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オンライン試験という、幻想。 [▼連載【新型コロナウイルスと社会】]

新型コロナウイルス感染拡大で、社会全体は大変なことになった。
大学も例外ではない。ただしインターネットの普及のおかげで、
ネットワーク越しに講義を行うことはできた。その成否・善悪はさておき
ともかく実施できた。しかし大きな問題が立ちはだかる。

期末試験の実施、である。
キャプチャ.JPG

ここまで、大学教員はあの手この手で、なんとか講義を成立させてきた。
実験・実習においては、その手順をビデオ撮影して配信。あるいはリアル
タイムで実験。あるいは家庭でできる実験内容を急遽ひねり出して実施。
学生は(得られるであろう)実験結果に基づきレポートを作成するという
ある種の離れ業さえやり遂げた。その学習効果の程を問うことは、、、、
とりあえず置いておくとしても、厄介なのは試験であった。

最大の敵は「カンニング」だ。
オンラインの資格試験などはこれまでも実施されているが、あれは「監督者」
が受験者の不正を防止しているので成立する。監督者ナシのオンライン試験は
やりたい放題である。
・インターネットをみて、回答する
・友達どうしで集まって、相談しながら回答する

大学教員らの工夫は多岐にわたった。以下はその例である(備忘録)
・フラッシュ試験:1つの問題を短時間で解かせる
・フルコース試験:大量の問題を出して解けた部分で評価
・ランダム試験:受講者毎に異なる設問がランダムに出題される

これらを組み合わせる教員ももちろん居る。例えば、Google Formでは
予め作っておいた問題をランダムで出題することができる。
●自動で採点・結果通知もできる!
 GoogleフォームでWEBテストを無料作成する方法
 https://media.rakumo.com/2018_10_31_482/
●小テストを作成する
 https://utelecon.github.io/lms_lecturers/prepare_quizzes.html
これに加えて、1問あたりの回答時間を短くすれば(例:2分)、試験中に
複数名で集まって、相談をしながら回答することは、困難にはなる。

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しかし、抜け穴はあるだろう。大学の先生方はみんな、どうしているのだろう?
気になって、某SNS(FB)で他大学の先生方に聞いてみたところ、、、
・定期試験を例年と同じようにやろうと思うのがそもそも間違い。
・試験は実施したけれど、「リアルタイムのレポート」の位置づけにした。
・授業の終わりに毎回、簡単なクイズを出した。期末試験は「スゴイクイズ」。
・ただ、リアルタイムのオンライン試験の場合、ネット環境に注意。
 (どの学生も安定したネット環境を持っているわけではない)

なるほど、試験をしなければ成績を付けられない、と思い込むから、
どうやったらカンニング防止ができるか、という発想だけに凝り固まるのだ。
そうなると、講義の1回毎に実施する小テストやレポートがとても大事になる。
幸い、ネットベースのオンライン講義ではクイズを出しやすいし、レポートの
管理もラクチンだ。反面、学生は大量のレポート地獄を味わっていたわけである。
その分、定期試験がなかったんで許してつかぁさい  m(_ _)m

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それでもFBの書き込みを見ていると、
「どうやったら定期試験ができるのか? おしえて!!」
「私はなんとか定期試験をやりました。方法は”性善説"です」
「精一杯やりました(定期試験を)」  ←カンニング対策は…?
という先生方の意見を多数見かけた。

一番「ニューノーマル」と程遠いのは、大学教員の硬い頭のほうだったりもする。
いやはや(自戒)。

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MANTA

追伸:今日、ある先生にお会いし、オンライン試験の顛末を伺えた。
・ネット会議システムの「投票」機能で試験を何回か実施した。
・記述式にしたところ、「あ」だけを間違って入力・確定する学生等
 が続出。チャットが「どうすればいいですか?」の悲鳴で埋まる。
・その反省を生かして、選択式にしたら、学生間ではLINEで答えが
 回っていたらしい(ランダム出題ではなかった)。
・1題の解答時間が2分だと、LINEに答えが載る→学生間で正解か
 どうかを相互評価→正解っぽい→各自で解答、という一連の流れ
 が最後までは達さないっぽい。3分だと達する。
・なかには、何度やっても解答を入力できない学生がいる。
 たぶん学生のPCの設定等が原因だが、もしかすると不正行為かも。
 最終的には学生が「うまく入力できない様子」を動画で送ってきた
 ので、別途対応することにした。
・なにをやっても必ずトラブルが起きる。これを120名の講義で行った
 が、後期はゼッタイに対面で試験する。

…だそうです。
by MANTA (2020-08-17 17:59) 

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