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さてMANTAとは? [▼ブログ管理]

ここ最近、査読のことばかり書いたがチョットお休み。今日はこのブログで使用しているニックネームである「MANTA」について書いてみよう。辞書を引くと次のようになっている。

 MANTA 【名】【C】
 1) マンタ 《スペイン・中南米で着る外套[肩掛け]》
 2) 〔魚〕 (熱帯産の)イトマキエイ, マンタ

イトマキエイは普通の魚とは違った泳ぎであるが、ゆうゆうと海中をおよいでいる。私自身も独自の目線で物事を捉えたいという思いから、MANTAをニックネームとさせてもらった。また研究者として、新しいアイデアを試し、そしてうまくいくかどうか心配する日々をここでは述べるので、「MAster of New Trial and Anxiety」というこじつけも併記させていただこう。

しかしすべては後付であり、ブログ開設当事に完成したばかりであった「海中曳航式電気信号送受信システム」(海底電気探査システム)の英語略称である
「MANTA = MArine Navigated Towed Anntena」
をお借りしたことも白状しておこう(共同研究者でもあるT君はとっくに気づいているだろうが)。


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査読とは(3) ~査読者選定の難しさ~ [ 連載 Old..]

査読者を選ぶことは大変難しい。なぜならば多くの場合、学会は査読に対して無償、もしくは時給に見合わぬ安い謝金しか支払っていない。学会の財政状態は(おそらくどの分野でも)けっして裕福ではないのだ。ボランティア活動は就業時間内にはできない。企業の研究者は夜間や休日以外には査読の時間をとりにくいのだ(大学などの研究者もプロジェクト志向のため近年同様の状況になりつつある)。つまりは査読を引き受けていただけない場合が度々あるのが実情だ。私の場合は、査読をお引き受けいただけない場合は、別の方の推薦をお願いしている。専門家の数珠繋ぎでなんとかしようというのである。しかし何人かご紹介いただいているうちに、はじめに断られた専門家に戻ることもあり、しばしば苦笑する。結果、査読者選定に2週間もかかっていまうこともある。つまりは査読者選定は編集委員の重要な仕事の一つなのである。

査読の依頼をさらに難しくする要因は、論文の詳細や著者名を明かせないことである。論文の価値はスピードである。同じ内容の論文が2つあれば、先の論文が評価される。後の論文はともすれば二番煎じにつき掲載不可の憂き目に会う事もあるのである。こうなると査読を引き受けないかもしれない第3者に対して、うかつに論文の詳細を明かすわけには行かない。なぜなら査読の客観性を保つ為、査読者を論文の著者・共著者と同じ研究機関から選ぶことはできないからである。同じ分野の違う研究室の専門家、とはすなわち「ライバル」なのである。従って私の場合は、論文の概要、特徴(理論系か実験系か観測系かなど)、ページ数、図の数、編集委員の読後の感想のみを添えて査読の依頼を行っている。査読候補者にとっては、これだけの情報で膨大なボランティア的作業を引き受けることはためらいとなるだろう。また著者名を伏せているため、著者そのものを査読者として推薦いただくケースもあり、編集委員としても難儀する。学会によっては、査読者に判断材料を多く与えて査読者決定をスムーズにするために、投稿論文のまるごとコピーを査読候補者に送付するケースもあるという。一長一短である。

とはいえ私の分野では査読を快く引き受けていただけている。査読者には、学会の活性化と将来への発展性を理解いただき、ご協力いただいているのである。また逆に「○○社の調査のノウハウを論文のやり取りの中で聞きたい」という理由で、査読を引き受けてくださる専門家もいる。確かに査読結果をやりとりすれば、論文には書かれていない諸情報を知りうることになる。このあたりは非常に微妙な点ではあるが、論文査読という行為を逸脱しなければ許されることだと私は思っている。ともかく、編集委員としても査読者の努力を無にせず、会誌を有意義な場にしたいと常々考えている。

なお余談だが、「私は査読は引き受けない」旨をブログなどに堂々と書かれている研究者もいる。一編集者としては「ではいったいだれがあなたの論文を査読しているのか?」と問いたい。確かに「よい査読者を集めてよい学会誌を作りたければ査読に相当額の謝金を支払うのが当然」との意見もある。しかし学会とは企業ではなくコミュニティーである。会員一人一人の参加があってこそ、学会は盛り上がるのである。金銭のやりとりもある程度は必要であろうが「コミュニティーへの参加」の1つが論文投稿であり査読であると私は考えている。

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査読とは(2) ~査読者の選び方~ [ 連載 Old..]

まずどのようにして査読者(英語ではreviewerあるいはrefereeと言われる)が選ばれるのか、その過程から述べよう。この査読者が論文の掲載の可否に大きい影響を与えるのだから、論文を書く側としてはどのようにして査読者が選ばれているか気がかりだろう。

ほとんどの場合、査読者は学会誌の編集委員(Editorともいう)によって選ばれている。査読者の選び方は学会誌によって異なるが、大きくは次の2つが考えられる。

1) 投稿された論文毎に編集委員が査読者を決める場合
編集委員1名程度が投稿論文の担当者となり、個人のツテ等を頼りに査読者を選ぶ。むろんツテだけでは限界がある。後述のように査読は無償の場合があり、同じ人に何度も査読を頼むとそのうちやんわりと断られる。従って、編集委員は学術講演会(学会発表)などの場で耳をそばたて目を見張り、将来の査読者候補を探すケースも少なくない。あるいは「昨日の著者が今日の査読者」という場合もある。つまり論文の著者はその分野の知識が豊富であるだけではなく、査読時に必要な「主義主張に対する議論」の経験があるのである。過去に論文投稿経験のある者は査読者に足るということである。

2) 査読者の候補者が学会内で決められていたり、著者から査読者の推薦を受け付けている場合
この場合は、候補者や推薦者に対して編集委員から査読の依頼を行う。学会によってはほぼ自動的に査読候補者に査読をお願いするケースもあるだろう。査読者の第1候補者に査読を断られたら、事務局などから自動的に次候補者に打診をするのである。なお個々の論文について、査読者の自薦を受け付けている学会はないだろう。査読者の客観性が疑われる可能性があるためである。

いずれの場合も査読者は投稿論文と同じ分野に精通している専門家でないといけない。査読者には、投稿された論文の内容を十分理解し、投稿論文の内容に間違いがないか、過去に同様の研究がないか(もしある場合は投稿論文のどの点に掲載価値があるか)を慎重に判断する能力が必要があるからである。

つづく

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査読とは(1) [ 連載 Old..]

先日、査読を引き受けた。大体数ヶ月に1度、査読を引き受けている。
さて「査読」とは何か? この巧妙な仕組みこそが科学のみならず学問の正当性を支えている
といっても過言ではないだろう。
(そもそもどれくらい昔からこの「査読」制度は存在するのだろうか? どなたかご存知であればお教えください)

辞書を引くと査読とは
「〔学術雑誌に掲載するかどうかなどを決めるために〕論文などを第三者が読んで評価すること。」
とある。そのとおりで、第三者に論文を評価してもらうことで、その論文の出版の可否がきまるのである。具体的にはどんなシステムなのか?図を見てほしい。

ごらんのように査読というのは、論文が出版されるまでの過程の一つであり、かつ最も重要な部分である。ここでは複数回に分けて査読とその実状をお送りしたい。
なお私自身は某学会の編集委員も務めさせていただいているので、その辺の悩みや悲哀も途中におりこまれることになるであろうがご了承いただきたい。

つづく。

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