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研究所から返事が来た! [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]

前の記事の続きです。

質問メールを出してから5日目、「たぶん来ないだろう」と思っていた
放射線医学総合研究所さん(以下、放医研さん)からお返事が来ました。
下記にいただいたお返事を記します。一見ぶっきらぼうのようですが、これは頂いた
メールの添付ファイル部分(当ブログで公開可能とされた部分)で、メール本文は
もっと丁寧な文面でした。

Date: 2007年2月7日
Subject: 放医研プレス発表に関するご質問の件

標記の質問に関して検討させて頂きましたが、匿名性の高いホームページに公式の見解を出すことは不適当と考えましたので、本ホームページ上では事実関係のみをお答えしたいと思います。なお、共同研究者の見解を含む回答は、本ホームページの管理者「海の研究者」様宛に直接送信させて頂く予定です。下記の回答の詳細に関しましては、本ホームページ上ではなく、個人的に(所属等を明らかにした上でプレス発表資料に記載されている連絡先に)お問い合わせ頂ければ、いつでも回答する用意があります。どうぞご了承頂きたく、よろしくお願い致します。

質問1
本プレス発表は、昨年発行された下記の論文に基づいております。
Y. Yasuoka, G. Igarashi, T. Ishikawa, S. Tokonami, M. Shinogi, "Evidence of precursor phenomena in the Kobe earthquake obtained from atmospheric radon concentration." Appl. Geochem. 21, 1064-1072 (2006).

質問2
本質問に関しては、関連する論文を下記に示します。
Wakita, H., Nakamura, Y., Notsu, K., Noguchi, M., Asada,T., Radon anomaly: a possible precursor of the 1978 Izu-Oshima-kinkai Earthquake. Science, 207, 882-883, 1980.
Wyss, M., Second round of evaluations of proposed earthquake precursors. Pure.Appl.Geophys.149, 3-16 1997.
UNSCEAR:United Nations: "Sources and Effects of Ionizing Radiation. United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation, 2000 Report to the General Assembly, with Annexes", United Nations publication Sales No. E.00.IX.3. New York 2002. (p99 段落100)

質問3
本ホームページ上でも指摘があったとおり、当研究所では基本的に「独立行政法人 放射線医学総合研究所 中期計画」に記述されている趣旨に沿った研究をしております。また、当研究所のホームページにも研究内容が紹介されております。

※洋上出張などありましたので、頂いたメールの公開が遅くなりました。> 放医研さん
 何卒ご容赦ください。また先の関連記事(その1その2)についても、随所に追記を
 いたしました。

まず、こんな一個人のブログからの質問へ、研究所さんから公式に回答いただけたことに
感激しました。お答えいただいた放医研さんの関係者の間ではいろいろとご議論も
あったことでしょう。お忙しい中恐縮です。ありがとうございます。

では頂いた回答を順に見ていきましょう。

質問1は「阪神大震災から10年たってなぜいま発表なのでしょうか?」でしたが、すでに
論文として発表されているそうです。過日の放医研さんのプレス発表資料にはそのことが
かかれてなかったため、私の記事は酷い批判口調になってしまいました。知らなかったと
はいえ、この点お詫びせねばならないです。ごめんなさい。

質問2は「大気中のラドン測定と、地下水のラドン測定はどう違うのでしょうか?」でし
たが、放医研さんからご紹介いただいた文献をざっと拝見した限りでは、大気のラドン濃
度異常の報告例は大変少ないようです。また大気のラドン濃度測定は自然環境モニターの
ために、最近(1980年頃から)行われ始めたようです。比較的新しいんですね。
●Q6 1) 自然に存在する放射性物質ラドンって? (日本の環境放射能と放射線)
 http://www.kankyo-hoshano.go.jp/qa/qanda.html
地下水のラドン測定との比較や地震との対比など、まだまだこれから!といったところ
でしょうか?

質問3は「貴研究所では、今後新たな研究項目として開始されるのでしょうか?」でした
が、上記の回答でははっきりしません。中期目標の研究対象には「環境」が含まれてます
ので、ここに地震予知も含む、ということでしょうか?ただ地震予知に対しては、具体的な
目標や研究内容は明記されていません。
私見ですが、大気ラドン測定の新しさを考えると、「放射線と自然環境変化の
研究」の一環ということで、新たに「地震と大気ラドン」の研究を位置づけようとされている
のでしょうか?今後の展開次第では、大きな研究テーマとなるのかもしれませんね。

ただ、2つだけコメントをします。
質問1でお教えいただいた論文はどうも2006年の夏頃に出版されているようです。
そのときにプレスリリースされず、1月17日にされるのはいかがなものかと…
たしかに効果的な日ではあったとは思いますが。

あと、ラドンを測るだけでは地震予知はできないと私は考えます。
なぜか…それはラドン測定で予知ができなかったケースがあるからです。
詳細は、連載「電気で地震予知 ~地震予知をする方法(2)」(仮題)で紹介しましょう。
たぶん今週末くらいにUPするとおもいます。
お楽しみに?

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上記のメール以外にも、研究者としての私宛にメッセージを頂きました。ここには書けま
せんが、大変興味を持ちました。せっかくの機会ですので、イチ研究者としてもう少しメー
ルをやりとりさせていただこうかなと思っております。こっからさきはビジネスですから、
ナイショね(^^)


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honyapin-turedure

お返事いただけてよかったですネ♪・・・読んでて気持ちがあたたかくなりました(^^)
新たなご縁がすばらしいものになりますよう!
by honyapin-turedure (2007-02-23 21:19) 

MANTA

- 研究者は自分勝手で人の意見など聞かず、社会との接点など
無視し気味のように思われがちですが(実際そういう人もいますが…)、
こうして個人からの変な(批判的な)質問にきちっと答えてくれる
研究者や研究所もいる、ということはありがたいですね。
新しい縁になるかどうかわかりませんが、人とのつながりは大事に
したいと思っています。
by MANTA (2007-02-24 13:05) 

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