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SF映画と科学 [ 科学コミュニケーション]

前回、映画「デイ・アフター・トゥモロー」のような大寒波が、実際に米国を襲っている
様子を紹介しました。SF(サイエンス・フィクション)は人間が創りだしたお話ですが、
時として現実を予言することがありますね。
ice.jpg
 映画ではなく本物の写真です。
 (Via Hank Cain, via Shawn Reynolds/Twitter.)
 http://www.rsvlts.com/2014/01/08/is-today-the-day-after-tomorrow/

一方、現実にある科学技術が劇中で発揮されていない場合もあります。
例えばこの映画「デイ・アフター・トゥモロー」でも、あるアイテムがないために、
劇中で主人公たちはピンチに陥っています。それは映画の中盤のこんなシーン。

…主人公(氷河なども専門の気象学者)は凍りつくニューヨークに取り残されてしまった
息子たちを救出に向かいます。南極探検さながらに徒歩で突き進む主人公たち。
しかしその足元には雪と氷に埋もれてしまった街があったのです!

5993910110_f6ee36efe8_n.jpg
 そう、こんな感じのショッピングセンターが埋もれていたのだ。  
 ※By Sean MacEntee (protected by CC License)
 http://www.flickr.com/photos/smemon/5993910110/
  
そうとは知らぬまま、氷に覆われたショッピングセンターのガラス天井を突き破ってしまい
主人公たちは階下へ真っ逆さま!! 一体どうなる? まさにパニック映画の王道です。

現代科学ならこんなときどうするか? 氷の上を闇雲に歩くのは危険です。
そこで転ばぬ先の杖。お薦めは「地中レーダー」です(下図)。地中レーダーの原理は
やまびこと同じ。地中に電波を送り、金属や空洞などで反射する電波をキャッチすれば
地下の様子を探ることができます。
fig2.jpg

地中レーダーは土の上だけでなく、氷の上でも大活躍。例えば2012年、地中レーダーで
北アルプスの雪の下を探査したところ、最大で60mもの厚さの氷河が見つかりました。
● くらし☆解説 「日本にも氷河!何が見つかる?」
 http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/700/130475.html
● 立山 ・剱岳の多年性雪渓の流動観測結果(立山カルデラ砂防博物館)
 http://www.tatecal.or.jp/stuff/fukui/glacier-sss.pdf

日本にも氷河があることが初めて証明されて、ニュースでも大きく取り上げられました。
もしも、この映画のような大きな空洞が氷の下1mにあったなら、地中レーダーで予め発見
できたことでしょう!

ちなみに地中レーダーが最初に使われたのも氷の上。そして南極の氷河の厚さ(4000m!)
を測ったり、月や火星の地層を調べているのも地中レーダーです。詳しくは下記!

地底の科学 地面の下はどうなっているのか (BERET SCIENCE)

地底の科学 地面の下はどうなっているのか (BERET SCIENCE)

  • 作者: 後藤 忠徳
  • 出版社/メーカー: ベレ出版
  • 発売日: 2013/10/22
  • メディア: 単行本


現実のテクノロジーは更に先に行っています。例えばNASAでは無人極地探査ロボットを
グリーンランドに送り込み、走行試験を行なっています。このロボットには地中レーダーが
搭載されていて、氷の厚さを測ることができるらしい。驚いたことに、このロボットを開発した
のは、学生たちだそうな!! 詳細は下記を読んでね。
●NASAの無人極地探査ロボット、グリーンランドでの5週間の試験走行に成功
 http://jp.sciencenewsline.com/articles/2013070820230010.html
その反面、「じゃあ、実際の北極・南極探検では地中レーダーを持っていってるか?」と
言われれば、必ずしもそうではないようで。クレバスなどの判断はもっぱら経験的に
行なわれているようで、地中レーダーは単に「科学計測」のためのアイテムのようです。
経験ももちろん大事ですが、地中レーダーはどんどん小型化が進んでいるので、
もっといろんな場面で手軽に役立つといいですね(そうなると思います)。

・・・・などという、映画へのマジメなツッコミを科学者は日夜繰り広げています。
科学者同士での飲み会では、そんな話題で盛り上がることも多い。
そこで地下探査技術に関する学会である「物理探査学会」では、”ホント?SFのなかの探査”
と称して、SF映画やマンガへのツッコミ記事が連載されています(実は上記は次回掲載記事
の下書きだったりします)。興味おありの方は御覧ください。
●物理探査ニュースレター(物理探査学会)
 http://www.segj.org/letter/2013/11/news-letter-no20.html

fig1.jpg
 これは南極の氷山(私自身が撮影)

このブログでもたまにSF映画へのツッコミ記事を書いていきたいと思います。
ちなみに別ブログではSF番組「サンダーバード」への愛あふれるツッコミ記事を
連載中です~
●サンダーバードの超科学を科学する(1)
 http://obem-news.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12
●サンダーバードの超科学を科学する(2)
 http://obem-news.blog.so-net.ne.jp/2013-05-18
●サンダーバードの超科学を科学する(3)
 http://obem-news.blog.so-net.ne.jp/2013-06-02
●サンダーバードの超科学を科学する(4)
 http://obem-news.blog.so-net.ne.jp/2013-06-05
●サンダーバードの超科学を科学する(5)
 http://obem-news.blog.so-net.ne.jp/2014-01-13
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江守正少

O2による地球温暖化をまだ信じているやつがいるって笑える!
北極の氷は最も氷が少なくなる2012年と2013年の9月15日を比較
し、2013年の方が50%(168万㎢・日本の面積の約4.44倍)も
氷の面積が増加したと、2013年9月8日に英国のガーディアン紙、
テレグラフ紙、デイリーメール紙が一斉に報道した。
3紙ともに二酸化炭素による地球温暖化を否定するコメントを
掲載した。

また、南極の氷の面積は過去最高を記録したとNASAが2013年10月22日に
発表した。ノルウエ―海の近くのバレンツ海の海氷は海を覆うほど大きく増加しているし、
全世界海氷面積もそれに伴い過去最高レベルにまで増加している。
現在のCO2濃度は大気中たった0.03%程で、人が出したと
言われているCO2はたった0.01%しかない。

この程度では気候変動に殆ど影響を与えていない。一番大きいのは太陽磁力線が
4重局構造になったのが、非日常的気象に与える影響が最も大きい。
太陽磁力線が気候に影響を与えているのは周知の事実だ。CO2が気候変動
の原因だと言われるのは、当初はフロンガス、メタンガス、CO2などのガスを
規制しようと国連で議論していたのが、CO2以外は人為的に操作する事が不可能
なのでCO2だけに絞った事が、現在のCO2による地球温暖化詐欺に繋がっている。

ちなみに現在のCO2温暖化信者のバイブルの、SF、オカルト映画の『ディ・アフター・トゥモロー』
を製作したローランド・エメリッヒは、『2012』、『インディ・ペンディンスディ』、
『スペース・ノア』、『デビル・ドール』、『ゴースト・チェイス』、『 GODZILLA』
などで知られる仮想・架空・オカルト・SFを最も得意とする監督だ。仮想・架空の
CO2による地球温暖化を信じる信者はまるでカルトだ!

by 江守正少 (2014-02-03 11:39) 

MANTA

>O2による地球温暖化をまだ信じているやつがいるって笑える!
酸素、、、でしょうか? (^^;)
同じコメントを複数のブログにコピペ投稿されているようですね。流れ作業で
主張をばらまくにしても、もう少し丁寧になされたほうが良いでしょう。

>北極の氷は最も氷が少なくなる2012年と2013年の9月15日を比較し、
この部分までで「私は地球温暖化のことを理解していません」と言っている
ようなものです。理由は下記などを御覧ください。
● 地球は温暖化している
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-07-10

>江守正少
著名な学者の名前を(悪く)もじるのは考えもんです。
ペンネーム(?)にも もう少しセンスが必要です。
by MANTA (2014-02-04 08:53) 

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