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東海に挑む−はじめに(1) [ シリーズ実況 Old..]

昨年末、台湾沖の海底地震によって海底ケーブルが寸断lされました。アジア各国のインター
ネット通信の一部はいまもつながりにくい状況のようです。台湾の陸上では亡くなられた
方もおられます。海底ではいったい何が起きているのでしょうか?どうすればいち早くそ
れを知り、地震への対策を練れるのでしょうか?

そこで当研究所では、海底ケーブルを用いて東海沖の海底で何が起きているかを
リアルタイム(即時)に情報を得る作戦を立てました。

私はこの作戦を「東海スキャナー計画」と名づけました。勝手に(笑)。※
図の詳細はおいおい説明することにしましょう。
東海スキャナー計画では、豊橋沖海底ケーブル2本のうち、西側の1本の先端に何種類かの
海底観測装置を取り付けて、東海沖の海底の様子をモニターしようというわけです。

このシリーズ実況「東海に挑む」では、この計画を軸として、東海沖での調査レポー
トや、どんな装置を使うのか、なにを調べようとしているのか、どんな役にたつのか、な
どなどを紹介したいと思います。相変わらずダラダラ続きますがよろしくお願いいたしま
す。

- - - - -
さて第1回目の今回は「分岐装置」をご紹介しましょう。
堅苦しい名前ですが、こいつは「海底コンセント」の役割を果たします。
分岐装置は豊橋沖海底ケーブル2本のうち1本の先端(海底観測点)に取り付けられます。


 製作中の「海底コンセント」

この装置は昨年夏のこいつです。立派なお姿になってまいりました。黒いシッポの部分が
海底ケーブルとの接続部分です。昨年11月、北九州のとある工場で調整中のものをパチリ。


 回路部分を耐圧容器に入れます

円筒型の金属製耐圧容器。重いです。3人がかりで封入します。


 容器をフレームに取り付けました。

真ん中に先ほどの金属円筒容器が見えます。これは分岐装置の水槽試験の様子です(昨年
12月末)。試験用海底ケーブル(白色)が写真右上に伸びています。いまは長さ50mです
が、本番ではこれが長さ60kmにもなるわけです。分岐装置も水槽ではなく、水深1500mに
設置予定。青いベンチはこの装置の試験用ですので海底には置きません。


 近寄ってみました。水槽の底に下りてパチリ。

分岐装置のフレームは鉄製。その両側面には青やオレンジのハンドルが見えます(矢印)。
これが水中着脱コネクタ。水中で抜き差ししても漏電しない特殊なコネクタです。
ロボット(ROV)が抜き差しすることが多いので、ROVコネクタとも呼ばれます。
(詳しくはこちら http://www.odi.com/catalog/nesc/fsROV.aspx

この水中着脱コネクタを使えば、海底で分岐装置に観測装置(地震計など)をつないだり、
はずしたりできます(ロボットも必要です、もちろん)。装置が故障したり古くなった場合は、
海底で新型装置と取り替えることが可能なわけです。最大で5つまで装置を接続可能。
分岐装置は観測装置に電力を送ることもできますので、つまり海底コンセント。これがないと
長い期間連続して観測装置を動かすことができません。同時に分岐装置は観測装置からの
データを海底ケーブル経由で陸上に転送します。「海底コンセント」は「海底ハブ」でもあります。

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次回はこの装置の試験の様子をお伝えしましょう。

※注:スキャナー = SCANNER =
 Submarine Cabled Network observatory for Nowcast of Earthquake Recurrence
 つまり「地震再来のリアルタイム観測を目指した海底ケーブルネットワーク観測所」
 という意味です。

※この記事の続きをよむには下記を御覧ください。
 http://obem.jpn.org/field056.html
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竜

ふーむ、リンク先のようなシステムを新たに設置するということでしょうか。

海の調査と言えば、大洗から苫小牧までのフェリーや、父島行きのおがさわら丸のブリッジを見学させてもらった時に海水温や塩分濃度を記録するモニターを見つけたことを思い出しました。確か、東北大学の仕事だったように記憶しています。まあ、あんなものに気がつくのは職業病ですね。

ところで、今回の地図はGMT製ですね(^_^)。私もよく使います。
by (2007-01-05 23:10) 

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