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宮城県沖地震とは? [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]

一昨日の地震では、大きな被害はなかったようですが、ケガ人が出ています。
●宮城で震度5強、石巻などで9人けが M6.9、一時津波注意報
 https://news.yahoo.co.jp/articles/8384336cc0e980ba4361f73d434f98086649572e
余震はまだ続いていますので、地元の皆様はお気をつけください。

昨日の地震(M6.9)は、いわゆる「宮城沖地震」です。
これまでに、宮城県の東方沖では、プレート境界断層で大きな地震が繰り返し
(周期的に)発生しています。

昨晩の地震発生を受けて、気象庁ではさっそく諸資料を公開してます。
ちょっと見てみましょう。
●令和3年3月20日18時09分頃の宮城県沖の地震について
 -「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第91報)-
https://www.jma.go.jp/jma/press/2103/20a/202103202020.html
https://www.jma.go.jp/jma/press/2103/20a/kaisetsu202103202020.pdf
miyagi01.JPG

これまでに以下の年(付近)で、マグニチュード7クラスの地震が起きています。
1897年
 ↓
1936年
 ↓
1978年
 ↓
2011年

今回の地震も同様の場所で起きています。
上記資料(気象庁)には、発生頻度のグラフもありました。

miyagi02.JPG
上図にはさらに、1962年宮城県北部地震(内陸の地震)も追加されています。
かつては確かに周期的に地震が発生していましたが(38年ほどの間隔)、
2011年の東北地方太平洋沖地震から今回の地震までは10年間です。
※詳しくは下記資料を参照(P.18など)
 日本海溝沿いの地震活動の長期評価
 https://www.jishin.go.jp/main/chousa/kaikou_pdf/japan_trench.pdf
 
昨日の地震の発生場所も、同じ気象庁の資料にありました。
miyagi03.JPG
横軸を東西、縦軸を深さとして、震源をプロットしています。
図の右上~左下へ伸びる地震活動が、プレート境界で発生する地震です。
昨日の地震はやはり、プレート境界で起きたようですね。
他方、2011年4月7日の地震は沈み込む海洋プレート内部で起きています。
2011年3月11日のM9地震は巨大すぎてよくわからない部分がありますが、
その一部は「宮城県沖地震」の震源域を含んでいるようです。
2011年から今回の地震まで約10年ですから、今回は随分と短い再来周期で
宮城県沖地震が発生したことになります。

miyagi04.JPG
最後の図も、先の気象庁の資料から。
横軸が時間、縦軸は各々の地震のマグニチュードです。
2011年の東北地方太平洋沖地震以降、宮城県沖では地震活動が活発化
していることがよくわかります。今回の地震は2011年の地震の余震と
言われる所以ですね。

ただ、本当に「余震」だったのでしょうか?
実は気象庁は2011年の地震の余震について、見直しを検討しています。
●「余震」発表の見直し検討 東日本大震災から10年で―気象庁
 https://www.jiji.com/jc/article?k=2021021600546&g=soc

どういうことかと言いますと、一言で言えば、もう次の大地震のフェーズに
入ったかもしれないのです。余震と聞けば、小さめの地震が多発する印象が
あります。他方で、2011年から10年経ちましたので、新たな大地震の発生
リスクも上がっているわけです。いつまでも「余震」と言っていると、防災
対策や人々の意識と、起こりうる大地震の間のギャップが広がってしまう。
専門家や気象庁はそれを危惧していると思います。
(またそもそも余震の科学的な定義は、はっきりとはしていません)

実際、今回発生した宮城県沖地震の発生についても、ある程度予測されて
いました。国が一昨年行った地震の長期発生予測によりますと、、、
●日本海溝沿いの地震活動の長期評価(P.29)
 https://www.jishin.go.jp/main/chousa/kaikou_pdf/japan_trench.pdf
今後30年以内の地震発生確率は50%程度でした(※)。
宮城県のもう少し沖合でM7.0~7.5の地震が30年以内起きる確率は
90%です。同様の地震が青森沖や茨城沖で発生する確率もそれぞれ
90%以上だったり80%だったりします。

今回の地震は余震であって、しかしもはや余震ではないでしょう。
なお、お住いの地域での地震発生確率を調べるには、下記サイトが便利です。
●地震ハザードカルテ(J-SHIS)
 https://www.j-shis.bosai.go.jp/labs/karte/
●地震発生確率(J-SHIS)
 https://www.j-shis.bosai.go.jp/tag/probability-of-occurrence

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(※)追記:
今回の宮城県沖地震の発生確率(30年間)は一昨年の時点では50%でしたが、
去年、60%に改定されています。発生条件が整っていたことが、種々のデータ
から少しずつ、明らかになっていたのでしょうか?
●長期評価による地震発生確率値の更新について
https://www.static.jishin.go.jp/resource/evaluation/long_term_evaluation/updates/prob2020.pdf
他方、今回の地震はマグニチュードは6.9と小さめであり、またこれまでの
宮城県沖地震の震源とは異なる場所で起きています。マグニチュードが0.2下がると
地震の規模は約半分になります。本来の宮城県沖地震のマグニチュードが7.4だと
すれば、その差は0.6 → 0.5^(0.6/0.2)=今回の地震は従来の宮城県沖地震の
約8分の1の大きさに過ぎません。いわゆる「宮城県沖地震」はまだ起きていなくて、
今後起きるのかもしれません。そうおもうと、今回の地震では、余震活動を心配する
だけではなく、あらたな「宮城県沖地震」に注意しないといけません。
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