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地震vs海底ケーブル [▼科学ニュース New!]

先日の記事でサンタとトナカイの戦い?を紹介したが、今度は地震と海底ケーブルの戦い
である。ただし人類側がかなり分が悪い。

12月26日に台湾で発生したM7クラスの地震によって、台湾南部の海底ケーブルが複数切ら
れたらしく、アジア各国の間でインターネットや国際電話の通信状況が悪化しているようだ。
●台湾南部で大規模地震、香港や中国南部でも揺れ観測
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061227-00000072-reu-int
●台湾地震 有線…ネット社会のもろさ
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061229-00000002-san-int
●台湾の海底ケーブル、完全復旧は1月下旬(日経)
 http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=AS2M2801R%2028122006

日経によれば、台湾南部の国際通信ケーブル7系統あり、うち6系統が地震で損傷したそう
だ。ケーブルの本数は報道によって違うのだが、どうも計8本のうち7本に障害が出たらし
い(ブログ「シンチャオ ハノイ イン ベトナム!」さんの情報)。

さて、まずは人類側。海底ケーブルを修理しないといけない。道具立てとしては、なんといっ
ても海底ケーブル敷設船だ。たまたまそのケーブル敷設船を、先週北九州に出張した折に
を見かけた。

国際ケーブルシップの船「KDDIパシフィックリンク」。7000トンクラスの船だ。


船首方向。船橋(ブリッジ)の前にはヘリポートがある。敷設作業に入ると長期かえってこれない
ことが端的に語られている。


右舷側。ケーブルの積み下ろし作業を行っていた。


対岸の小倉の工場群。KDDIパシフィックリンクは西日本のケーブル補修などを担当するが
海外にでることもあるようだ。

船の内部は、まさにケーブル敷設と補修に特化している。特殊船である。
・ケーブルを海底で捜索・切断できる大パワー海中ロボット
・ケーブルを甲板上に引き上げたり下ろしたりするためのローラー類
・長距離のケーブルを蓄えるためのタンク
などなど。写真を紹介したいが許可を取っていないので今回は外観のみでお許しを。
この船の詳細やケーブルの補修の様子などは、国際ケーブルシップのページで紹介されている。

- - - - -
次に地震のほうだが、台湾の南方海底で起きた。台湾では死者も数名おられる。
●Magnitude 7.1 TAIWAN REGION (USGS)
 http://neic.usgs.gov/neis/eq_depot/2006/eq_061226_wtai/neic_wtai_l.html

この地域に海底ケーブルがどれくらい張り巡らされているか調べてびっくりした。
すごいよ。アジア一の密度ではないか? 台湾に上陸するケーブルもあるが、台湾へは
上陸せずに香港と日本やアメリカを直接結ぶものも多数あるようだ。どうやらまさにこの
「ケーブル銀座」がやられたようだ。
●インターネットの「元栓」はどこにある? (業界トレンドウォッチ by デジパ)
 http://digiper.com/trend/archives/2005/11/post_3.shtml

実は台湾周辺では以前から、地震に伴って海底ケーブルが切れることがあった。原因ははっ
きりとはしていないが、どうやら地震に伴う海底地すべりによるらしい。さすれば、今回
も大規模な海底地すべりがあったのだろうか? 津波の被害が小さくてよかったかもしれ
ない。

これだけの数の海底ケーブルが一度に損傷するのはきわめて珍しいのではないか?
前述のKDDIパシフィックリンクもすでに小倉を出港し、台湾に向かっているのかもしれない。
これから年末年始。日本との連絡を取りにくい海外滞在者や旅行者には不便な日々が続く。
日本だって地震で海底ケーブルが多数損傷する可能性はある。他人事ではない。

やられっぱなしではいかん。まず海底地すべりがケーブル損傷の原因なのか?回避するには
どうすればよいのかを知らなければいけない。また地震をとめることはできなくても、どこで
どのような性格の地震が起きるのか、あわよくばその概ねの時期もあわせて知りたいものだ。
大丈夫、あらたな手が用意されている。それはまたお正月に紹介しましょう。

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追伸1:
世界の主要光海底ケーブルネットワーク
(総合科学技術会議 第13回宇宙開発利用専門調査会)
http://www8.cao.go.jp/cstp/tyousakai/cosmo/haihu13/siryo13-1-3.pdf
これらがインターネットを支えてる。陸域のネットワークは少ないようだ。
欧州各国間と、広い国土を持つロシア・アメリカくらいか。

追伸2:
アジア各地は本当に通信状況が悪いようです。なにかできることがあればともおもいますが、
とりいそぎ人類が直面した記録としてリンクさせていただきます。明日はわが身だ。

シンガポール http://singalife.blog81.fc2.com/blog-entry-16.html
香港 http://blog.livedoor.jp/riehk/archives/51004361.html
香港 http://plaza.rakuten.co.jp/wah1972/diary/200612290000/
フィリピン http://blogs.yahoo.co.jp/asobinin_h/10322140.html
タイ http://masako-k107.at.webry.info/200612/article_26.html
ベトナム http://blogs.yahoo.co.jp/nhatanhj1/45429974.html

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乾物屋

>人類が直面した記録として
安全保障の観点からも資源や食料だけでなく、情報がということになってきたと考えます。「明日はわが身だ。」自分も肝に銘じます!
by 乾物屋 (2006-12-31 09:43) 

maururu

地震、大変ですね。
私も阪神大震災の被災者なので、身にしみてわかります。
by maururu (2006-12-31 11:18) 

理子

トラックバックありがとうございます。
どうしてNETの繋がりが悪いのか、友人から聞いていましたが、このブログを読んで、本当の所を知りました。
タイは地震が無い国なので、2年前の津波以来無関心でしたが、もう少し関心度を上げたいところです。
by 理子 (2006-12-31 17:45) 

ちゃめ

うへぇー。
東シナ海というのは本当に「銀座」だね。
ビックリです。

「KDDIパシフィックリンク」の写真、良いですね。
快適なインターネット環境を整備する技術者たちが、ちゃんと居るんだよ!と訴えかけるような写真ですね。

日々当たり前のように使っているサービスや公共施設の裏に、様々な人たちの苦労と努力が隠れている事を再認識できました。

陽の目が当たることも無く苦闘する技術者を描いた小説はこちら。
http://kamimura5555.blogspot.com/2006/08/index.html
なかなか、受けているみたい?
あれ、宣伝しちゃったよ!(笑)

良いお年を

Happy 2007!
by ちゃめ (2006-12-31 22:55) 

MANTA

- 情報、大事ですね > 乾物屋さん(お久しぶりです)
それには、常時の情報網の堅牢性確保と、被災地内外への災害報の
正確な伝達という2つの意味があると思います。
(阪神大震災ではまさにその点が弱かったですよね > くりぼうさん)
前者はインフラ整備(例:2重化しておくなど)を行い備えておく、後者は
常時もしくは臨時観測による自然災害の情報収集ということでしょうか。
by MANTA (2006-12-31 23:47) 

MANTA

- 理子さん、お疲れ様です。日本だけでなくどこの社会も、経済性と
利便性のバランスのうえで成り立っているようです。ただ自然災害に
ついてはどの国も備えが低い傾向がありますね。とくに情報インフラを
どこまで堅牢にすべきかが今後問われると思います。

- 海底ケーブルは地理的制約(利益性、漁業者などとの契約問題、
ケーブルを引きやすい海底地形)のため、同じ海域に集中して敷設
される傾向があるようです。>ちゃめさん
今回はその場所が悪かったのではないかと個人的には推測してます。
船の写真、私も同じ意図で掲載しました。逆光でしたけどね(苦)
by MANTA (2007-01-01 01:36) 

ぱふぃー

トラックバックありがとうございます
シンガポールは地震のない国なので、地震に関してはいつも人ごとでニュースを見てましたが、インターネットの影響があると思いませんでした
でも、家の通信は大丈夫なんですけどね(ちょっと遅かったかもしれないけど)
by ぱふぃー (2007-01-02 03:20) 

MANTA

- コメントありがとうございます!>ぱふぃーさん
ご自宅が無事?でよかったですね。ネットにつながりにくい、といっても
症状はいろいろのようですね。中にはLivedoorにはつながるけど、
Yahoo Japanにはつながらないというケースもあるそうです。
インターネットは複雑な経路を経ているんでしょうね。
ご自宅から日本へはもしかするとヨーロッパ→アメリカ→太平洋経由
かもしれませんよ。
by MANTA (2007-01-02 15:04) 

竜

あけましておめでとうございます>MANTAさん

ちょうど先ほどのNHKニュースで「KDDIパシフィックリンク」が台湾に到着してケーブルの修理作業に参加するとのことで映像出てました。MANTAさんが撮影された直後に台湾に向かったようです。

なお、リンク先に先日コメントした鹿屋の史料館の写真を少し置きました。また、JMAの地磁気観測所も偶然近くを通りがかったので1枚だけ写しています。
#その他は昨年の「ひので」打ち上げ関連の写真です(^_^)
by (2007-01-03 22:37) 

MANTA

- 写真ありがとうございます > 竜さん
M-Vの打ち上げ、すごいですね!一度みたいなあ…
ゼロ戦も拝見しました。コクピットを覗けるんですね。
鹿屋観測所の写真、ドーム型のやぐらにはなにかのセンサーが入ってるのかな?
ちなみに鹿屋観測所はこちら。ただ普段は見学を受け付けてないかも。
http://www.kakioka-jma.go.jp/A/kny_j.html
by MANTA (2007-01-04 01:19) 

MANTA

- さっき知人に教えてもらいましたが、14箇所程度切れたらしいですね。
それもある地域にかたまっているのではなく、南北200~300km程度
長さであちこちで切れているそうです。相当大規模な海底地すべりが
あったのでしょう。
by MANTA (2007-02-19 18:39) 

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