/031004/965.html
まあ世界で初めての小惑星からのサンプルリターン大作戦ですからね。
失敗して当たり前。もしかしたら何か入ってるかもしれないし。まさに玉手箱だ。

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こういった宇宙探査はお金がかかるけど、一国民としては、無駄なダムとか高速道路と
比べると許せます。ママさん宇宙飛行士が話題になろうと、小惑星の岩石サンプルが
帰ってこようと、それで日本が大儲けできるわけではない。でも人間は新しいことへ
挑戦する動物だと私は思うので、自分の代わりに宇宙というフロンティアに挑戦して
くれているんだな、ガンバレ、と思っています。

ところが、山崎さん帰還のニュースと共に、こんな記事も報道されています。
●ISS実験棟「きぼう」 運用延長へ問われる成果
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100421-00000065-san-soci
国際宇宙ステーション(ISS)にある、日本製の実験棟「きぼう」の維持費は年間で
約400億円だそうですが、国が募集した商業利用への応募はわずか2件だったそう。
「利用、利用と掛け声ばかりで、ビジネスにならないのではないか」だそうですよ。

でもね、そりゃそうですよ、だって、宇宙空間で如何に新しい発明ができたとしても、
それを商品化するには宇宙に工場を作らんとあかんのですよ! それで儲けになると
思う人がどこにいますか? そもそもの話で、「ビジネス」になるはずがない。
考えてみれば、ビジネスの世界では「投資」と「回収」という二大要素があるが、宇宙開発
はまぎれもなく前者です。「投資」は必ずしも短期間での利益を約束するわけではなく、
長期間で利益を生む場合も多々あることでしょう。いま宇宙で実験したことは、遠い未来
(宇宙世紀?)に役立つのでしょう。また「回収」はビジネスの世界では投資を上回る利益
(お金かそれに準じる資産をゲット!)ですが、宇宙開発の場合、どうでしょう?
人間の本能的な夢をかなえてくれる「幸せ」というのも、国家としての「利益」なのでは?

逆に国際宇宙ステーションの計画を進める時に、金儲けにもなる!と言った人が
いたのなら、その人には猛省を促したい。深海や砂漠などと比べても、「行く」ことに
爆発的に費用がかかる宇宙をビジネスの場に!というのであれば、国際宇宙
ステーションを使ってね(^^)と、ただ言うだけではなく、かなり手厚いサポートが
必要でしょう。(結局は短期の儲けにはつながらない)

国際宇宙ステーションの年間維持費400億円を国民で割れば、1年に500円とか
1000円の負担になるわけですが、それで宇宙の夢を味わえるんですよね?
だったら、缶ビールの本数を減らして応援しますよ。うん。

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  • 発売日: 2009/11/06
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※あ、あれかなぁ、事業仕分け第2段が今秋始まるから、それに向けての布石
 かなぁ(削る側の)。「事業仕分けをやるのなら、1年中やれ!」と以前の記事に
 書いたので、第2段自体は反対ではないけど、またパフォーマンスの匂いがする。
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2009-11-22
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コメント 4

テレマーカー

お久しぶりです。
現時点での宇宙関連は「開発」や「投資」で、「利益」なんてまだ先ですよね。
レアメタル掘削持ち帰りって言うのが出来れば可能性は在るでしょうが、まだこれだってハヤブサが7年越しで入っているかも判らないカプセル抱えてどうにか帰って来そうなレベルです。
レアメタルを確実に持って帰るレベルって相当ですから、50年とか、100年単位になる可能性も在る。とてもビジネス単位ではないです。
やって積み重ねないと進まない分野なんですから、将来の為に布石を打ち続けると言うのも国家の役割だと思うのですがね。(超深度掘削にしても)
そしてそれが成果としてではなく、結果として国を守る働きを有する事も在るような気がしますが・・・。
むしろ高速道路はビジネスとして需要と供給、サービスと利益のはっきりしたものですから、採算と言うのをしっかりと計算して運営すればいい。
同じ机上で議論する内容の物ではないですね。
by テレマーカー (2010-04-23 00:06) 

MANTA

テレマーカーさん、お久しぶりです。またコメントありがとうございます。
>レアメタル掘削持ち帰りって言うのが出来れば可能性は在るでしょうが
おお、「ルナ2」ですね。「ア・バオア・クー」でもいいです。
そうですね、お金儲けをしたいのであれば、それくらいのビジョンがないと
だめでしょうね。宇宙ステーションがありますよ、どうぞ儲けてください、では
難しいよういにおもいます。テレマークさんのおっしゃるように「国家事業」と
位置づける発想に賛成ですし、多くの国民はそう思っているのでは??
by MANTA (2010-04-23 20:54) 

LH2

どうもお久しぶりです。

>現時点での宇宙関連は「開発」や「投資」で、「利益」なんてまだ先
>いま宇宙で実験したことは、遠い未来(宇宙世紀?)に役立つのでしょう。

私もそう思いますね。宇宙開発はまだ実際役に立ちそうですが、理学系、とくに素粒子物理とか博物学などは、人類の知識を深め、謎を解明する、ところにこそ価値があると思います。

ただ、今まだ宇宙が利益を生み出していないか、というと、すでに多くの実利を生み出していると思います。。
たとえばBS,CSのような衛星放送、インテルサットなどは実際に宇宙を利用して利益を上げていますよね。
GPSもシステム自体は軍事目的のものを間借りしていますが、カーナビなど地上のビジネスを爆発的に成長させたように思います。

こうした技術も、宇宙開発が始まった当初「シンコム」や「テルスター」といった実験衛星をアメリカが打ち上げ、ビジネスの方向性を模索したからこそ花開いたわけです。(当時はまだスプートニクからたった数年、打ち上げ成功率も低くコストも高い中、なんとか未来の利益につなげたいとの思いで行われたんでしょう。)
なので、「宇宙で金もうけ」というのもあながち間違った路線ではないように思います。

>宇宙空間で如何に新しい発明ができたとしても、
>それを商品化するには宇宙に工場を作らんとあかんのですよ!
実際、ISSでの一番の目玉は、個人的にはたんぱく質の結晶化だったのではないかと思います。
たんぱく質を結晶化して、X線構造解析ができれば、新薬開発のための貴重なデータが得られます。
新薬は地上で開発・製造、宇宙は「たんぱく質の構造を調べる」という一種の研究所として機能させれば利益もかなり上がる、というのが当面の目算でした。

ただ、なんとその後ISSがじりじり遅れている間に地上でたんぱく質を結晶化できる画期的方法が発見されてしまい、コスト的に立ちうちできなくなってしまいましたが(汗)
http://venturewatch.jp/nedo/20060310.html

なので、地上でたんぱく質の結晶化ができる方法がもし発見されていなかったら、もしくはISSがこんなにすったもんだせずに早くに上がっていれば、利益が出るのも十分考えられたわけで、まんざら詐欺でもないんです。


まあ、そもそも「国が行うべき事業」というのは、まだ利益が上がっていないからこそ国が行うわけです。(BSなどは利益が上がっているので民間です)そこに「利益が上がっていないのが云々」と言われても困りますよね…。
by LH2 (2010-05-06 10:36) 

MANTA

>まあ、そもそも「国が行うべき事業」というのは、まだ利益が上がっていな
>いからこそ国が行うわけです。
LH2さん、コメントありがとうございます。まさにここに問題が凝縮されている
ように思います。すなわち「さあどうぞ」と民間に宇宙開発の場を提供する
だけでなく、そこへの道筋もある程度、国が付けないと民間は出て行けない
ということでしょう。

たとえば鉄・銅やレアメタルなど、どちらも国内にはさほどありません。海外の
鉱山開発を、日本が行う時代なのですが民間にはリスクも高く、重い仕事
となります。そこで海外の鉱山のポテンシャル評価を行い、外国との共同
開発の道筋を作る部分までは国(JOGMEC)が行い、そのあとは民間会社
が開発を行う事例が増えています。

宇宙も同様に国が導かなければ民間は手を出せません。むしろより予算を
付けないと、民間はいつまでたっても宇宙進出できないということを、文科省
の宇宙開発委員会や前原誠司・宇宙開発担当相は理解してるのでしょうか?
by MANTA (2010-05-08 11:31) 

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