SSブログ

シチミか、ナナイロか [ 科学コミュニケーション]

先日、東京(新橋)に行った。とある省庁で会合があったためだが、これがまた、
聞いていたのを遥かに上回る大変なものであった。なるほど、だからわざわざ
某研究機関の方が「先生、よろしくお願いします」的な事前説明に来られたのね。
うーん、大変だ……と気落ちする数時間ほど前。

前置きが長くなったが、新橋近くで昼食を取った。蕎麦だ。元来、うどん好きであるが
東京に来たらやっぱり蕎麦だ。たまたま入ったお店でワカメ蕎麦を頂いたが、蕎麦
のみならずワカメも美味しい。水にもこだわっていると、張り紙にある。

 DSC_0243.JPG
 卓上の七味唐辛子。

あ、ここはこだわってないのね。京都だと清水寺の七味屋さんとか、原了郭さんとか
人気の七味があるのになぁ。東京には本格七味はないのかな?と思って調べてみたら
七味唐辛子はどうやら東京で発明されたらしい(※1)。ほほぅ。
江戸時代初期、漢方を食に利用できないか、というアイデアから生まれようだが、
案外、「あー、唐辛子を仕入れすぎた、なんか新製品かんがえなくちゃ!」だったりして。
その後、七味は京都にもたらされる。京都人にとってはきっと、
「うわ、辛いなぁ、唐辛子減らして山椒増やしたろ」となったことは想像に難くない。
(京都の七味は、山椒が多めなのだ:※1)

江戸時代の前期は京都や大阪のほうが流行発信地だったらしい(※2)。
現在、流行・情報の拠点の座はすっかり東京に移っているが、当時の京都人は
七味を食べて、辛い!と思い、でも自分たちなりに改良し、オリジナルの名物として
販売した。もともと、京都は関東に比べて食材には恵まれてはいない(※3)。
そんな中で生活に工夫を凝らしてきた。結果、京都の人は新しいもの好きで、
流行りをどんどん取り入れて、発信していたのだろう。
いまの京都は、そんな姿からは程遠いかもしれない。

 DSC_0238.JPG
 過日、別のお店に入ったら「八味」があったよ。
 ハチという調味料会社が出している。洒落やね。

ちなみに関東方面では「ナナイロ唐辛子」、関西方面では「シチミ唐辛子」と
呼んだようだ。鮮やかな見た目が売りか、味が売りか。
この違い、今の関東と関西の違いにも残っている気がする。
全国的には「シチミ唐辛子」が定着してしまっているのもまた面白い(※4)。
(上の写真のS&Bも東京発の調味料会社なのに)

私は今、京都に住んでるけど、そういえば「こだわり七味」を買うことはあまりない。
関東に住んでいた時には、おみやげに買って帰ってたのに。また買おう。
蕎麦を食べながら、そんなことを考えていた。
ごちそうさまでした。

 DSC_0251.JPG
 蕎麦を頂いたのは「SOBA CAFE FUKU」さん。
 https://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13198376/
 オープンしたてのお店のようだった。

文化とか歴史とかって、おもしろいね。
科学も歴史や文化の上で成り立っている。だから、なかには良くわからない
(古い)ルールや法則やシキタリもあったりする。人間のやることだから当然だ。
そんなことや、あんなことも学ぶことが、科学を知ることになるのだろう。

 DSC_0248.JPG
 でもネクタイって変だよね。先日の会議でネクタイ締めたけど、
 なんでこんな変な紐を首に巻きつけてるんだろう? > 人類
 いろんなことが不思議、不思議。

※1:薬味として確立した七味とうがらし(京都・産寧坂「おちゃのこさいさい)
 http://www.ochanokosaisai.com/html/page43.html
※2:悠久の日本美を京都から世界へ(京都創生推進フォーラム)
 http://www.kyoto-sousei.jp/forum06/1025_04.html
※3:七味の歴史(七味家本舗)
 http://www.shichimiya.co.jp/hpgen/HPB/entries/10.html
※4:長野も七味が名物だそうな(七味唐辛子の由来:八幡屋礒五郎)。
 https://www.yawataya.co.jp/about/history/

nice!(2)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

nice! 2

コメント 6

MANTA

Facebookのほうに、2件ほどコメントをいただきましたので、ご紹介します。

・関東はシチミと言わずにナナイロって言うんですか?初めて知りました
・海外でも売上の伸ばしている七味唐辛子、英語表記では「NANAMI  
 TOGARASHI」だそうです。
https://www.sbfoods.co.jp/recipe/supportdesk/101005_qa.html

by MANTA (2016-12-14 18:33) 

MANTA

>関東はシチミと言わずにナナイロって言うんですか?初めて知りました
コメント、ありがとうございます。
ナナイロは、ちょっとググってみたところ、どうも古い言い方のようですね。
関東の田舎の方ではそう呼んでた(いまも?)らしいです。

>海外でも売上の伸ばしている七味唐辛子、英語表記では
>「NANAMI TOGARASHI」だそうです。
なんと! 海外ではナナイロなんですね! ご紹介頂きましたページでは、
「イチミ」と「シチミ」の発音の区別が外国人にはわかりにくいので、ナナイロ
にしたとのこと。ならばRainbow Seasoningとして売り出すのはどう?
なんでも七味唐辛子自体、日本にしかないらしい。
ほぇー、おみやげにしたらウケるかしら?

参考:海外の友人へのお土産にしたい、日本のスパイス5選
 http://www.cafeglobe.com/2015/09/049415japanese_spice.html
by MANTA (2016-12-14 18:39) 

伊牟田勝美

ネクタイは、防寒着の一種です。
その起源は、ローマ兵の防寒用スカーフが原型とする説もあります。
ネクタイには、胸元への冷気の侵入、シャツの中の暖気の流出を防ぐ役目があり、防寒の機能を持っています。
夏場にネクタイを締めるのは、マフラーを巻いているのと同じようなもの。夏場のノータイ運動は、「夏場はマフラーを巻くな!」とわざわざ言っているようなものですね。


by 伊牟田勝美 (2016-12-17 00:52) 

MANTA

>ネクタイは、防寒着の一種です。
そうだったんですね! じゃあ、クールビズは理にかなっていると。

ネクタイがもともと兵士の防寒着というのもおもしろい。
そういえばスーツも元は普段着だと聞いたことがあります。
現在は、ジョブズやザッカーバーグが、襟なし+ジーパンで公の場に現れて
いました。21世紀はこちらが正装になるかもしれませんね。

by MANTA (2016-12-18 09:50) 

伊牟田勝美

>スーツも元は普段着〜
普段着と言うより、作業着のようです。
その証拠に、やたらとポケットが沢山あります。
上着は、外側に3ヶ所、内側にも2〜4ヶ所、ベストにも3ヶ所、シャツにまで1ヶ所、ズボンも4〜5ヶ所。全部で最大16ヶ所にポケットがあります。コートも入れたら約20ヶ所!
セビルローでスーツ(背広)が作られ始めた時代の女性服は、ポケットはほとんど無かった事との対比が面白いですね。
スーツは、機能的だったので、ここ200年間の男性服はほとんど変化していません。
もしかすると、ジョブズやザッカーバーグ、そして地球温暖化によって、男性服の正装が変わるのかもしれませんね。

by 伊牟田勝美 (2016-12-18 12:24) 

MANTA

>ジョブズやザッカーバーグ、そして地球温暖化によって、
>男性服の正装が変わるのかもしれませんね。
そうですね、そう思って最近は時代を先取りした服装で仕事しています。
(単にスーツを着るのが嫌になってきていて、ジーパンの日が増えてるだけ)

by MANTA (2016-12-20 12:04) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。