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海底が10mも上昇?!その謎に迫る(1) [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]

今朝のニュースにビックリです。あまり報道されてないのが不思議。
●知床の海岸線、15メートル隆起か 800メートルに渡り24日から? 火山活動は確認されず
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150425-00010000-doshin-soci
●羅臼町で海岸線が隆起か(NHK北海道)
 http://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20150424/4317821.html
 nhk.JPG
 ※写真は上記NHKサイトより。

元々海底だった場所が盛り上がって、陸地になってしまったみたい。
その間、わずか1日程度! え、海底ってそんなに急に盛り上がるの?
場所はこの辺りだと思われますが、しかしホントだったら大変なことですよ。


なぜかって?例えばこの地域の普段の「地殻変動」を見てみましょう。
日本列島には衛星電波を用いた地殻変動観測網が張り巡らされていて、
地面の動きはセンチ~ミリの精度で常時把握されているのです。
●電子基準点 - GPS連続観測システム(GEONET)
 http://www.geod.jpn.org/web-text/part3/hatanaka/hatanaka-1.html
●電磁気で地震予知 ~地下の"格差"が地震を起こす(6)
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-03-26

hkd_ver.jpg
※「電子基準点がとらえた日本列島の地殻変動(国土地理院)」より(注)。
 http://mekira.gsi.go.jp/
※積丹半島を不動点とした場合の、相対的な地殻変動(上下方向)

話題の地域(図の黄色丸)の部分は確かに地面が盛り上がっている(上向き矢印)。
とはいえ、その大きさは数ミリメートル。しかも1年間かけて、この程度。
ちなみに横方向の地面の動きも見てみましょう
hkd_hor.jpg
※同じくhttp://mekira.gsi.go.jp/ より
※積丹半島を不動点とした場合の、相対的な地殻変動(水平方向)
上下の動きよりも大きいですが、それでも年間で2cm強です。
ちなみに北海道が全体に北西に移動していますが、太平洋プレートが北海道の下に
沈み込んでいるためだと思われます。2011年に東北地方太平洋沖地震が起きましたが、
震源域はずっと南であり、この地域はいまも「次の巨大地震」へのエネルギーを
溜め続けていると考えられています。

しかし1日で10mって、何が起きているの?
冒頭のNHKニュースによれば「羅臼町付近で火山や地震の活動は24日は
確認されていない」とのことです。念のため、防災科学技術研究所の
「Hi-net自動処理震源マップ」を見てみましょう。
http://www.hinet.bosai.go.jp/hypomap/?LANG=ja
 jisi.JPG
4/18~25までの地震活動が図化されていますが、知床地域では
地震は起きていませんねぇ。。。(火山活動は通常、地震を伴います
ので、火山活動も起きてなさそうです)

はてさて、何が起きているのか?
続きます。

注:上記の地殻変動(上下方向、水平方向)は4/4までのデータから作図されています。リアルタイムデータも見ることはできるようですが、登録が必要です。またデータの処理も必要かと思われます(今回はあきらめた)。もしも地震や火山噴火に伴う地殻変動ならば、(羅臼に電子基準点があるので)リアルタイムデータにはその痕跡が表れているはずです。
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