太平洋の底で -海底観測所(4) [ シリーズ実況 Old..]
ROV「かいこう」のコクピット。モニターと計器類でいっぱいで目が回りそうだが、
パイロット達はこのすべての情報を目や耳で把握し、処理している。すごい。
そういえば、パイロットに潜水船を動かすのはどんな感じか尋ねたことがある。
「ヘリコプターを操縦する感覚に近い」そうである。
別のパイロットは、潜水服を「着る」感覚で操縦するらしい。
どんな分野も、やりかたはヒトそれぞれである。
さて着いた。太平洋の海底、水深5600m。
ソナーで海底を探ると、海底にそびえる目標物がくっきりと浮かび上がる。
距離130m。正面だ。
「かいこう」は海底からの高度を2m程度に保ちつつ、目標物に徐々に近づく。
100m… 80m… 50m…
30mを切る頃から、四分割のプラズマディスプレーにその姿が見え始めた。
高さ2mを超えるジャングルジム状の「海底観測所」。
この無人のプラットフォームの下には、1000mに達するかという深さまで掘られた井戸
が続いている。掘削孔だ。その孔の底の固い岩盤に、高精度の地震計が備え付けられて
いる。ここは世界でもきわめて珍しい、長期の海底地震観測所なのだ。
二年ぶりに見たその姿は、やはり徐々に錆びていっている気がする。
付着物も増えている。なにかの生物らしい。クラゲか?ゴカイか?
二時間程度、観測所のメンテナンスを終えて、「かいこう」はそこを立ち去った。
深海の静寂の中、ジャングルジムは今も海底に立ち続けている。
帰ってきた「かいこう」。おかえり。
格納庫から撮影してみた。
http://obem.jpn.org/field057.html
MANTAさん、洋上作業お疲れ様です。
ROVの操縦感覚ですが、私の場合は目標をソーナーで確認しながらじわじわ進んでいくことが多かったので、小型船を操縦するような感じでした。
上手な人だと画像のゆれだけでROVが今どのような状況かわかるらしいです。
ROVから見えない情報がケーブルを伝って、手先に届くとでもいいましょうか。
私が使っていたROVは、目標から50mも離れただけで近づくのは容易ではありませんでしたし、ソーナーの探知距離も50mがいいとこでした。
一番つらかったのは、北海道の真冬で、半日寒さに震えながらオペレートしたことですね。
船内でオペレートできるなんてうらやましいです。
by みきぱぱ (2007-06-19 09:24)
読んでいるだけでワクワクします!
by すうちい (2007-06-19 14:53)
えっと、国ごとによってかなり異なります。
以前に国際潜水艦救難組織のリエゾンをしていたときにその話が出ていましたが「(救難艇は大きいものが多いので)重たい重機のようだ」というのもいましたし、逆に「社交ダンスで女性をリードするような(繊細さが必要)」というのもいました。
結局はその国の事情や要員の受けた訓練、経験や感覚に寄ってしまうといったところでしょう。
by HMS (2007-06-19 15:56)
> 小型船を操縦するような感じでした。
みきぱぱさん、本職の方からコメントいただけると嬉しいです。
映像だけからケーブルの先のROVの様子を知る、まさに職人技ですよね。
すうちいさん、実際にはワクワクだけでなく、
見ているだけでもジワーッと手に汗をかきますよ。
この感じは、陸に上がったROVや潜水艇を見てもわかりません。
by MANTA (2007-07-02 08:51)
- HMSさん、凄いですね。 国際救助隊ですか!
日本人は社交ダンスにはたとえないでしょうね(笑)
各国の「ROVの操縦感覚」を一覧表にするとおもしろいでしょうね。
でもそれこそROV操縦に肝心なノウハウだから、みんな内緒にするだろうなぁ。
by MANTA (2007-07-02 08:53)