SSブログ

大阪北部地震、まだまだ油断大敵 [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]

先週の大阪での地震、ちまたでは「大阪北部地震」などと呼ばれています。
発生から1週間たち、地震騒ぎも少し落ち着いてきましたが、
大阪府を中心に住宅被害は1万軒を超えているようです。
あらためまして、被害に合われた方にお見舞い申し上げます。
●大阪北部地震、近畿の住宅被害1万棟超 「一部損壊」が大半
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32270410W8A620C1000000/

今回の地震ですが余震の発生回数は激減していて、震度1以上の余震は
6/24(日)以降は発生していません。
●大阪北部地震 3日連続で体に感じる余震なし
 https://weathernews.jp/s/topics/201806/260125/

「もう安心かな?」と思う方もおられるかもしれませんが、
むしろこれからが本当に注意が必要なのです。その理由がこちら。
fault.JPG
これは、6月18日の大阪北部地震の際の活断層の動きを模式化したものです。
私自身が作成しました。黄色が本震の位置です。本震発生時にまず、青色で
示した活断層丸1がずれ動き、その直後に緑色で示した活断層丸2がずれ動いた
ようです。丸1は逆断層、丸2は横ずれ断層であり、かなり複雑です。
※正断層・逆断層・横ずれ断層
 https://www.jishin.go.jp/resource/terms/tm_fault/

※2つの活断層が動いた証拠=余震活動分布
 2018年6月18日大阪府北部の地震の評価(地震調査研究推進本部)
 https://www.static.jishin.go.jp/resource/monthly/2018/20180618_osaka.pdf
 この6~7ページ目をみると、逆断層型の余震が本震の北側に、また
 横ずれ断層型の余震が本震の南西側に分布しており、それぞれ面状の余震
 分布を形作っている。
※活断層丸1が動いてから丸2が動いた証拠=本震時の地震動
 2018年6月18日午前7時58分頃に発生した大阪府北部の地震について
 (SDR Report #51
 この資料の図4では、地面は最初に上方向に突き上げられた後に、東方向へ
 大きく揺すられている。活断層丸1がずれてから、2秒ほどあとに丸2がずれた
 と考えれば、この揺れの様子をよく説明できる。

----
以上は私見ではありますが、遠からずと思います。
このような複雑な活断層のずれは、今回が最初ではありません。
例えば新潟県中越地震(2004年)、熊本地震(2016年)は活断層が交差する
場所で起きており、地震発生の様子は複雑でした。またこれらでは、最初に
発生した地震よりも、規模の大きな地震が後に発生しています。

今回の大阪北部地震も活断層の交差点のような場所で起きています。
osaka.JPG
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20180621002619.html より)

本震は「有馬-高槻断層帯」と「生駒断層帯」の交わる辺りで起きていますが、
前述の活断層丸1は地下で傾斜しています(東落ち45度で傾斜)。ですので、
おそらくは「有馬-高槻断層帯」と「上町断層帯」が地下深くで交差する場所の
近くで、今回の大阪北部地震が発生したのだと思います。

大阪北部地震後の大きめの余震(6/19、6/23)は、活断層丸1で起きているよう
にも見えますので、上町断層帯の今後の様子が気がかりです。
●平成30年6月18日07時58分頃の大阪府北部の地震について(第4報)
 http://www.jma.go.jp/jma/press/1806/25b/kaisetsu201806251400.pdf 
 ※3ページ目。領域a内の断面図(C-B投影)

上町断層帯は、数ある活断層の中でも要注意断層の一つです。平均的な大地震
の発生間隔は8000年程度ですが、最後の地震発生は約9000年前(あるいは
それ以前)と言われているためです。詳細は下記や、拙著をご覧ください。
●上町断層帯(地震調査研究推進本部)
 https://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/rs_katsudanso/f080_uemachi/

(140)日本列島大変動: 巨大地震、噴火がなぜ相次ぐのか (ポプラ新書 こ 3-1)

(140)日本列島大変動: 巨大地震、噴火がなぜ相次ぐのか (ポプラ新書 こ 3-1)

  • 作者: 後藤 忠徳
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2018/04/10
  • メディア: 新書


とはいえ、いったいいつ、次の大地震が大阪を(近畿地方を)襲うのかは、
全くわかりません。明日か、明後日か、1ヶ月後か、1年後か、10年後か。
100年後かもしれません。一部では「6月○日に大地震が大阪を襲う!」という
予言が出回っていたりしますが、まったくのデマです。

前回に当ブログでも書きましたが、南海トラフ巨大地震発生の50年ほど前から
西日本では地震活動が増えることが知られています。
●【コラム】南海トラフ巨大地震の前に内陸の地震活動は活発化するのか?
 http://www.jamstec.go.jp/j/jamstec_news/20180622/
今回の地震をきっかけとして、
・もよりの活断層はどこにあるのか?
・活断層の危険度はどれくらいなのか?
・自宅の地盤は強いのか、弱いのか?
などを調べておいて、「その日」に備えておくべきと思います。
上記の拙著に、調べ方を詳しく書きましたので、役立ちましたら幸いです。
あるいは下記ページをご参照ください。
  ↓ ↓ ↓
http://obem.jpn.org/poplar/ref.html
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:学問

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。