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首都圏の大地震はいつ来るか? [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]

昨年の大地震以降、地震予知に対する失望と期待が入り混じった結果だろうか?
毎月のように「○月▲日に地震が起きるかも!?」という話題が飛び交う。
つい先日もこんな噂が立った。

●1月25日に東海大地震が発生するという噂がネットで拡散(秒刊SUNDAY)
 http://www.yukawanet.com/archives/4085954.html
上記によれば、Twitterでは次のような内容が拡散されたようだ。
”東海大地震は24~25日か25~26日に掛けての夜中の11時以降か2~3時あたりに
 おきるから就寝中の多くの人が犠牲になるらしい。”

こういう具体的な予知は、具体的だからこそ怪しい。
同じような話は過去にも屡々あった。下記記事を参照いただきたい。
・富山で地震は起きません → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2007-09-12
・大気イオンで地震予知? → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2009-08-23
・宏観異常では地震予知はできない → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2009-09-08

当然、地震など来ない。そうなると今度は逆に「やっぱり地震予知などあてにならないし、
できっこない」という話になる。たまたま同時期に発表された下記の科学的予測についても
「どうせあたらない」という意見もあるようだ。はなはだ両極端である。

ところで本当に東京に大地震は来るのだろうか?
上記の予測は、地震発生頻度の統計学的な特徴に基づいている。
(気まぐれな地震にも法則性はあるのだ)
下図は日本周辺の地震の大きさ(マグニチュード:M)別の発生頻度である。
ご覧のとおり、M3程度の地震は50年間で1万回程度発生しているが、Mが1増える毎に
発生回数は(おおまかに)10分の1ずつ減っていく。ちなみに図中の点線が、ちょうど
10分の1の減少傾向のラインである。これは古くから知られた地震の統計的特徴であり、
「グーテンベルグ・リヒターの法則」と呼ばれている。
G-R.jpg
※防災科学技術研究所のホームページの図に加筆
 http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/sec1.2.html

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さて、上記記事によれば、大震災をきっかけに首都圏では地震活動が活発化しており、
M3~6の地震が平均で1.48回/日の頻度で発生していて、震災前の約5倍に増加している
そうだ。年間にすると1.48×365=540回。4年間で2160回。
「グーテンベルグ・リヒターの法則」から考えれば、このうち多くがM3クラスの地震であろう。
だとすれば大雑把な計算ではあるが、M7の地震は、4年間で2160÷10^(7-3)=0.2回程度
発生することになる。30年間では1.6回程度は起きる。

東京大学地震研究所がどのようなデータに基づいて首都圏でのM7地震の発生確率を
「4年で70%、30年で98%(注1)」と算出しているか、この発生確率の誤差はいくらかなどは
不明である(東大地震研のサイトには詳細が記されていない)。しかし上記のような簡単な
計算からも、我々の多くが生きているうちに首都圏がM7クラスの地震に見舞われることが
ほぼ確実であることは分かるだろう。

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もちろんこれはあくまで統計上の話である。地震活動度は日々変化している。たとえば
1/19~25の7日間で首都圏(茨城・千葉・東京:注2)では何回地震が起きただろう?
上記記事のように平均1.48回だとすると、7日間で10回程度だが、気象庁のサイトによれば…
●気象統計情報 > 地震・津波 > 最近一週間の地震活動 >
 関東、中部地方の最近一週間の地震活動 > 最近一週間の震源リスト
 http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/weekly_map/tokyo/weekly_list.shtml
M3以上の地震は6回。平均すると0.9回/日である。このペースで計算すれば
4年間でM7クラスの地震は0.1回となり、近いうちにM7クラスが起きる確率は低くなる。
逆に、地震発生頻度が高い週のデータに基づけばまた違った結果になるだろう。
いずれにせよ「4年間で70%」という確率の推定誤差は大きいだろうけれども、仮に明日、
いや今日、M7クラスの地震が首都圏を襲ったとしても、地震の専門家は誰も驚かないだろう。

大事なことは「●月×日に大地震が起きる!」という噂を耳にする度に恐れたり戸惑ったり
持っていた株を売り払うかどうかを迷うことよりも、かならず来るであろう大地震に対して
普段から防災の心がけをすることだろう。


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注1:「30年で98%」については、NHKのインタビューに平田教授が答えていた。
 下記ですでに報道済みでもある。
●プレート地震:首都圏直下急増 M7級、30年で98%
 mainichi.jp/select/weathernews/news/20110917k0000m040076000c.html
 (すでにリンク切れ)

注2:茨城・千葉・東京の沖合も含むと発生回数は42回/7日間である。
この場合はM7クラスの発生頻度は4年間で約0.9回である。
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MANTA

追記です。地震研究所のサイトに一応載ってました。
http://outreach.eri.u-tokyo.ac.jp/eqvolc/201103_tohoku/shutoseis/
でも、昨年9月の発表なんですね。
1/23に読売新聞が突如(今頃)、朝刊一面に載せたみたいです。
by MANTA (2012-01-27 18:22) 

かびるん

北海道大学の教授は一生懸命地震を予測しようとしているみたいですよ。東京大学地震研究所は全くあてにならない。北海道大学の教授頑張って下さい!
by かびるん (2012-01-28 22:58) 

MANTA

??どなたの応援かしら??
私はどの研究所も応援しています。科学的な研究であるのであれば。
(オカルトはいらない)
by MANTA (2012-01-29 09:02) 

MANTA

追記。新しいデータを加えて再計算したら、4年以内で50%以下、30年以内
では83%だそうな。これくらのほうが妥当かな。
●首都直下型“50%以下”に修正されたワケ
 http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20120206/dms1202061542008-n1.htm
by MANTA (2012-02-07 00:43) 

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