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緊急地震速報は命を救うか? [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]

乗船レポートが続いていますが、例によって例のごとく(?)レポート終了前に下船して
しまいました。あと2回くらい続きますが、下船して早々、能登半島地震が起きました。

●能登地方で震度6強、1人死亡・191人重軽傷
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070325-00000005-yom-soci

犠牲者の方は石灯籠の下敷きになられたそうです。あれだけ家屋が倒壊していても家屋の
中で亡くなられた方はおらず、火災もおきなかったのに… ご冥福をお祈りいたします。

地震起きたとき、私は中部地方の某大学で会議に参加していました。そこには緊急地震速
報の端末がありました。「緊急地震速報」とは、気象庁が2004年2月に試験運用・配信を
開始した新しい地震情報です(このブログでも取り上げたことがありました)。本震のときは
端末前にいませんでしたが、余震のとき緊急地震速報の詳細を見ることができました。
全国に展開している地震計のデータを即時に解析して、ある場所に地震の揺れが到達
する前に予想震度と到達までの時間などを配信します。


 こんな感じ(イメージ)。とっさのことなので写真を撮れる
 わけもなく、記憶を元に描いてみました。

地震が起きるとあと何秒で揺れがやってくるか、予想震度はいくらか、が表示されると共
に、地図上には押し寄せてくるP波(黄)と強烈な揺れを伴うS波(赤)が表示されます。
途中の観測点の揺れの様子もラジカセの音量メータみたいに表示されます。

私のいた某大学は震源から遠く幸いにも揺れなかったため、緊急地震速報に対してどう
心構えをすればよいか、なんとなく分かりました。今年の中頃から、一般へも緊急地震
速報の利用が解禁さるようですが、揺れの小さな地震でこのような「訓練」を何度かつむ
ことができれば、「地震の前の数秒で何ができるか?」という個々人の疑問は解けるので
はないかとおもいます。

ただし…震源付近では緊急地震速報は間に合いませんでした。
●緊急地震速報、能登沖地震の震源近くでは間に合わず
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070325-00000012-yom-soci

これは以前から言われていることです。震源付近では地震が発生してから揺れが到達する
まで時間がなさすぎるので速報が間に合わないのです。いまの緊急地震速報では、震源か
ら離れたところの交通機関や高速道路・工事現場・人の密集地(繁華街)などで怪我を減
らすことはできても、肝心の震源付近の死者や重症者を減らすことはできません。私のいっ
た「訓練」も「本番」の役には立たないのです。そうなると強烈な揺れを伴うS波よりもちょっと
早く来るP波を感知して自動的に人を守る装置を作るしかないですが、そんなものができる
んだろうか?

いまやれることがあるとしたら、天気予報ほどでないにしても、せめて1年ごと、できれ
ば月毎にどの地域の地面にひずみが溜まっていて、地震が起きそうかを予報することでしょ
うか?近年のGPSや高精度地震計などの観測結果と、断層の掘削サンプルを用いた実験、
さらに数値計算を組み合わせれば、できないこともないとおもいます。
早くて10年後のお話でしょうか…

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とはいえ、この地域でこんなに大きな地震が起きると予測した研究者は一人もいませんで
した。このブログで「電気で地震予知」などという連載をしている私自身、強い虚しさを
感じます…


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MANTA

追記です。下記に緊急地震速報の端末の画像がありました。
●平成19年(2007年)能登半島地震(京都大学 防災研究所)
 http://www.rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp/NOTO/
「資料・報告等」をご覧下さい。
by MANTA (2008-04-13 12:45) 

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