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【だいぶ前】雑誌POPEYEの取材 [▼研究実況 Now!]

もう2年以上前なので私も忘れてましたが(^^;)、雑誌POPEYEの取材を
受けましたっけ。下記の号です。

POPEYE (ポパイ) 2014年 04月号 [雑誌]

POPEYE (ポパイ) 2014年 04月号 [雑誌]

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2014/03/10
  • メディア: 雑誌


自分自身のパソコンの中の整理していたら、当時のメモがでてきましたのでご紹介。
もう2年も前の雑誌の話だから、いいよね、時効よね?(著作権的な話)

この号の企画に「著名人が抱く素朴な疑問にその道の専門家が答える」というものが
ありまして、私は、かの「ピエール瀧」さんからのご質問に答えさせて頂きました。
あまちゃんの梅さん! 軍師官兵衛の蜂須賀小六! 電気グルーヴ!
紙面に掲載された内容も、ボツになった部分もあるけど、「地下」に関するご質問について
次のように回答させていただきました。(以下、当時に頂きましたご質問と回答)

DSC_0159.JPG
 こんな感じに掲載されました。

------------------------------------------------------------
> 「人類が宇宙に向かう姿勢は結構なことだが、地球の中心に向かっての到達点は
> 今現在どこまでなのか?」(電気グルーヴのピエール瀧さんからの疑問です。)
> ・ずばり地底研究は地面からどれくらいのところまで進んでいるのでしょうか?

A. 地表の数cmから地下数千kmまで、いろいろな深さで地底の研究がなされています。
つまり「地球を輪切り」のレベルまで、地底研究は到達しています。

> ・「到達点」ということで言うと、人類が到達した地下は地面からどのくらいの距離ですか?
> (また、ロボットなどではどのくらいの距離でしょうか?)

A. もちろん、地球を本当に輪切りにできるわけではありません。
人類が到達した深さは最大で約4,000mだと言われています(南アフリカの金鉱山)。
人類が掘った穴(細くて人間は入れません)の記録としては、コラ半島(ロシア)
にある科学調査用の井戸が最も深く、最深部は地下12,262mです。ところで2011年、
サハリン(ロシア)の石油・天然ガス採掘用井戸により、この記録は破られたようです。
深さは12,345mとのこと。新記録は覚えやすい数字です。ただし、地球の半径は
約6,400kmもあります。仮に地球をサッカーボールの大きさだと考えると、
人類史上最も深い穴をもってしても、ボール表面の皮の厚さの10分の1程度まで
達したにすぎません。地下の世界のほとんどの場所に人類は到達できていません。

 
 地球の輪切りと、地底人、地底ネコ。
 → http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2013-10-28-1

> ・どのように地球内部のことを調査しているのですか?

A. 地面を掘って地下を調査するには限界があります。そこで、地震の揺れや電気信号
を利用して、地球の中を透視しています。人間の体の中だって実際に切らなくても
覗き見ることはできますね?(超音波やCTスキャンなど) 地球の場合も原理は
よく似ています。これは「物理探査」という技術ですが、詳しい内容はとても書ききれ
ません。拙著「地底の科学」(ベレ出版)などで分かりやすく紹介しています(下参照)。

> ・例えば、宇宙ならNASAのように、その道で進んでいる国や機関はありますか?

A. 地底研究は、実はこの日本が進んでいます。例えば海底より下を調査したり、海底を
実際に掘り抜く研究はJAMSTEC(海洋研究開発機構)や日本の大学が世界をリード
しています。地震・火山などの防災のための地下調査については、防災科学技術
研究所や東京大学地震研究所が有名です。一方、資源探査については、欧米の
石油会社や大学などが一歩リードしています。

> ・一番最大の地底には、どんな生物が確認されていますか?

A.以前は地下深くに生物などいないと思われていましたが、近年は地下数百m~数km
の無酸素・高温状態でも行きていける微生物が続々と見つかっています。
この「無酸素・高温」状態は、誕生時の地球の様子と似ているため、地球最初の生命体に
似た生物がいまも地中で生きているのではないか?とも言われています。また南極を覆う
厚さ4,000mの氷河の下にも、新種の微生物が見つかっています。

> ・地底研究の分野でいま最も注目されていることは?

A. まずは先程書きました「地下生命探査」です。大型の地底人などが見つかるとは
思いませんが、私達の常識を覆す「スーパー微生物」が見つかる可能性は大です。
あるいは火星や木星の衛星などでも地下に生物がいる可能性が指摘されています。
次に資源分野です。これまでは注目されなかった新しい種類の石油や金属資源が、
地下や海底の下から見つかっています。そして、地震・津波・火山による災害を
予測するために、活断層などの地下探査が注目されています。

 
 こちらは遺跡調査の例(日本)。
 遺跡を掘らずに地下探査、これも世界各地で行われています。

> ・地底を研究するとどんないいことがありますか?

A. 大きくは3つに分かれます。1つ目は防災面。活断層の地下での位置や活動度予測は
地震列島「日本」に暮らす私達として重要な課題です。2つ目は資源面。陸上のエネルギー
や金属資源に乏しい日本にとって、地下・海底下の資源の開発は長年の夢です。
3つ目は環境面。地下水汚染や汚染物質の地下での移動は目に見えない現象なので
やっかいです。地下の「見える化」が求められています。以上の地底研究のテクノロジーは
同じ課題で悩む国々(特にアジアの国々)へ輸出することで、海外の人達を助ける事も
できるでしょう。…などと、社会に役立つ側面を紹介しましたが、地底に予想もしない発見や
ロマンがあります。誰も見たことがない、地底に住まう究極生物とか、新しい宝石とか。
地底を探検するロボット、なんてのもまだ発明されていません。
あるいはもっと単純に、モグラが地中を進んでいるところを透視してみたい。
地底の研究で一番楽しいことは、未知の世界を探検するワクワク感なのかもしれません。

----
…以上、ふるいメモ(ネタ帳)の掘り起こしでした。しかしPOPEYEかぁ。
バブルの頃は、青少年のバイブルやったなぁ(私も買ったことあり)
あと、ピエール瀧さんには直接はお会いしておりません!
一度お会いして、地底の話をしてみたい~


地底の科学 地面の下はどうなっているのか (BERET SCIENCE)

地底の科学 地面の下はどうなっているのか (BERET SCIENCE)

  • 作者: 後藤 忠徳
  • 出版社/メーカー: ベレ出版
  • 発売日: 2013/10/22
  • メディア: 単行本


ついで、藤岡さんの本とか、地底探査の歴史の本も紹介してみる。

深海底の地球科学

深海底の地球科学

  • 作者: 藤岡 換太郎
  • 出版社/メーカー: 朝倉書店
  • 発売日: 2016/11/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



地底 地球深部探求の歴史

地底 地球深部探求の歴史

  • 作者: デイビッド ホワイトハウス
  • 出版社/メーカー: 築地書館
  • 発売日: 2015/12/21
  • メディア: 単行本


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