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「漫画喫茶で電子書籍」はムリ [ ブログ著作権メモ]

先日の記事の続きです。マンガ喫茶って著作権料を払ってるのかな?
合法なの?って話です。
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結論を言ってしまうと「合法」です
(ntakaさん、てぷこだんさん、コメントありがとうございます)。
漫画喫茶に限らず、お店等に置いてある本を「お客さんが店内でタダで見る行為」
は著作権法では禁止されてません。例えば。。。
 ・美術品や写真を公に展示する権利(展示権)
 ・映画を上映する権利(上映権)
 ・本やCD・DVDを貸し出す権利(貸与権)
等については、著者などが持っているので、許可が必要です。
ただ「お店にある本を読む」行為については取り決めはないのです。
なので漫画喫茶は、お客さんが本を読むたびに出版社などにお金を払う必要はないですし
喫茶店や食堂・美容院・待合室などに週刊誌や新聞を置く場合、許可もお金も不要です。
本屋の立ち読みもOKなのです。詳しくは下記サイトなどをご覧ください。

●特集:マンガ喫茶と著作権を考える(「B館」極私的マンガウォッチングさん)
 http://www5b.biglobe.ne.jp/~kouji/mkissa1.htm
 ※ただし下記判例によれば貸本には当たらず、「店内での閲覧」になるようです。
●図書館と貸与権についての判例(Copy & Copyright Diaryさん)
 http://d.hatena.ne.jp/copyright/20100421/p1

じゃあ、前の記事に書いたように「古本を電子書籍化して漫画喫茶で読める」ようになるか
というと、これは別問題。古本→電子化する行為は、商用利用などの場合は複製行為に
なります(前の記事を参照)。なので、電子書籍化する部分で出版社や著者に許可を
取る必要があります(ここで著作物の利用料が発生するでしょう)。おそらく、この利用料
は、漫画喫茶のお客さんが読むたびにかかるようなものになるでしょう。なのでちょっと
不思議なことですが、本山積みの漫画喫茶はこれからも流行りますが、「電子書籍で
スリムな漫画喫茶!」というのは当分登場しないでしょう。

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Kindling by oskay (protected by CC License)
「飛べない豚はタダの豚だ」じゃなくて、これはタダの木だ。

私が思うに、この記事も先日書いた電子書籍に関する著作権の記事も、なんか腑に
落ちません。その理由はたぶん私たちの感覚と著作権法の差が広がっているためでしょう。
私たちは本の情報を買っているわけで、「紙の束」を買ってるわけではないのですが、
著作権法は物質としての「本」に適用されてます。古い時代は2つは不可分だったのですが、
いまは分けられます。でも法律に詳しくない私たちの頭の中では、この差が混乱を生んで、
ごっちゃになります。例えば古本のデジタル配信について以下のようなご意見がなされます。

●古本と電子図書流通(廣瀬禎彦ダイアログさん)
 http://www.hirose-sadahiko.com/2010/03/post-9f69.html
「古本デジタル配信のほうが、一切著作権料を支払っていない古本屋よりも良心的な
サービスではないか?」ということで、興味深いアイデアです。ところが前の記事に書いた通り
古本には元々、著作権料はかかってません。一方で古本のデジタル配信には出版元は
「それなり」のお代を要求してくるでしょう。ただ誤解なく。上記のサイトの内容は間違っている!
と言いたくて当ブログで取り上げたわけではありません。消費者心情としては私は上記主張に
同意します。古くなった情報は適正価格で取引すべきですよ。たとえばこんなのどうでしょう?
・今後出版される本には、古本の売買にも著作権料をつける
・そのかわり電子書籍のうち、出版年から一定年数経ち、増刷もされていないものは、
 販売価格を大幅に引き下げる
こうすれば著者も、出版社も、読者も得するような気もしますが、いかが?
(ただ古本屋さんはつぶれますね…) いやはや、法律とは難しいものだ。

おまけ:書店で立ち読みするのは著作権法上は合法と書きましたが、だからといって
なんでもやっていいわけではないです。例えば携帯電話で本を撮影する「デジタル万引き」。
著作権法上は合法でも店の営業を妨害するのでやっぱり違法です。
●本屋で「夕食のレシピを撮る」のは非常識? (教えてgoo)
 http://blog.goo.ne.jp/oshiete_watcher/e/98c0e6054ea968dfed48d9741fd09bff
やっぱし法律は難しいなぁ。。。
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MANTA

こんな記事がありました。
●講談社の「デジタル的利用許諾契約書」について
 http://news.livedoor.com/article/detail/5092819/
これじゃぁ、電子出版は死に体だなぁ。
by MANTA (2010-11-07 23:27) 

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