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地震の始まりの始まり(7):目的 [▼シリーズ実況【地震のはじまり調査】]

乗船レポート、しばらく間があいてしまいました。
お察しの通り、もう調査船から下船して、あれやこれやをやっておりました。
でもまだ続けますよ~

ところで前回の「若者」のお話を、若者の指導教員が読んで心配をされたようです。
私宛には「学生がご迷惑をおかけしております。ご指導いただけましたらと思っております」
というメッセージが。
また若者宛には「○○君、船の上で仲良くしていますか?」というメールが。

・・・大丈夫ですよ!! たしかに前回の写真だけ見ていると
1) メールに勤しむ姿に、2) 海をバックに佇む姿、そして3) 手遊びしてできた「作品」…
これじゃ、人と交わることのできず、船内に閉じこもっているように見せますね。
そんなことありませんから、ご安心ください > 指導教員のK先生
プライバシーに配慮し、顔がはっきりとうつっていない写真を選んだら、たまたま
暗い雰囲気に見えただけで、学生さん本人は元気だし、人気者でしたよ (^^)


ほら、船の上で装置の組み立てを手伝う「若者」
(右端)(本連載4回目の写真
ちゃんと船のみんなと一緒に働いていました。
ちなみに若者は下船後、この指導教員のK先生と合流して、卒業研究のための
陸地の地質調査に旅立ちました。海での調査から陸での調査へ。お疲れ様。
そして下船時の別れ際の会話。
※横須賀市の京急線 追浜駅にて(横須賀市は横浜市の南に位置します)。
私  「これから陸地の調査らしいけど、K先生とはどこで合流するの?」
若者「先生とは鎌倉のホテルで合流します。なので私はこれから伊豆に行きます」
私と他に2名 「???」
若者「京急電車で伊豆に行って、そこで乗り換えて鎌倉に行きます」
私  「もしかして、伊豆じゃなくて逗子?」
若者「あ、そうです、逗子でした」

あぶない。彼は横須賀から伊豆に行ってしまうところでした。っていうか
「いず」と「ずし」って、もはや「ず」しか合ってないやん。
いろいろと思い出深い調査航海でした。とりあえず、彼の将来に幸あれ。

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さて、今回の航海の目的をお話していませんでした。
この連載のタイトルにあるように、地震の起きる要因を探っているのです。
「え、それって、プレートとプレートがぶつかってるからじゃないの?」

plate.jpg
プレート運動の模式図。ベレ出版「地底の科学」より

地底の科学 地面の下はどうなっているのか (BERET SCIENCE)

地底の科学 地面の下はどうなっているのか (BERET SCIENCE)

  • 作者: 後藤 忠徳
  • 出版社/メーカー: ベレ出版
  • 発売日: 2013/10/22
  • メディア: 単行本


たしかにプレート同士がぶつかることで、プレート境界には歪がたまります。
これが地震の源ですが、実際はそう単純ではありません。
最近の研究結果によれば、活断層には大量の水が含まれているようなのです(下図)。
プレート境界も活断層ですから、おそらくは水が沢山含まれているでしょう。
水が含まれていれば、断層は滑りやすくなります。
「水で濡れた廊下を全力疾走する」と転びますね(当たり前)。プレート境界もこれと同じ。
「プレート同士の衝突力」と「断層の滑りやすさ」の両方を頭に入れないといけません。

 陸上のある活断層の地下を透視した図。
 赤色ほど電気が通りやすい=地面が水を多く含む。
 青色ほど電気が通りにくい=地面は水をあまり含まない。
 (上図の詳細はこちら→ http://obem.jpn.org/chitei/10_100km.html

断層にどれくらいの水が含まれているのか? そしてその水はどこで断層に入ったのか?
この謎に挑むため、今回の調査航海が実施されています。特に海洋プレート(太平洋プレート)
が日本列島に沈み込む前の段階(下図の黄色の矢印の地域)に注目しています。過去の
海底調査によって、なぜかこの地域で海洋プレートに海水がしみこんだり、しみこんだ海水が
でてきたりしているようなのです。その詳細は明らかになっていません。これが分かれば、
プレートにはどうやって水がしみこむのか? プレートにしみ込んだ水はどのようにして
プレート境界に供給されるのか? どのくらいの量の水が供給されるのか?
それは地震発生にどれほどの影響をあたえるのか?
などが徐々に明らかになると思っています。

新規作成_1.jpg
先ほどの図のアップ。黄色い矢印の場所が今回の調査地域。
東北地方のはるか300km沖合です。

2011年の東北地方太平洋沖地震の調査。だけど震源よりもはるか沖合での海底調査。
それは「地震の謎」というパズルのピースを1つずつ解き明かす作業でもあるのです。
では具体的にはどんな調査を行なっているのでしょうか?
つづきます。
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