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乗船レポートPHS:待ちかまえ(17) [ シリーズ実況 Old..]

今回の調査では、海底に装置を設置するだけではなく、
1年前に設置した装置の回収も行います。
設置と回収を繰り返して、3年間の海底観測を実現しています。

写真は海底から浮いてきた装置を回収する寸前。

乗船レポートPHS:海底地震計(9)」でも紹介しましたが、
海底装置は重りを切り離して、海面まで自分の浮力で浮いてきます。
写真中央右に見える黄色いかたまりが、浮き立てホヤホヤの装置本体。
これを捕まえようと、屈強な船員さんたちが「かぎ付きの竿」を
もって待ちかまえています。

写真中央下の方にも黄色い点が見えます。これは回収用の浮き。
この浮きから装置本体までロープが延びているので、
まずはこの”浮きロープ”のどこかを引っかけて装置を捕まえます。
竿で引っかけても良いですが、かぎ爪つきロープをエイっと船から投げて
浮きロープに引っかけます。なんだか、戦国時代のようですね。野武士、忍者。
でも最先端科学なのです(ねんのため)

浮きロープを捕まえたらこっちの物。
船の側面(舷側と言います)までたぐり寄せて、かぎ付き竿で装置を引っかけます。
しかし海底装置は重い!100kg超!なので、人力で引き揚げることはできません。
さて、どうするか?

じつはこの竿、非常にうまくできていて、かぎを装置に引っかかると、かぎの部分
が竿からはずれます。かぎには密かに別のロープがつけられていて、この”かぎロー
プ”をクレーン先端のフックに結ぶとと、あら不思議。装置とクレーンがロープで
つながってしまいました。これで重たい装置をクレーンで引き揚げられるのです。

私も自分でやったことがありますが、揺れる船から水面の装置の回収するのは
結構難しい。しかもクレーンに吊った装置が揺れると超危ない。
何度やっても緊張する作業です。
こうして回収した装置は、1年分のデータをたんまり蓄えていてくれました。
船員さんや船長、そして1年頑張った装置に感謝です。ありがたや、ありがたや。

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ちなみに回収の時の船員さん、目がランランと輝いています。
なんとなく、魚、それも大物を狙っている顔に見えるのは私だけでしょうか?
つづく。

※この記事の続きは下記をご覧下さい。
 http://obem.jpn.org/field040.html#AM07
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コメント 3

yann

>魚、それも大物を狙っている顔に見える
素人目には、そうにしか見えません(笑
by yann (2007-11-22 21:25) 

さなえ

お台場で開かれているサイエンスアゴアでブリティッシュ・カウンシル後援の北極の話を聞いてきました。豚に真珠でした(^^;)。これは国際色豊かな船で8ヶ国とかの人たちが乗り込んでいたようです。彼らは円形ではなく黄色のチューブ状の機器を海底に沈め、それが表面に浮き上がるまでにデータを取り衛星にとばすという話をしていました。世界の海のあちこちで科学者が頑張っているんだなとMANTAさんを思い出しました。海の断面の温度分布が色鮮やかできれいでした。科学とアートの融合というのがテーマでしたが、自然が作り出したもの以外は私には鑑賞不能でした。
by さなえ (2007-11-25 07:07) 

MANTA

>素人目には、そうにしか見えません(笑
yannさん、後ろ姿だけではなく、前から見ても魚を捕る顔つきですよ。
無事に全台、釣り上げていただけました。ありがとうございました。

>黄色のチューブ状の機器を海底に沈め、それが表面に浮き上がる
さなえさん、アルゴスブイというやつでしょうか?
サイエンスアゴラ、興味はあるのですが今回も参加できませんでした。
ざんねん~
by MANTA (2007-12-30 23:30) 

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