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比較:風力発電と原子力(2) [ 資源エネルギーを考える]

昨日の続きです。
風力発電と原子力発電を比べてみています。

wind2.JPG
https://www.sbenergy.jp/study/illust/wind/ より

風力発電の風車は、すごくでかいです!
なんと、飛行機の幅よりでかい!!
●ポール・アレンの世界最大の飛行機、「空の発射台」として2020年運用開始
 https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/08/2020-7.php
 下図もこちらの記事より。一番小さなボーイング747-8の幅が68.5m
 風車の羽はそれより大きい。
 wind3.JPG

仮に、上の模式図にある洋上風力発電機を、500m間隔で
3000基ならべるとすると、約30km四方の場所が必要です!!
でも、北海道(沖合の海)であれば、可能でしょうね。

ちなみにこれが夢物語かといえばそうでもなくて、現在すでに、日本のあちこち
で2000基以上の風力発電所が動いていて、原子力発電所1基に匹敵するくらいの
電力を賄っているらしい(下記)。すごいね!!
●FAQ:日本風力開発株式会社
 https://www.jwd.co.jp/faq/
 ※ここのA2をみてね。

風力発電の「稼働率」も気になるとところ。風が吹かなければ発電できません。
昨日の見積もりでは風が吹く日を3日に1日くらい=稼働率30%としました。
SBエナジーさんのページでは20%になってますね。また下記では25%で計算
しています。設置場所や状況によっては10%程度に落ち込むこともあるみたい。
(下記、太鼓山風力発電所)
●こんなに発電するの?小型風力発電2タイプの年間発電量を比較してみた!
 https://www.tainavi-pp.com/investment/wind/24/
●太鼓山風力発電所の概要
 https://www.pref.kyoto.jp/koei/denki_50.html
 ※H30年は最大1500kW**24時間365日/=13140MWhだが、
  実績は1521MWhなので、1521/13140=約12%
 ※なお、H30年度の売電総額は(1521*10000*18)=約2.8億円
  風車2基で年間に約3億円を稼ぐ計算です。

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昨日、最初に紹介した北海道の風力発電所のニュースに戻りましょう。
●北海道沖に国内最大級風力発電所 ノルウェー大手計画 出力は泊原発の2倍
https://news.yahoo.co.jp/articles/07619779134b88a4cc67d4f89894b661cef29723

あらためて診ると、いくつか(も)気になることがありますね。
・今回の風力発電所は、北海道電力泊原発全3基の総出力(207万キロワット
 =約2ギガワット)の約2倍に当たるとあるけど、稼働率を考えると、
 4ギガワット×0.3=1.2ギガワットなので、泊原発には負けますね。
 それでも原子炉1基分くらいは賄える。
・しかし、洋上に風車を何千基も置いたりして、漁業への影響は大丈夫?
 環境への影響は??
・メンテナンスはどうするんだろう、、、
 数十km四方に数え切れないほどの風車、、、毎日どれかが故障する、、、
・台風とか冬の強風で、風車が倒壊しない??
 (実際、沖縄などでは風車が壊れてしまいました)
 →台風 14号による 風力発電設備の倒壊等事故調査報告について
・風車の建設も大変そうだけど、地盤調査とかどうするんやろう?
 メチャメチャ広大な海底と、その下の地質を調査するんよね、、、
・これらを請け負うのは外国企業?? 大丈夫??
・国産企業や調査会社、もっとがんばれ!!

いろいろ気になりますが、科学技術でなんとかなる部分もある。
今後どうなるか、注目したいと思います。



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伊牟田勝美を名乗るニニギ

再生可能エネルギを推進する際に見落とされがちなのが、電力の安定性です。
再生可能エネルギの多くは、指定された出力を得ることができず、文字通りの風任せです。
再エネ発電所に併設される蓄電池は、瞬間的な変動(風の強弱等による出力の変動)を抑えることが主目的で、例えば太陽光発電の夜間分を賄うような設計ではありません。ましてや、季節による通年の変動に対応できる能力はありません。

将来的には、再生可能エネルギーを核にした発電体制になるのかもしれませんが、それを実現するためには、蓄電技術の革新が必要です。
新しい二次電池の開発、水素での備蓄、揚水発電所の増強、フライホイール等、ありとあらゆる施策を実行するべきだと思います。
それらが実現するまでの時間稼ぎとして、既存の原発を再稼働することもやむなしと考えます。

by 伊牟田勝美を名乗るニニギ (2022-01-06 00:54) 

みきぱぱ

地域漁業とどう折り合っていくか,技術より感情が先に立つ日本ではなにやっても問題解決に多大な時間とコストが掛かりますね。 https://www.chosyu-journal.jp/shakai/12559
by みきぱぱ (2022-01-07 07:46) 

MANTA

伊牟田勝美を名乗るニニギさん、コメントありがとうございます~

おっしゃるとおりとおもいます。蓄電池についても、いずれまた取り上げますが、充電時に20~30%ほどのエネルギーが失われてしまいます。もったいないですね。

電池の能力があがったとしても、強風にさらされる(さらされないと発電ができない)風車はメンテナンスが大変だと思います。技術革新があったとしても、このコストはあまり下がらないでしょう。
上記の太鼓山風力発電所(京都)の場合は1基で年間約1.5億円を稼いでいましたが、それでもペイしなかったとすると、洋上風力発電は果たして維持可能なのでしょうか、、、

原子力はいまある施設は使えますが、その後の新規建設はもう無理でしょうね。今後のエネルギー不足に加えて、高レベル放射性廃棄物の処分と、この国の抱える「負債」は増えるばかりです。このあたりでなんとかしなければ。

by MANTA (2022-01-08 18:14) 

MANTA

>技術より感情が先に立つ日本ではなにやっても問題解決に
>多大な時間とコストが掛かりますね。

みきぱぱさん、コメントありがとうございます。
どの国もいまは、感情が先に立っていると思います。ポピュリズム政治が世界中で一定の指示を受けていますし。ただ、日本人の科学音痴は、他国に比べると度を過ぎたレベルだと思います。
このブログも休んだり再開したりを繰り返していますが、イチ科学者としてできることは発信していこうと思います。砂漠に撒く水のごとし。


by MANTA (2022-01-08 18:18) 

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