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家庭用燃料電池は救世主か? [ 資源エネルギーを考える]

前回の連載記事で次のようなコメントを頂きました。
「燃料電池に依れば、頑張って成長して、経済を拡大しても、CO2は増えないし、燃料資源が
 枯渇することもない。(中略)火力発電所で燃やされている膨大な天然ガスを、家庭に配る
 だけで、この可能性が実現します。電力会社が、天然ガスを燃やして発電することが、
 とんでもない無駄使いだと言うことが解りますね。」 ※2011-09-24 18:47

今回は前回の続きとして、家庭用燃料電池にフォーカスしてみましょう。
図.jpg
燃料電池とはこちら。燃やすなんてもう古い!化学反応の時代だぜ!

あまり知られていないようですが、石油や天然ガス・石炭を普通に燃やして火力発電を行う
場合、燃料の全エネルギーのうち、電気エネルギーになれるのは約4割ほどです。
●火力発電の効率(?を!にするエネルギー講座:エネルギー総合工学研究所)
 http://www.iae.or.jp/energyinfo/energydata/data1036.html
残りの6割は、熱となってどこかへ消えてしまっているのです。
いや、むしろ発電所を海水で冷却して熱を捨てています。
●大規模発電所のメリットとデメリットは?(東京ガス)
 http://www.tokyo-gas.co.jp/pefc/merits/index.html

これに対して家庭用の燃料電池は、元の都市ガスのエネルギーを無駄にせず
効率良く発電と給湯を行っています。その効率はなんと8割!

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石炭ガスや燃料電池は救世主か?(2) [ 資源エネルギーを考える]

前回の記事の続きである。石炭ガスや燃料電池を用いた発電方法は高効率であり
電力会社も技術開発に乗り出しているのに、なぜ火力発電の主力にならないのか?
物事の一面しか見えない人は妄想に走りがちだ。(頂いたコメントから抜粋)
・原発という巨大利権や、密かな核武装を画策する意図が潜在している
・資源か枯渇するから、エネルギー安保が必要だから、温暖化対策にと言うのはブラフ

答えはシンプルだ。発電効率が良くても、発電コストが変わらないのである。
hikaku.jpg
(上図は下記8頁の図を改変)
●CO2回収型高効率IGCC技術の開発(電力中央研究所)
 http://www.brain-c-jcoal.info/news_images/cctWorkshop2009_text2_3.pdf

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海に関する素朴な質問も募集中 [▼このブログについて(Q&A)]

先ほどの記事に引き続き(サイエンスカフェとは別に)
もう一つ、海に関する質問も募集します。
海や海底、地球に関する疑問・質問をお寄せ下さい。
どんな質問でも良いので、遠慮なく聞いてみてね!
できるだけ素朴なご質問をお待ちしております。

めんだこ_あんこ.jpg
新キャラ達も待ってるよ!!(誰だ?その正体は…つづく)

↓↓ 質問フォームはこちらをクリック! ↓↓

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サイエンスバー、やります! [▼研究実況 Now!]

サイトトップで既にお知らせしていましたが、10月に東京で開催されるサイエンスカフェ
ならぬ「サイエンスバー」にて、地震に関するお話をすることになりました。

☆【大人の科学バー】☆  vol.1「地震の話をしよう」
【日時】10月25日(火) 19:00~21:00
【定員】14名
【場所】東京日本橋ギャラリーキッチンKIWI 料理教室
科学トーク+お酒とつまみ
(ワンドリンク、マスター特製3品付) 5,000円(税込)
詳細は右アイコンをクリック!もしくは下記!
http://www.kiwi3.jp/event.html#kagaku0
http://www.kiwi3.jp/



ちょっと高めの参加費ですが、その代わり少人数でのサイエンスバーとなります。
一杯飲みながらのコアなトークとディスカッション(?)にご期待ください。
評判が良ければVol.2、3もあるかもよ!?

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さてそれを(自ら勝手に)記念致しまして、地震・津波や地震の予知、地震防災に関する
疑問・質問を募集してみることにしました。サイエンスバーに来る人からの質問も、
来れない人からの質問も、どちらも大歓迎。
どんな質問でも良いので、遠慮なく聞いてみてね!

↓↓ 質問フォームはこちらをクリック! ↓↓

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キウイ、かわいいねぇー! [▼研究実況 Now!]

連載ばかり書いていたら、研究実況を1ヶ月もしていないことに気づいたので、
写真をアップ。朝食。
Image027.jpg
フレンチトーストに、ハッシュポテトに、タマゴ、
そして右上には可愛らしい黄色いキウイ! かわいい? キゥイ?
「きみ、カワウィイネェ~!」

夏あげモーション

夏あげモーション

  • アーティスト: 藤森慎吾とあやまんJAPAN
  • 出版社/メーカー: よしもとアール・アンド・シー
  • 発売日: 2011/08/10
  • メディア: CD


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石炭ガスや燃料電池は救世主か?(1) [ 資源エネルギーを考える]

エネルギー関係の連載の続きである。これまでに例えば下記のような話をしてきた。
原発を誰に任せれば良いのか?
石油価格はだんだん上昇
原油価格はなぜ上昇するか?
これらの記事のコメント欄に「原発ではなく燃料電池や石炭ガスに注目すべきだ」という
ご意見が散見される(といってもお一人の方のコメントだが)。以下は抜粋である。
・このまま原発を続けることは自殺行為そのものです。
・代替は、燃料電池です。既に実用化されています。
・燃料は、都市ガス、LPG、石炭ガス、ゴミ焼却炉ガスなど無限にあります。

このような代替エネルギーは原子力発電の代わりができるのか?
今日は一例として、発電所用の石炭ガスと燃料電池の可能性について考えてみよう。

まず、このような代替エネルギーは結構研究が進んでいる。
図.jpg

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世界最大のガワール油田 [ 資源エネルギーを考える]

前々回の連載記事”原油価格はなぜ上昇するか?”で、下記のご質問をいただきました。
”トゥピ油田とかリブラ油田の巨大油田は今後の原油価格に影響を与えないのでしょうか?”
(eye4ujpさん、ありがとうございます)

これらは最近発見された油田ですね。そりゃもちろん、影響アリですよ。
●石油超大国ブラジルの衝撃(トゥピ油田)
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071128/141768/
●ペトロブラス株、6週ぶり高値-ブラジルのリブラ油田で新たな層発見
 http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=jp09_newsarchive&sid=ahppoZUq9gZs
問題は影響の程度ですね。そのためにまず「世界最大の油田」を見てみましょう。

map.jpg
それはサウジアラビアにあるガワール油田です。1948年に見つかったこの油田は
幅は30km程、長さは280km程。日本列島と比較すると上の図のような感じです。
(黒い部分がガワール油田の大きさ)。東京~名古屋間に匹敵する大きさなのです。
推定可採埋蔵量は660億バレル。もう、「デカイ」ということしか分からない(笑)

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今日は東京 [▼研究実況 Now!]

110908.jpg
うちあわせ3連発です。
一つ目が終わり。いろいろ決まって、
よーしやるぞ! というところ。

午後は場所を変えて、学会関係の打ち合わせ。
物理探査ニュースレターという冊子の編集委員会に参加。

夕方は10月25日に予定さえているサイエンスカフェの
打ち合わせ。石油じゃなくて、地震の話をしますよー
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なぜ石油は「なくならない」のか? [ 資源エネルギーを考える]

前回・前々回に、石油の価格が長期的に上昇傾向なこと、その主な要因は
石油の生産量が頭落ちになっていることを書きました。
・石油価格はだんだん上昇(http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2011-08-27
・原油価格はなぜ上昇するか?(http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2011-09-04

では石油は将来なくなってしまうのでしょうか?

前回の記事で「ピーク・オイル」の話をしました。
いまが石油生産量のピークで、今後は毎年の石油生産量は徐々に減っていく、と。
ところが次のグラフを見て下さい。これも石油生産量の実績と今後の予測です。
fig3.jpg
(国際エネルギー機関(IEA)による報告書「世界エネルギーアウトルック2010」より)
http://www.iea.org/weo/docs/weo2010/key_graphs.pdf

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原油価格はなぜ上昇するか? [ 資源エネルギーを考える]

地震とエネルギーの連載が交互で恐縮です。今回はエネルギーの方。
前回は「石油価格はだんだん上昇」という話をしましたが、今回はその続き。
では石油の価格はなぜ、だんだん高くなっているのでしょうか?
結論だけ先に言ってしまうと、”安い石油”が採れなくなっているのです。

fig0.jpg

例えば、あなたがジュースを飲むとしましょう。最初は勢い良く飲めますが、段々と
飲みづらくなって、最後の方はズズーッてなっちゃいますね。油田についても同じ。
例えば下記は香港沖約250kmに位置する陸豊油田の原油生産量の変化です。
fig1.jpg
(吉田ほか, 石油技術協会誌 Vol. 72, 531-540, 2007の図に加筆)
http://www.jstage.jst.go.jp/article/japt/72/6/72_531/_article/-char/ja

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アマチュアによる地震予知 (1) [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]

昨日は防災の日だったので、連載「電磁気で地震予知」を更新いたしましょう。
そういえば先日の記事にこのようなコメントをいただきました。

  「腰が痛い」「虹の雲をよく見る」などで地震の予知はできないのでしょうか?
  ※原文はこちら。China Roseさん、ありがとうございます。
  宏観異常現象なのですが、以前書いておられたように、夜みた夢を朝になって
  遡行して再構築するような例が多く、それを前兆と受け取る側に帰する問題も多いように思います。
  でもエビデンスとして使えるものはまったく無いんだろうか。

「耳鳴りがする」「ペットが吠える」などの地震の前触れ現象は、「宏観異常現象」と
呼ばれていて、これを用いた地震予知の試みはこれまで何度も行われて来ました。


上記は2008年の四川大地震のときの、日本での宏観異常現象の報告数です。
ただ実際には四川大地震ではなく、その前に茨城県沖で発生した地震の影響を
強く受けていました(→ http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2009-09-08 )。
宏観異常現象とは人間の心理が生みだした物にすぎないように私は思いますが、
しかし本当にこれらの中には地震予知に役立つ情報は埋もれてないのでしょうか?

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