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大学院へ行くということ [▼研究実況 Now!]

大学生は、どれくらいの割合で大学院に行くのだろう?

例えば、工学部の学生。
彼らは社会に役立つスキルを身につけるために、大学に入学した
と言っても過言ではないだろう。なので大学院に進む。

理学部生はどうだろう?
「私、理科が好き!!」という高校生が、そのまま大学生になっている
そんな感じがする。なので、大学生になって「おもってたのとチャウ」
となる学生は相当数いると思う。ただ理科を勉強するのと、研究をする
のとでは、全く違う。そこに戸惑う学生は多い。

まずは、一例として京都大学の場合の大学院進学率を見てみよう。
京大全学.JPG
※「進路・就職状況」(京都大学)より
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/about/public/issue/ku_profile/documents/2020/15.pdf

こちらはこの春(令和元年度)の大学卒業生の進路の様子。全学部合わせたもの。
多い順に。大学院進学、 就職、 医師国家試験合格・研修医、そしてその他。
全学で、6割くらいの学生が大学院に進学している。
学部別に見るとこんな感じ(京都大学の同資料に基づき作成)。

進学率.JPG
理系と文系で、進学率にかなりの差があることがわかる。
理学部・農学部は約8割、工学部は9割に届こうとしている。
そうなのである。社会に出て科学技術の知識を役立てる職種、例えば技術者
になろうとしたら、大学の学部卒ではなく、大学院修士・博士卒がよい。
これは社会の要請である。優れた科学技術スキルを持っている人を会社など
は求めているが、それは学部卒ではなく、大学院卒の学生なのだ。

大学院修士課程の2年間で、学部の4年間に匹敵するくらいのスキルを身に
つけることができる。いやもっとだろう。なにせ、本物の科学技術の謎に
挑戦できるのは大学院に進学してからなのだ。卒論はまだ練習なのである。

もちろん、理系のすべての学部学生が大学院に行く必要はない。
「パイロットになりたい」「雑誌の編集者になりたい」「作家になりたい」
と思う学部学生は、大学院に行ってはならない。高いスキルが返って障害と
なる。早く新たな道へ踏み出すのがよい。

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ということで多くの理学部生には大学院に進学してほしいのだが、
当理学部はというと、、、
UH_S.JPG
https://www.sci.u-hyogo.ac.jp/campus/job/shinro.html
7割程度か。

同じく工学部はどうだろうか。
UH_E.JPG
https://www.u-hyogo.ac.jp/career/job/info/kogaku.html
こちらはもっと低くて、5割ほどか。

どうも、大学1年生・2年生のときに、将来の「キャリアパス」について
学んでいないことが一因のように思われる(少なくとも理学部は)。
大学3年生くらいになってから「大学院」と言われたって、首をもう「就活」
に突っ込みつつあるので、手遅れである。まして、リ○ナビとか、マ○ナビとか
企業の広報担当者は、大学の先生に広報活動よりも圧倒的に上手で魅力的で
ある(それが真実かどうかは、また別の話)。
大学初等教育では、大学や大学院の役割をもっとちゃんと、
教えないといけないよね、と思う今日このごろである。

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ちなみに前出の京都大学であるが、学科によっても進学率は大きく違う。
例えば京都大学理学部地球惑星科学科の場合。同学科の進路情報より。
キャプチャ.JPG
http://www.eps.sci.kyoto-u.ac.jp/division/employment/index.html

5割か、、、低い、、、京都大学も苦労しているのであった。

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