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熊本地震で分かってきたこと(2) [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]

前回の続きです。余震活動はすこし落ち着いてきたようにも思えます。
今後どうなりそうでしょうか? まずは最新の余震の増え方を見てみます。

 「平成28年(2016年)熊本地震」について(第24報)(気象庁)を改変
 http://www.jma.go.jp/jma/press/1604/21b/kaisetsu201604211530.pdf

余震発生数(マグニチュード(M)4以上)はついに200回に達しました。
4/16のM7.3の地震以降の余震数だけをみてみると…
(上図にマウスをあててみてください。マウスオーバーで表示されます。)
余震活動の増え方は、2008年の岩手・宮城内陸地震(M7.2)のパターンに似てきました。
ということは余震活動は長きそうです。岩手・宮城内陸地震の時には、M4以上の余震は
本震発生から2ヶ月後も発生していました。
●過去のいろいろな地震の余震活動はどうでしたか?(気象庁)
 http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/aftershocks/kako_aftershock.html

また熊本地震は中越地震にとても似ています。余震数が多い点、本震に匹敵する
大きさの余震(熊本地震の場合は前震も)があった点、複数の断層が活動した点
などが類似しています。中越地震の時には、M6クラスの本震発生から4日後や
16日後にも、M6クラスかそれに近い余震が発生していました。
●余震とは何ですか?(気象庁)
 http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/aftershocks/kiso_aftershock.html

ですので、今後1ヶ月程度は大きめの余震(M6クラス)に注意が必要です。
(ゴールデンウィーク、、、)

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ではどの地域で余震に注意が必要でしょうか?
再び、最新の前震・本震・余震の分布をみてみましょう。


 いずれも「平成28年(2016年)熊本地震」について(第24報)(気象庁)より

上図は震央の分布図、下図は時間にともなってどこで地震が起きたかを示しています。
(Aが大分方面、Bが熊本県南部方面)
赤い丸が地震の発生の位置ですが、地震が起きていない地域がいくつかあります。
(マウスオーバーで、点線円が表示されます)
・大分県南西部
・阿蘇山近く
・熊本県南西部
このうち、大分県南西部や阿蘇山近くは、火山が近くにあるために、地殻があまり
固くなく、地震を起こすだけの歪が溜まっていないのかもしれません。また阿蘇山近く
では、4/16のM7.3地震の際にずるっとすべり、歪をすべて開放したのかもしれません。
とはいえ、これらの地域では非常に浅い深さ(例:数km)で、M4~5クラスの地震が
起きる可能性はあります。局地的に大きな地震被害がでるかもしれませんから、
十分注意をすべきでしょう。

また熊本市・益城町付近から熊本県南西部(八代)にむけて、余震活動が少しずつ
伸びていることはご存知かと思いますが、今後も南側に余震活動が伸びていく可能性
があります。さらに南側の海底にも、今回の地震を起こした日奈久断層帯の活断層が
伸びていることはわかっており、そこでの地震発生確率(30年間で0~16%)は、全国の
活断層の中でもトップ10に入るほど高いことが知られています。
●九州地域の活断層の地域評価
 http://www.jishin.go.jp/evaluation/long_term_evaluation/regional_evaluation/kyushu-detail/
●布田川断層帯・日奈久断層帯
 http://www.jishin.go.jp/main/yosokuchizu/katsudanso/f093_futagawa_hinagu.htm
●都道府県ごとの地震活動
 http://www.jishin.go.jp/regional_seismicity/

どの程度南まで余震活動が及ぶか分かりません。あるいは海底活断層があらたに活動
を始める可能性もあり、この場合はM7クラスの地震発生に至るかもしれません。
少なくとも1ヶ月程度は、これらの地域の地震活動に十分注意をすべきかと思います。

なお、これまでに大きな地震に襲われた熊本市・益城町・南阿蘇村などの地域では
これまで以上の大きな揺れがやってくる確率はかなり低くなったと思います。
いろいろと壊れてしまったものなどを片付けたり、自宅に戻れるかどうか準備を
進めることが可能になったと思いますが、震度4~5弱程度の揺れはまだまだ続きます。
安全の確保と、(とはいえ無理な避難生活も厳しいものがありますので)健康の確保、
両面のバランスを取るという、難しい判断の日々が続きそうです。

次回は九州以外の地域での地震の可能性について触れてみます。

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MANTA

なお小さな余震がたくさん起きたからといって、安心してはいけません。
本震のエネルギーには圧倒的に負けます(逆に言えば、小さな地震がいくら
起きたからといって、地殻の歪は解放されたとは言いがたい)。
余裕があれば次回記事で補足説明をします。
by MANTA (2016-04-22 08:36) 

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