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アメリカという"個人" ~1~ [▼科学ニュース New!]

今年1週間ほどアメリカに行ってきましたが(→シリーズ実況)、アメリカという国はよく分かるようで分かりません。今日は帰国後に読んでみた、アメリカ分析の本を紹介します。ぜんぜん海にも地球にも関係ないですけど。

そうだったのか!アメリカ

そうだったのか!アメリカ

  • 作者: 池上 彰
  • 出版社/メーカー: ホーム社
  • 発売日: 2005/10
  • メディア: 単行本

本書の描くアメリカは、ひとことでいえば「キリスト教に支えられつつ、自身の利益追求を徹底的に行う"個人の集合体"」といえるかもしれません。アメリカ国民はどこかで国を信じておらず、その結果として個人レベルで武装し、問題があれば裁判を起こし、時には陪審員となり自らも裁く側にまわり、大統領選挙人を直接選び、長き人種差別に代表されるように弱きものは助けず?、マスコミが政府を追い詰める場合のように強きものは挫く。これを国レベルで国際的にやっている国が「アメリカ」だと本書を読んで感じました。

このようなアメリカの性質はその歴史に原点がある、というように本書では主張しているようです。初期の移民は武力でわが家を守り、やがて生まれる自治州は武力で独立を勝ち取り、合衆国となっても州は独自の兵力を手放さず(今も)、個人も銃を手放さない(今も)。「民主主義には武装が必要」という思想です(キリスト教はどこにいった?)。合衆国独立後は攻め取ることで国家を構築していき、北米を制覇したらすぐにハワイを攻め、日本に黒船を送り込む。アメリカ人の攻めるというエネルギーにはあきれるし、感心します。ちなみに10あるアメリカ国民全体の休日のうち、3つは戦争関係です。

一方では、第2次大戦後に移民への門戸を大きく開放したために、白人の比率は下がる一方。初期の移民時代から現在まで、下層の市民が徐々に代頭してきたというアメリカの歴史がここでも表れているのでしょうか?「アメリカにはいろんな人種が暮らしているので世界の縮小形だ、だからアメリカ標準は世界標準だ」といった主張を聞くこともありますが、本書を読んだ私の感想では、標準どころか人種間が溶け合っていなくて、自国の中の文化の違いに悩み続けているように感じました。アメリカ標準がもしあったとしても、ほんの一部の権力をもった人達の中での標準なのではないでしょうか?

世界史不勉強な私には新鮮な内容でしたが「そんなこと、知ってるよ」ってことが、本書には多いかもしれません。アメリカ文化入門書としてはよい本だと思います。ちなみに著者はみんなきっと知っている「お父さん」、NHKこどもニュースで長年お父さん役を務められた池上彰さんです。アナウンサーだと思っていたら記者だったんですね。

しかしこの記事かいてたら研究でのアメリカと日本に違いをふと考えてしまいました。
つづきを次の記事にかくかな?

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ちゃめ

>「民主主義には武装が必要」という思想です(キリスト教はどこにいった?)。
 笑
>北米を制覇したらすぐにハワイを攻め、日本に黒船を送り込む。
 当時、ハワイは日本に助けを求めたそうですね。
 明治政府はなけなしの海軍から巡洋艦を派遣しています。
 結局、在留邦人保護しか、できませんでしたが。
 ただし、当時の世界標準はあからさまな弱肉強食の帝国主義なので、他国を侵略しまくっていたのは、アメリカだけではないですね。
 日本もしっかり、その後を追いました。
 今は、グローバル経済による帝国主義が進んでいるようですが…。
 謀略を多用した戦争も、昔と変わらないそうです。
 米西戦争の発端となった「メイン号事件」という、アメリカの謀略がありますが、そのときの合言葉は「リメンバー・メイン」。
 どこかで聞いた事がある台詞ですね。
 謀略については、米国よりも英国の方がスマートですね。パレスチナ問題を生み出した「三枚舌」というとんでもないエピソードもありますが…。
 日本は謀略とか外交が下手すぎ、国民性なのでしょうが。
by ちゃめ (2006-05-14 10:17) 

MANTA

- Nice & コメント、ありがとうございます > 皆様
その歴史を見ると、アメリカの侵略の仕方のワンパターンぶりには呆れますね。「アラモ」ですよね、どれも。わざとやってるのかな?
外交が下手なのは、島国だからでしょう。それが良さともいえます。
by MANTA (2006-05-14 16:54) 

ちゃめ

>わざとやってるのかな?
 わざと、でしょうね(笑)。
 でもそろそろ、別の展開を考えた方が良いですね、アメリカさんも。
 
by ちゃめ (2006-05-15 00:06) 

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