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ノーベル賞は誰のため? [▼科学ニュース New!]

今週は日本人のノーベル物理学賞の受賞が大きなニュースでした。
(→ こちら: http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2014-10-08
一方、同文学賞や平和賞の日本人受賞はなりませんでした。
●村上春樹氏 またもノーベル文学賞逃す 受賞者は仏作家のモディアノ氏
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141009-00000109-spnannex-ent
●「憲法9条の理念はノーベル平和賞に値する」 署名集めに奔走した人たちの「思い」
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141009-00002146-bengocom-soci

prize.jpg

「受賞できず残念」 「惜しかった」
確かにそうかもしれません。でも私はこの「惜しい」には少し違和感を覚えています。
そもそもノーベル賞とは一体、どのような人に送られる賞なのでしょう?
それは偉大な科学者ノーベルの遺言により明確に定義されています。すなわち、
「人類のために最大たる貢献(greatest benefit on mankind)をした人々」
だそうです。
●Alfred Nobel's last will and testament
 http://www.thelocal.se/20091005/14776

そういう意味では、村上春樹氏の作品のように、英語などに翻訳されて世界で広く
読まれているからといって、それだけではノーベル賞にはならないということです。
文学における「人類のための貢献」が何かは私にはよく分かりませんが、
下記のような意見があるようです。
●村上春樹のノーベル文学賞受賞は永久にないと思う件
 http://blogos.com/article/48246/
(以下、引用)”村上春樹ファンからの叱責を恐れずに言ってしまうなら、氏はどうしても
文学者とは程遠いところに位置し流行作家の域を脱していないという気がするのです”

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憲法9条についても同様です。確かに日本国憲法には「戦争をしない」と明記がなされて
います。しかし、その一文が「人類のため」どのような役割を果たしたというのでしょう?
私は「国際的には何の役割も果たしていない」(だって「日本国憲法」ですからね)と
考えています。もし間違っているようでしたら、ぜひコメント欄で事例をお教え下さい。

しかもあろうことか、こんなニュースまで。
●<憲法9条>ノーベル平和賞「今後に期待」 野党幹部ら
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141010-00000112-mai-pol
(以下、引用。著名政治家のコメント)
 「9条がないがしろにされていることへの危機感だ」
 「今後受賞すれば、改憲の動きが抑えられる」
 「受賞すれば憲法改悪への批判が高まった。非常に残念」

ここにも国際的な視点はひとつもありません。それどころか自国の憲法なのに、
その議論に「黒船」を期待している。政治家ならば、政治で堂々と決着をつけると
言って欲しいところですが、非常に残念です。

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一方、今回の受賞者は10代の少女でした。
●<ノーベル賞>マララさん、前進の励みに
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141011-00000005-mai-soci
もうお一人の受賞者も人権のために戦っている方でした。
おりしもイスラム圏では、今日も戦闘が続いています。それも含めた受賞なのでしょう。

あるいは日本人が物理学賞を受賞した「青色発光ダイオード(LED)」。
スマホに使われていたり、省エネを進めねばならない日本にとって必要な技術だと報じられて
いますが、それは日本国内のお話。他方、アフリカやアジアの各地域では電力の供給が
不安定で、低消費電力のLEDはこれらの国の社会問題の解決に役立ちつつあります。
● 無電化地域の生活照明として活躍する「ソーラーランタン」を発売
 http://panasonic.co.jp/corp/news/official.data/data.dir/2013/10/jn131029-1/jn131029-1.html
このような国際的な貢献も含み、青色LEDはノーベル賞に輝いたのです。

hands.jpg
 異なる色の手と手が地球を支えている。

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あらためて問います。
ノーベル賞とは一体誰のためのものなのか?
「惜しいですね」「来年もまた応募しましょう!」「いずれはノーベル賞!」
(村上春樹さんについては、どうかは存じかねますが)
「憲法9条のノーベル平和賞受賞は永久にない」と私は思います。

自分の国の運命は、自分たちで決めれば良い。
なのに私達は、海外の誰かが決めるノーベル賞に異常に一喜一憂する。
そういえば今月は東京オリンピックからちょうど50年。テレビ各局では2020年の
東京オリンピックに対する異常な期待感で膨らんでいる。これも海外の影響でしょう。
私達はいつまで「黒船」や「神風」に頼り続けるのか?
海外の意見に右往左往しながらずっと生きていく定めなのでしょうか?
自分の国の運命を自分たちで決めることはできないのでしょうか?

華やかな日本人ノーベル賞受賞のニュースの影で、そんなことを感じた週末です。
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Working Dad Oversea

憲法9条のノーベル賞騒ぎは政治臭がプンプンしていたね。プロ市民の方が頑張っているんでしょうね。

仮に「憲法9条を持つ日本国民」が受賞するなら、在日米軍とGHQも共同受賞しないと片手落ちだよね。
在日米軍がアジアの安定に大きな力を発揮させているおかげで、日本が平和憲法という自己満足を謳歌しているわけだし、元々はGHQ謹製だしね。
by Working Dad Oversea (2014-10-11 23:32) 

かも

 私も、ノーベル文学賞が流行作家に与えられることが望ましいことおも思いませんし、9条が受賞して、自民党政権が代表してもっと言い憲法を作ります等というブラックユーモアを望みません。
 エネルギー問題については、一つお願いがあります。燃料電池です。具体的にはエネアームです。私はガス会社の関係者ではありませんので念のため。その上で、エネファームの出力は0.75kwに制限され、配電系統への逆送が禁じられています。エネアームは、熱利用も含めて、84%の効率を有しています。つまり、エネファームでは燃料使用率が半分になるのです。技術的問題は全くありません。あるのは、エネファームが普及すると、電力会社の売り上げが減るという事実だけです。その影響を排除するために、電力会社による不当な排除が行われています。
 必要なことはエネファームの出力制限の撤廃と、系統連係の自由化です。燃料電池は直流発電ですから、太陽光発電のパワーコンディショナーがそのまま使えます。或いは太陽光発電と並列運転が可能です。
 エネルギー革命が起こせるのです。
 どうぞお確かめ下さい。
by かも (2014-10-12 08:35) 

MANTA

Working Dad Overseaさん、コメントありがとうございます。
>在日米軍がアジアの安定に大きな力を発揮させているおかげで、日本が
>平和憲法という自己満足を謳歌しているわけだし、元々はGHQ謹製だしね。
ご指摘の憲法制定の経緯や、なぜ日本は過去約70年に渡り戦火を逃れ
られたの議論はおおっぴらには行われませんね。今回のノーベル賞騒ぎは
「憲法第9条が国際的にどんなように受け止められているのか?」なども含め
憲法について考えるよい機会でもありますが、マスコミもこの点はほぼ無視
です。それどころが「憲法9条を変えよう」という議論自体がタブー視されて
います(政治も同じ。しかも与野党ともに。)
自国の憲法に「タブー」が存在する、これはなかなか恐ろしい事態だと
思いませんか?

----
かもさん、燃料電池の議論はこちらへどうぞ。
3年前の議論ですが状況は何も変わっていないと思います。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2011-09-19-1
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2011-09-23
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2011-09-26
by MANTA (2014-10-12 11:38) 

MANTA

かもさんから長文のコメントを頂きましたが「燃料電池の議論は別記事へどうぞ」
と申し上げたはずです。コメントは下記へ移動しました。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2011-09-23

本記事に無関係なコメントはご遠慮ください。
by MANTA (2014-10-14 07:53) 

MANTA

追記:ほらね、やっぱりムリだった。
●勘違いだった?「日本国民」にノーベル平和賞 
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141216-00050027-yom-int
(以下は抜粋。ノーベル賞委員会事務局長へのインタビューの結果)
”日本の市民団体側と政府が一体性に欠ける現状では、国民全体への
 授与は困難との認識を強く示唆した”
一部の市民団体の「恣意」は見ぬかれていたというわけだ。
by MANTA (2014-12-17 12:40) 

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