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他とは違うぜ、今回のノーベル賞。 [▼科学ニュース New!]

昨日夜、ビッグニュースに日本中が沸きました。
ノーベル物理学賞を、日本人*研究者3名が受賞したのです。

受賞理由は、ごぞんじ「青色発光ダイオード(LED)」の開発です。
1303357_930d132004_z.jpg
What's That? (12) by Steve Jurvetson (protected by CC License)
https://www.flickr.com/photos/jurvetson/1303357

●ノーベル賞:天野氏「自分と関係ない」はずが、決定に驚き
 http://mainichi.jp/feature/news/20141008k0000e040187000c.html
●ノーベル賞、「3人同時受賞」の深い意義
 http://toyokeizai.net/articles/-/49958

朝のNHK番組「あさイチ」でお馴染みの柳澤秀夫解説員は、今朝の放送で
「これ、家にあった青色LED。昔は180円もしたけど、いまは10円くらいまで
安くなった」と紹介して、電池で光らせていました(彼の趣味は無線)。なんだそれ?
と思いがちですが、スタジオの明るいライトの中でも、くっきりと輝く青色LED。
これが私達の生活の様々な場面で役に立っているのだ。
・・・ていうか、さすがの私も家には青色LEDはないなぁ。さすが柳沢前解説委員長。

さて今回のノーベル賞は実はいつもとは一味違うのです。
ノーベル賞には物理学・化学・医学生理学・文学・平和・経済学の6つの賞があって、
各賞最大3名の研究者まで受賞できます。今回の物理学賞は3名ともの日本人*
ですので、オリンピック風に喩えれば「日本人が表彰台を独占した」と言えるでしょう。

日本人はしばしばノーベル賞を受賞してきました。調べてみると、2000年以降では
01年、02年、08年、10年、12年。2~3年毎に受賞しているんですね。
この中で、3名とも日本人*だったのは2008年の物理学賞。
南部陽一郎氏、小林誠氏、益川敏英氏の3名です。
ただし南部氏の研究成果はアメリカで成し遂げられたものだと言われていますので、
日本人*が日本での研究成績で「表彰台独占」をするのは今回が初めてです。

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By fPat Murray (protected by CC License)
https://www.flickr.com/photos/fpat/3278256809

もう一つこれまでと異なるのは、いままでは「物理の理論」に対して日本人が物理学賞
を受賞していましたが、今回は「モノの開発」に焦点があてられた事でしょう。
もちろん、「理論」と「開発・実践」はウラとオモテ。どちらか「だけ」で受賞することは
ありえませんが、今回は「開発」が鍵となり受賞に至ったと言えるでしょう。
(※小柴先生の受賞は、カミオカンデの「開発」かしら?)

●赤崎氏らにノーベル賞 ものづくりの喜びよ
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2014100802000122.html

また本件では、中村修二氏も受賞されています。彼は青色LEDの開発だけでなく、
「特許紛争」でも有名になりました。それもこれも、やはり「開発」の最前線に彼が立って
戦っていた証でしょう。(そしてきっといまも戦っているに違いない)
●ノーベル賞、勝因は「怒り」=日本企業に苦言も―中村さん
 (msnニュース
●ノーベル賞学者は10年前、「敗軍の将」として何を語っていたか
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20141007/272279/

「おれはそんなに頭は良くない、せいぜい手を動かして、がんばって、すこしでも
人より良い製品を作るだけだ」と、中村氏や他の方々が言ったわけではないですが、
今回のノーベル賞はまさにそんな「ものづくり」に与えられたように思えて、
とても嬉しい。私自身、いまは工学部に身をおいているからかもしれないけど、
受賞してよかったなぁ、と思っています。

同時に、「モノをつくれば、ものづくりだ」という安直な「ものづくり至上主義」は
私は嫌いなんです。作るのなら世界一、ノーベル賞を取れるほどのすばらしい
テクノロジーを!という上昇志向がなくては、ただの「モノ」にしかならない。
人を感動させないし、国を豊かにもしないのではないか?
とはいいつつも「ものづくりでノーベル賞なんて、ムリ」と私自身もどこかで思ってました。

”ムリじゃない。がんばれば、その分、かならず報われる”

そう思ったのは私だけじゃないはず。
(といっても今回の3名の受賞者のがんばる様はハンパではなかったとは思いますが)

----
最後に、こんなニュースも。
●名大、特許収入14億円超 ノーベル賞の赤崎教授が寄与
 http://www.asahi.com/articles/ASGB833TSGB8OIPE002.html

スゴイですね。特許料だけで14億!!
ちなみに私、つい先程、大学へ特許申請したのですが、その判定は残念ながら
「大学としては特許申請しないよ、あとはあなたが自分の私費で勝手に申請してね」
というものでした。つまりは、私の特許アイデアは大学には却下されたのです。
大学側の却下の理由は「そんなの特許にしても、使う企業がいないでしょ?」とのこと。
おいおい、そんなこと言ってていいのかな? この新技術で大儲けしちゃうぜ? (^^)

…でも大きな口を叩く暇があるなら、さっさと儲けちゃうか、ノーベル賞をとるかしないと
「すみません、あのときの特許申請、却下したのは間違いでした~」とはならないね。
中村氏に負けず、怒りをバネにして、さらなる大発明に勤しむぜよ!

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*注:中村氏・南部氏は受賞時点はアメリカ国籍ですので、正確には
「日本国籍時の研究成果で受賞した方々」と言うべきでしょう。
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MANTA

補足:
「青色LEDっていうけど、あの光ってる透明プラスチックのパーツに
 青色で着色してるだけなんとちゃうの?」
と思っている人がいるかもしれませんね。
なんで青く光るのか?
調べてみると、奥が深くて腰を抜かすよ~
by MANTA (2014-10-09 07:11) 

MANTA

追伸:
こんなのが話題に。
●「自然界に青色は存在しない」? 青色LED発明者のノーベル賞受賞を
 機に『Twitter』で論争
 http://getnews.jp/archives/679682
うーん、青色の自然のものなんていくらでもあるのに、、、
by MANTA (2014-10-09 21:27) 

MANTA

追伸2:
先日、素粒子物理学の研究者と立ち話をしたが、
「もう小さな実験では論文も書けない」現状なのだそう。
また別の先生は「理論物理学ではノーベル賞は出づらくなってきているのでは?」
と話されていた。
今回の受賞はある種のターニングポイントなのだろうか?

by MANTA (2014-12-17 12:44) 

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