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論文捏造 [▼科学ニュース New!]

改めていうこともありませんが、STAP細胞(iPS細胞とは異なる、あらたな万能細胞で
ノーベル賞級の発見)とその生みの親である小保方氏が話題です。

●STAP細胞、疑惑で揺らぐのは何の信用か?
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140313/261076/
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140313/261076/?n_cid=nbpnbo_mlp&rt=nocnt
 なんというイラスト…

話題の要点は上記の日経BPの記事にうまくまとめられています。
-----(以下引用)----------------------------------------------------
・専門家
  ミクロの視点: (過去のものも含めて)論文の信頼性はどうか
  マクロの視点: チェック体制の見直しをどうするか
・一般人
  誰がどう悪いの? 何がどう問題?
  結局、STAP細胞はあるの? できるの?
・マスコミ
  ビッグニュースは何か
(中略)
一般人の目で見ていくと、「なぜ?」が山のように出てきます。
・企業の不祥事なら、すぐに記者会見し、代表者が責任を持って説明するのに、
 なぜそうしないのか? みんなあまりにも対応が呑気すぎないか?
・論文を認めて掲載したのはネイチャーなのに、ネイチャーの権威は失墜しないのか?
・ハーバード大の教授は、怪しいと言われないのか?
・早稲田大の論文審査は? 理研の広報発表は?
・STAP細胞はどこに行けば見られるの?
・「末は博士か大臣か」なんて昭和時代に言ってたけど、博士って何?
-----(以上引用)----------------------------------------------------

上記を見て思い出すのが、米ベル研究所のヘンドリック・シェーン。
史上空前の論文捏造として知られています。その様子はNHKでも大きく報じられた
そうですが、未紹介資料などを追加して再構成されたのが下記の一冊です。
私自身は去年読ませて頂きました。

論文捏造 (中公新書ラクレ)

論文捏造 (中公新書ラクレ)

  • 作者: 村松 秀
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 新書


これを読むと、今回の騒動と、ヘンドリック・シェーンの事件の類似点の多さに
気づきます。詳細は省きますが、本書には以下の事柄が綴られているのです。
・なぜ共同研究者同志なのに、互いの実験内容の詳細を把握できていないのか?
・なぜ指導教官やボスは、部下の実験内容を把握していないのか?
・このような疑惑に対して、研究所はどのように対応したか?
・捏造論文だった場合、学術誌(ネーチャーなど)はなぜ責任を取らないのか?
 共著者の責任は? 指導教官や研究所の責任は?
・捏造論文だった場合、その研究者はどうしているのか? どう考えているのか?
・研究者にとっての「成果」とはなにか?
興味をお持ちの方は一読頂ければと思います。

私は生物学は専門外なので、本件の真贋について論じる立場も知識もありません。
ただ、イチ研究者として、またある学会誌の編集委員として、思うことは多々あります。
ここに色々書くのはやめておきますが、過去の連載記事で似たようなことに触れているので
ご覧いただけますと幸いです。


査読とは(1)
査読とは(2) ~査読者の選び方~
査読とは(3) ~査読者選定の難しさ~
査読とは(4) ~査読者の心得その1~
査読とは(5) ~査読者の心得その2~
査読とは(6) ~論文掲載の可否~
査読とは(7) ~著者~
査読とは(8) ~読者、そしておわりに~

----
おしまいに、冒頭で紹介しました日経BPに気になる一文がありましたので、
それを紹介して本記事は終えたいと思います。
「誰も助けてあげないのね」 この一文にすべてが凝縮されている気がしました。
(以下引用)
”「これだけ関係者が多いのに、なぜチェックできないのか?」
 一般人からまず出てくる疑問はこれでしょう。これに対して、研究現場を知る人は(中略)
 論文審査は「性善説」に基づいて見られていて、コピペなどが博士論文など以上の段階で
 見られるなど通常考えられない、という話です。
 一般人の感覚からすると、「性善説」で見ていると言う割には、同業の研究者が困っている
 というのに、誰も助けてあげないのね、という所が非常に興味深いです。”
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楽しく生きよう

研究は正しくあるべき。
by 楽しく生きよう (2014-03-14 18:39) 

MANTA

そして楽しくあるべき、なのですが…
一体何がどうなってるんだ? > 理研
by MANTA (2014-03-14 19:09) 

MANTA

追記:
ますます「論文捏造」そのままになってきたなぁ。
●STAP細胞・理研会見「論文に重大な過誤があったことは甚だ遺憾です」
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140314-00000537-san-sctch
●STAP細胞 「心からおわびする」小保方リーダー、論文撤回の意向
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140314-00000533-san-sctch
●小保方さん「いけないと思わず」=「未熟な研究者」理事長は批判
 -会見4時間・理研
 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2014031400958

「論文捏造」に照らし合わせる場合、今後はこうなるのではないか?
・理研は、論文に改ざんがあったことをより明確に認めるだろう。
・責任は理研(のボス)にはなく、小保方氏の単独での行為とされるだろう。
・Natureは理研の判断をうけて、論文を削除するだろう。
・小保方氏は自ら辞職する(あるいは解雇される)だろう。
 それでも「発見自体は正しかった」と主張するのでは?
もちろん、上記の本と同じならばの話しである。

●「下書きで使った物が残っている」―小保方氏、博士論文巡る疑惑で
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140314-00005493-wsj-int
知人の研究者も言ってたけど、もしこれが国会図書館などに保管されている
ものだったとすれば、そんなことはありえない。
またもしも学生の頃から盗用・改ざんを繰り返していたとすると、Natureの
論文以外にも、もっとたくさん同様の証拠が残っているだろう。

by MANTA (2014-03-15 05:39) 

猫おやじ

理研といえば、天下の理研。責任の取り方が気になります。同時期の捏造、製薬会社はトップ男女2人の社長が退任。理研も理事長はじめ関係理事は、潔く後進に道を譲らなければ世間は、納得しないでしょうね。
by 猫おやじ (2014-04-07 06:50) 

MANTA

猫おやじさん、コメントありがとうございます。
本件、別記事を立ててみます(4/8 Up予定)。
ご参照下さい。
by MANTA (2014-04-08 12:01) 

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