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惑う星の数 [▼科学ニュース New!]

惑星とは、そもそもは「天球上で西に動いたり、東に動いたりして惑っている星」という意味だ。英語名のPlanetはギリシャ語に語源を持ち、「さまようもの」という意味だそうだ。ちなみにプランクトンの語源も同じだったりする。
さて、つい先ほど、冥王星が「惑星」から格下げされたようだ。国際天文学連合(IAU)が惑星の定義を新たに定めたが、冥王星は「惑星」の資格を満たさなかったのだ。

●<太陽系惑星>冥王星を除外 最終案を賛成多数で IAU
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060824-00000122-mai-soci

ここにいたる数日間、太陽系の惑星の数はまさしくさまよった。
当初は9個あった惑星に新たに3つ追加した12個とする案であった。

●<太陽系惑星>新たに3個 国際天文学連合が定義案公表
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060816-00000119-mai-soci
   ↓
この案に従えばさらに12個も惑星に加わることになりそうだった。合計24個の大所帯である。
●太陽系12惑星 新定義「自己重力で球形」提案 候補さらに12個
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060817-00000000-san-soci
   ↓
ところが雲行きは怪しくなる。
●「9から12個に」惑星の数定義案、3分割で採択へ
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060822-00000314-yom-soci
これで8個案、11個案、12個案が並び立ち、最終的には「8個」となったわけだ。

この冥王星、発見はそう古くない(冥王星 Wiki)。1930年にアメリカ人により発見された。アメリカ人が発見した唯一の惑星であった。加えて今回、惑星になり損ねた球状天体「2003UB313」。発見は2005年、発見者はやはりアメリカ人(2003UB313 Wiki)。アメリカ人が発見した新天体を「惑星」とするための原案であったが、結局は冥王星もろともアメリカ人が発見した惑星はゼロとなった。アメリカの思惑が通らなかったのは、開催地がプラハであり、ヨーロッパの天文学者が多かったためか? 天文学者は政治的思惑とは無関係であるということか? いやいや、冥王星は地球の月より小さく、また軌道も8つの惑星とは大きく異なっていたため、従来から惑星として扱っていいのかどうか意見が分かれていた天体である。調べれば調べるほど他の惑星との違いが際立っていた冥王星としては、今回の処置は不自然とはいえまい。

しかし冥王星を甘く見てはいけない。太陽系で遠いということは、それだけ早く形成された星なのだ。つまり太陽系がどうできたかの証人であるとも言える。冥王星には米国が探査機「ニューホライズン」を打ち上げ済みである。冥王星にいくはじめての探査機だ。いずれ多くのことが分かってくる。そのときにまた惑星の定義が変わるかもしれない。

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自然哲学とはいえど、このように変遷していくものなのだ。まあ人間がどう定義しようとも、冥王星は冥王星のままだということだ。別になくなってしまうわけもなく、約250年の周期で太陽の周りを回り続けている。


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あっきゃん

その「惑星最後の夜となった冥王星」をうちの美術館の望遠鏡でお客さんと一緒に見ました(笑)

そうですよね。定義っていうだけで冥王星は冥王星ですからね。人間が生まれる前からあるわけですから・・・。
by あっきゃん (2006-08-25 02:50) 

MANTA

- 美術館の?望遠鏡?科学館じゃなくて? > あっきゃんさん
でも手持ちの望遠鏡で見えるんですねぇ。私も実家には70mmの屈折がありますけど、うちにもって帰っても都会すぎて星は見えないなあ。
by MANTA (2006-08-25 06:12) 

あっきゃん

多分、日本中を探しても、うちの美術館だけだと思います。望遠鏡がある美術館。しかも61cm。うちの館長の個人所有です。

岩崎一彰・宇宙美術館です。http://www2.wbs.ne.jp/~kisag/
by あっきゃん (2006-08-25 12:38) 

MANTA

- あ、あそこですか?よくTVで宣伝されている。
興味はあるんですけど、どうなんかなーとおもって足が遠のいております。
by MANTA (2006-08-26 09:34) 

MANTA

- しゅんちさん、Niceありがとうございます!
カナダの後日談はブログにはかかれないんですか?
by MANTA (2006-08-26 09:40) 

ちゃめ

 今回の決定には議論百出らしいね。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/5283956.stm
 暗黒物質の存在も観測されたそうですね。
 火星では間欠泉が見付かったそうな
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/5268892.stm?ls
by ちゃめ (2006-08-26 18:46) 

HOKUTEN

便宜的に分けている定義で、人間だけが駆け引きしている・・・。それを冥王星はどう見ているんだろう・・・。と、ちょっと詩人。
減っちゃう、というのも、慣れ親しんでるから感覚的には不自然だ・・・。
このまま決まると普通に天体になっちゃいますね。
by HOKUTEN (2006-08-27 03:48) 

MANTA

- 議論百出、ではありましたが最後は米国研究者も納得したようですよ>ちゃめさん
(→ asahi.com: 「発見国」の米国に悲嘆の声 冥王星「降格」)
火星に間欠泉かぁ… コリャ100年後には「火星温泉ツアー」だな。まちがいない。

詩的ですよね > テレマーカーさん
1930年から76年間、常識だったものが覆る。地上では大騒ぎ。その間、冥王星は太陽を半周もしてない。人の所業の虚しさを感じます。

一方で科学の進歩によって、海王星より外側には冥王星くらいの大きさの天体がたくさん見つかるようになりました。エッジワース=カイパー・ベルト天体といいます。その正体は不明ですが、どうも海王星より内側の惑星とは区別したほうがよさそうだと近年考えられており、今回の惑星定義づけで、冥王星とともに、8個の惑星とは明確に分けられたわけです。

ただし冥王星はエッジワース=カイパー・ベルト天体中でも大きいものの代表例=キングであり、まさしく冥「王」星なのです。エッジワース=カイパー・ベルト天体とはなにか?どうやってできたのか?太陽系全体の形成でどんな役割を果たしたのか?冥王星を探査することでこの辺があきらかになるでしょう。2015年、NASAの探査機がたどり着くころに冥王星はまた話題をふりまくことでしょうね。
by MANTA (2006-08-27 05:51) 

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