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高校生からの質問(3) [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]

海外出張などで間があいてしまいましたが、高校生からの質問に答えますよ~

Q. 世界で一番大きい地震は?
Q. プレート境界以外では大きな地震は起きないのでしょうか?
地震の真の大きさは「マグニチュード」というもので比べますが、マグニチュードにも
種類があります。下記ページでは「モーメントマグニチュード」で比較してます。
●地震について(気象庁:よくある質問集)
 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/faq/faq7.html

日本で一番大きい地震は、先日の東北地方太平洋沖地震(Mw 9.0)です。上記の気象庁の
ページにはまだ載っていませんが、世界で4番目に大きな地震のようです。では大きな地震は
プレート境界だけで起きるのでしょうか?いいえ、そんなことはありません。例えば日本の場合、
推定M8の濃尾地震(1891年)は、陸地の活断層が引き起こした典型的な「内陸型地震」です。

higai-1995.jpg
過去の被害地震(1872~1995年)
気象庁ページより(http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/higai/higai-1995.html
ところでマグニチュードの小さな地震でも「大きな被害」を起こすことは屡々です。上の被害地震
の地図を見ると、海底よりも内陸で起きているものが目立ちます。この期間、三陸沖などでは
M7クラスの地震が何度か起きていますが地図上に表示されていないのは大きな被害を起こさ
なかったからです。逆にマグニチュードが小さめの地震でも町の近くで起きれば大きな被害を
起こすというわけです。マグニチュードと震度、どちらで考えるかで「大きな地震」の意味合いも
変わってきます。ちなみに、震度とマグニチュードの違いはこちら 
 → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2006-05-04
 → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-06-09-1

Q. 海が震源地のときはプレートの影響で、陸が震源地のときは活断層の影響で
 地震がおこると考えていいのでしょうか。
地震のことを勉強された生徒さんからの質問のようです。でも必ずしもそうではないです。
わかり易い例が2007年の新潟県中越沖地震です。震源地は海ですが、プレート境界ではなくて
内陸の活断層が動きました。愛知県で1945年に起きた三河地震も同様で、震源地は三河湾
内ですが、内陸活断層が動きました(上図:死者は2000名を超えました)。詳しくはこちら。
●1944年東南海地震・1945年三河地震(広報「ぼうさい」、中央防災会議)
 http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/kyoukun/rep/kouhou044_20-21.pdf
また前回の連載記事でご紹介した「伊勢湾断層帯」も内陸の活断層です。ちなみに
これらのプレート境界や内陸活断層で地震のおきる間隔は、結構まちまちですね。

Q. 琉球での地震の可能性は?
日本中で地震が起きている昨今ですが、沖縄はどうなのでしょう?あまり大きな地震が
起きそうなイメージはありませんねが、それは気のせいです。南西諸島の下にも海洋プレート
(フィリピン海プレート)が沈み込んでいます
jpn.jpg
ASCIIの図に加筆しました(こちら

実際、前回ご紹介した名古屋大学さんによる海底地殻変動観測は沖縄沖でも実施されていて、
それによればM7~8の地震が起きる可能性があるようです(でもいつかは分からない)。
現在、国と研究者はいままで大きな地震はおきないのではないか?と思っていた場所も
改めて見直しはじめています。下記では「北海道や沖縄で証拠次々」とあります。
●クローズアップ2011:中央防災会議調査会中間報告 自治体対策に影響
 http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110627ddm003040114000c.html

どんどん行きます。
Q. 縦揺れと横揺れの起こり方の違い?
まず地震波の種類ですが、下記ページのアニメーションが凄く分かりやすいです。
試してみてください。P波、S波、ラブ波、レイリー波と4種類もあります(知ってた?)。
http://contest.thinkquest.jp/tqj2000/30295/mechanism/earthquake/waveanim.html
gamen.jpg
上記アニメのスクリーンショット。サイト「地震災害のメカニズム」さんから。

このうち震源が真下(直下型地震)の場合、P波が縦揺れ、S波が横揺れにあたります。
その時、地表はどう揺れるのか?こちらもアニメーションで分かりやすく解説されています。
http://www.max.hi-ho.ne.jp/lylle/flash/ps_wave.html
gamen.jpg
上記アニメのスクリーンショットです。サイト「りかちゃんのサブノート」さんより。
ちなみにP波よりS波のほうが揺れが大きいことが多いですがその理由は下記サイトをみてね。
●地震観測(白山工業株式会社)
 http://www.hakusan.co.jp/library/course/seismo/seismo_4.shtml
●火山学者に聞いてみよう -トピック編- ←Question #128をみてね
 http://wwwsoc.nii.ac.jp/kazan/J/QA/topic/topic85.html
 
Q. どうやって12kmも掘ったのか?
これらは出張講義の中で私が少し触れた”世界最深の井戸(掘削孔)”のお話ですね。
その昔、ロシアがソビエトと呼ばれていた頃、何かにつけてアメリカと競争していました。
宇宙に行く、深い海に潜る、などなど、その一つに「深い穴を掘る」もあったのです。ソビエトは
コラ半島という場所を選んで1970年に掘り始めました。1989年には12,262mに到達。そのまま
行けば1993年には目標の15kmの深さに達するはずでしたが、地下の温度が180℃と予想
以上でした。これでは熱すぎて機械が持たず計画終了。20年近くの掘削作業でした。ちなみに
どうやって掘ったか詳細はわかりませんが、下記の資料が参考になると思います。
●最新の坑井掘削技術(その1)(長縄成実さん、石油開発時報、2006)
 http://www.kelly.t.u-tokyo.ac.jp/~naganawa/paper-j.html

ところで!私はウソを言いました。世界で一番深い穴はコラ半島の掘削ではないようです。
例えば下記のWikipediaによれば、サハリンの12,345mが最深だとか(切りの良い数字!)
 http://en.wikipedia.org/wiki/Kola_Superdeep_Borehole
さらにさらに、下記サイトによれば未確認ながら豪州で14,764mだとか!
●掘削ギネス(石油技術協会)  ←「国外」をクリック
 http://www.japt.org/html/iinkai/drilling/guinees/menu2.html
うーむ、上には上がいるなぁ…ちなみに上記サイトにはいろんなギネスが載っていて
中には1日で2kmも掘り進んだ記録があるらしい。すげー!

あと1回続きます。高校生の好奇心、すごいね。答える方もヘトヘトだ(笑)
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