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メモ(2):昨日の長野県南部の地震 [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]

先程の続き、昨日起きた長野県南部の地震のメモです。

3) 今回の地震に似た地震が、ほぼ同じ場所で起きている。
地震の関係者は、今回の地震を見て、1984年長野県西部地震を思い出すでしょう。
あの時は大規模な地滑りで死者が出ました。私も「早くヘリを飛ばして王滝村とか
開田村(現木曽町)で地滑りがないか見て!」と祈りました。今回は前回と比べて
地震の規模がずっと小さかったためか、被害は少なかったようです。ヨカッタ。
震央.JPG
 平成29年6月25日07時02分頃の長野県南部の地震について(気象庁)
 http://www.jma.go.jp/jma/press/1706/25a/kaisetsu201706250900.pdf
 ・1984年(前回)=マグニチュード6.8
 ・2017年(今回)=マグニチュード5.7
(ここでクイズ:マグニチュードが1つ小さくなると、揺れのエネルギーは何分の1?)
ただ、今回の地震の震源は火山の近くです。火山の近くでは岩盤(地殻)の強さが
まちまちなので、複雑に歪が溜まると考えられています。今後、より大きな地震が
起きる可能性もありますから、数日は注意が必要でしょう。
なお1984年のときの被害の様子は、下記のNHKサイトで動画で見ることができます。
わずか2~3分の動画ですので、見てみて下さい。
●長野県西部地震 (NHK名作選、NHKアーカイブス)
 http://cgi2.nhk.or.jp/archives/tv60bin/detail/index.cgi?das_id=D0009030192_00000

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4) 長野市と京都市の震度が同じ??
今回の震度の分布をみると、おかしな点に気づきます。
(家内に指摘されました)震度.JPG
 気象庁Webサイトより
 http://www.jma.go.jp/jp/quake/3/20170625070644395-250702.html

長野市も京都市も、地震の揺れは強さは「震度2」。
あれ? 地震の震源からの距離はぜんぜん違う(長野市のほうが京都市より
ずっと近い)のに? 京都市は堆積盆地だから揺れやすい?
そうかもしれませんが、上の図を見ると明らかに「震源より西側がよく揺れてた」
ようです。余震もたくさん起きていますが、やはり同じ傾向があるようです。

この理由ははっきりとは分かりませんが、今回の震源より北側に位置する飛騨山脈
(北アルプス)を地震の揺れが越えにくいことがよく知られています。
(岐阜県・富山県側の地震は長野県側では観測されにくい)
(長野県側の地震は岐阜県・富山県側では観測されにくい)
北アルプス直下には地震の波を吸収する層(※)(マグマ溜まり?)があり、これが
地震の揺れが北アルプスを越えていくのを邪魔しているのだといわれています。
●川崎一朗, 北アルプスの地震と火山, 日本火山学会公開講座, 1997.
 http://www.kazan-g.sakura.ne.jp/J/koukai/97/kawasaki.html
北アルプスより南部の地域(木曽山脈:中央アルプス、赤石山脈:南アルプス
あるいはこれらの広域)の地下にもマグマ溜まりのようなものがあって、
長野市など震源の東側の地域が揺れにくいのかもしれません。はてさて?

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5) おまけ:電波を用いた地震予知、、、H先生、コメントありますか?

※なお吸収というよりも、減衰という方が正しい。地下構造の詳しい解析が期待されるが、山岳地域なのでなかなか大変である。
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伊牟田勝美

まずは、クイズの回答から。
私は、マグニチュード0.1を√2として計算します。
実際より0.1%あまり大きな値となってしまいますが、2の累乗は頭に入っているので、暗算する際に便利なのです。
マグニチュード1.0の違いは、√2の10乗なので、2の5乗、つまり32倍となります。(正解よりちょっと大きいが、御愛嬌)
M6.8とM5.7では、1.1の違いなので、32×√2となり45倍弱の違いだと暗算でもできます。

さて、地震解析ラボですが、H氏が在籍していた2015年7月1日~10月25日に、私がデタラメに地震予知した地震予知モドキと、同期間に発表された地震解析ラボとで、地震予知の成績を比較してみました。
その結果、私の地震予知モドキは、発表した20件中の16件が予知成功(的中率80%)となりましたが、地震解析ラボが発表した33件は22件の予知成功(的中率67%)でした。ダブルカウントを除くと、私の地震予知モドキは成功率70%、地震解析ラボは成功率39%でした。
予知率(対象の地震は28件)は、私の地震予知モドキは14件で
50%、地震解析ラボは13件で46%の予知率でした。
(詳細は、私の個人ブログに記載しています)

ところで、電離層で地震予知を行うH氏ですが、地震解析ラボ時代の予知対象の地震は最小でM4.3(誤差を含む)でした。
これは5万kWh程度ですから、この地震の前兆は更に小さなエネルギーのはずです。こんな小さなエネルギーで電離層に異常が発生するなら、大都市の上空の電離層は常時乱れていそうなものですね。

まったく意味不明の地震予知です。


by 伊牟田勝美 (2017-07-05 22:12) 

MANTA

伊牟田勝美さん
海外出張のため、お返事が遅くなりました。

> 私は、マグニチュード0.1を√2として計算します。
なるほど!それは知りませんでした。
今度どこかで使わせて頂きます!

>予知率(対象の地震は28件)は、私の地震予知モドキは14件で
>50%、地震解析ラボは13件で46%の予知率でした。
>(詳細は、私の個人ブログに記載しています)
ありがとうございます。こちらもあとでゆっくりと読ませて頂きます。

>これは5万kWh程度ですから、この地震の前兆は更に小さな
>エネルギーのはずです。
私もそう思いますが、「5万kWh」は地面の揺れに費やされたエネルギー
です。それ以外(熱、光など)は別勘定であって、例えば電波として
別途、強力なエネルギーが放出されているのではないか?
と考える人がいるようです。はてさて、、、

by MANTA (2017-07-11 12:40) 

伊牟田勝美

地震の際に、揺れ以外に莫大なエネルギーを放出しているかもしれないのですね。
仮にそうだとしても、前兆現象で地震の規模を予測することは難しいと考えています。

地震の規模は震源域の広さに比例しますね。
震源域は、岩盤が破壊された範囲のはずですから、地震の規模が事前に分かるということは、地震が発生する前に、岩盤の破壊がどこで止まるか分かっていたことになります。
前兆の大きさで規模が分かると仮定すると、震源域となる領域がタイミングを合わせて前兆を引き起こすことになります。
そんな御都合主義の前兆があると考える研究者が、この世の中に入るのですね。
細かく見ると、規模を伝える前兆は都合が良いことが他にもあることに気付くはずです。

日本では、地震学以外の学者や企業、個人などが、地震予知の研究を公表していますが、その内容を見ていると、ただただ宏観現象を追い求めている、言い方を変えるとコロンブスの卵を見つけて自慢しようとしているように感じます。
彼らの研究に、論理的思考というか、もっと極端な言い方をするなら、知性を感じないのです。
私の思考も稚拙なものでしょうが、村井氏や早川氏らにプロの研究者とは思えないデタラメさには怒りさえ感じます。
by 伊牟田勝美 (2017-07-12 20:58) 

MANTA

伊牟田勝美さん、おそらくは多くのニセ地震予知研究者は善意と野心から
行動していると思います。「僕の考えた最強の方法が、少しでも役立
てば」というところでしょう。

科学的立場としては、これらのニセ地震予知がいかに無意味かを社会
に訴えかけ続けるしかないでしょう。科学vsニセ科学の戦いでは、ニセ科学側がだいたい「勝ち」ますので、粘り強さが必要です。
→ http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-05-30

ただし(もしかすると)彼らのニセ地震予知情報は、気象業務法に違反
しているかもしれませんね(第17条)。
・気象業務法
 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S27/S27HO165.html
・気象等の予報業務許可についてよくある質問と回答
 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/minkan/q_a_m.html
by MANTA (2017-07-14 01:27) 

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