地震が教えてくれるもの(2) [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]
姉 ”あしたっていつのあしたよ?”
ポコ ”ねーちゃん! あしたっていまさッ!”
…さて、前回の続きです。「明日、続きを書くよ」と言いましたっけ…
3) 深さ450kmでどうやったら地震が起きるのか?
皆さんご存知の通り、地震というのは、硬い岩盤(プレート)同士がこすれあうとき、
プレート境界が突然ずれたり、プレートの中の断層がずれたりして、発生します。
ところが稀に、地下数百kmで地震が起きることがあります。これを「深発地震」と
呼んでいます。こんなに地下深くで地震が起きるのは奇妙です。なぜなら、地下深部
は温度が高く→岩石も軟らかい性質を持ち始めるので(延性と言います)、バキッと
割れるような性質(脆性と言います)は持てないのではないかと考えられるからです。
実際、著名な地球物理学者である京都大学の志田順は、1918年(大正7年)頃には、
深発地震の存在に気づいていましたが、地下300kmよりも深いところで岩石がバキっと
破壊するとは考えにくく、なぜそうなるのかを岩石実験で確かめようとしたそうです。しかし
実験装置の完成には至らず、和達清夫が発表した深発地震の一連の論文(1928-35)
の方が先に有名になってしまいました(「和達-ベニオフ帯」として教科書に載ってます)。
以上のお話は下記の「京大地球物理学研究の百年」に詳しいです。
●寺田寅彦と京大地球物理学との関わり
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/169868
●阿武山地震観測所と京大高圧実験の歴史 : 志田順の深発地震存在の発見との関連で
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/169867
深発地震が発生する本当の理由はいまも研究中です(発見から約100年!)。
ただ近年は、沈み込んだプレートが「スタグナント」することが重要であると考えられている
ようです。「スタグナントスラブ」のことは、このブログでかつて「メガリス」として紹介しました。
※ここがおかしい「日本沈没」2 (メガリス)
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2006-07-24
このように、沈み込んだプレートがたまる(スタグナント)ことで、地下深部のプレート
内部で折れ曲がりの力が発生し、深発地震が起きる(らしい)。
深発地震といえば、ちょうど前回の記事と本記事の間(5月24日)、サハリン近海で
M8クラスの深発地震が発生しました。デカイです。下記は米国地質調査所より。
深さ約600kmで発生したこの地震、なんと約7000km離れたモスクワも揺れたそうです!
※Did You Feel It? (M8.3 - Sea of Okhotsk)より。震源は地図右上付近。
http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/usb000h4jh#dyfi
※メルカリ震度III=日本の震度でも3くらい(詳しくはこちら)
なんでモスクワがそんなに揺れるのか? アメリカ側はなぜ揺れないのか?
不思議ですね。ちなみに、この地震は深発地震としては観測史上最大だそうで
Wikipediaのページもできていました。
----
4) 緊急地震速報はどのサイトが速かったか?
最後に、最近はすっかりお馴染みの緊急地震速報。4月末の鳥島沖地震でも緊急地震
速報が流れたそうですね(私は関西だったので、流れなかった)。
やはりできるだけ早く、地震情報を得たいもの。鳥島沖地震や、その前の三宅島
近海地震(4月17日 M6.2)の地震の時の経験から、下記のツィッターと、アプリが
頼りになることを知りました。
まずツィッターですが、下記の「eq_map」さんがいいですね。鳥島沖地震のときも
数ある地震速報つぶやきのなかで、一番早かったです(ワタクシ調べ)。
あとはAndroidアプリとしては「なまず速報」がお薦め。
地震が起きた場所もGoogle Map上で確認できる。
気象庁もこれくらいやって欲しいなぁ。公式アプリ、作ってよ!!
最近は他にも有料・無料の地震速報サービスがいろいろあるみたい。
試してみてください。
----
と、こんな感じに、ひとつの地震でもいろいろ学ぶことがあるというお話でした。
地震って怖いだけじゃないのだ。
自然と正しく向き合うことが大事!だと思います。
ポコ ”ねーちゃん! あしたっていまさッ!”
…さて、前回の続きです。「明日、続きを書くよ」と言いましたっけ…
3) 深さ450kmでどうやったら地震が起きるのか?
皆さんご存知の通り、地震というのは、硬い岩盤(プレート)同士がこすれあうとき、
プレート境界が突然ずれたり、プレートの中の断層がずれたりして、発生します。
ところが稀に、地下数百kmで地震が起きることがあります。これを「深発地震」と
呼んでいます。こんなに地下深くで地震が起きるのは奇妙です。なぜなら、地下深部
は温度が高く→岩石も軟らかい性質を持ち始めるので(延性と言います)、バキッと
割れるような性質(脆性と言います)は持てないのではないかと考えられるからです。
実際、著名な地球物理学者である京都大学の志田順は、1918年(大正7年)頃には、
深発地震の存在に気づいていましたが、地下300kmよりも深いところで岩石がバキっと
破壊するとは考えにくく、なぜそうなるのかを岩石実験で確かめようとしたそうです。しかし
実験装置の完成には至らず、和達清夫が発表した深発地震の一連の論文(1928-35)
の方が先に有名になってしまいました(「和達-ベニオフ帯」として教科書に載ってます)。
以上のお話は下記の「京大地球物理学研究の百年」に詳しいです。
●寺田寅彦と京大地球物理学との関わり
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/169868
●阿武山地震観測所と京大高圧実験の歴史 : 志田順の深発地震存在の発見との関連で
http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/169867
深発地震が発生する本当の理由はいまも研究中です(発見から約100年!)。
ただ近年は、沈み込んだプレートが「スタグナント」することが重要であると考えられている
ようです。「スタグナントスラブ」のことは、このブログでかつて「メガリス」として紹介しました。
※ここがおかしい「日本沈没」2 (メガリス)
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2006-07-24
このように、沈み込んだプレートがたまる(スタグナント)ことで、地下深部のプレート
内部で折れ曲がりの力が発生し、深発地震が起きる(らしい)。
深発地震といえば、ちょうど前回の記事と本記事の間(5月24日)、サハリン近海で
M8クラスの深発地震が発生しました。デカイです。下記は米国地質調査所より。
深さ約600kmで発生したこの地震、なんと約7000km離れたモスクワも揺れたそうです!
※Did You Feel It? (M8.3 - Sea of Okhotsk)より。震源は地図右上付近。
http://earthquake.usgs.gov/earthquakes/eventpage/usb000h4jh#dyfi
※メルカリ震度III=日本の震度でも3くらい(詳しくはこちら)
なんでモスクワがそんなに揺れるのか? アメリカ側はなぜ揺れないのか?
不思議ですね。ちなみに、この地震は深発地震としては観測史上最大だそうで
Wikipediaのページもできていました。
----
4) 緊急地震速報はどのサイトが速かったか?
最後に、最近はすっかりお馴染みの緊急地震速報。4月末の鳥島沖地震でも緊急地震
速報が流れたそうですね(私は関西だったので、流れなかった)。
manta33blogさっきの地震、気象庁やHi-netに震源が出る前に、家内が「鳥島だって」っていうから驚いた。ツィッター情報だそうだが、いったい誰が流した情報なのか?デマでは? と思ったら、元ネタは緊急地震速報だった。あ、そうだよね、関西には速報来ないからね。04/21 12:48
やはりできるだけ早く、地震情報を得たいもの。鳥島沖地震や、その前の三宅島
近海地震(4月17日 M6.2)の地震の時の経験から、下記のツィッターと、アプリが
頼りになることを知りました。
まずツィッターですが、下記の「eq_map」さんがいいですね。鳥島沖地震のときも
数ある地震速報つぶやきのなかで、一番早かったです(ワタクシ調べ)。
eq_map【M4.0】茨城県東方沖 深さ36.1km 06:47:56発生 [AQUA-REAL] http://t.co/6bmBtTpMZB05/30 06:49 eq_map【最大震度1】(気象庁発表) 茨城県沖 深さ約40km M3.6 30日06時48分頃発生 (G)http://t.co/LN4vxDpdHa (気象庁)http://t.co/nzEWtsTgnl05/30 06:54
あとはAndroidアプリとしては「なまず速報」がお薦め。
地震が起きた場所もGoogle Map上で確認できる。
気象庁もこれくらいやって欲しいなぁ。公式アプリ、作ってよ!!
最近は他にも有料・無料の地震速報サービスがいろいろあるみたい。
試してみてください。
----
と、こんな感じに、ひとつの地震でもいろいろ学ぶことがあるというお話でした。
地震って怖いだけじゃないのだ。
自然と正しく向き合うことが大事!だと思います。
投稿にほとんど関係ないけど、JOJOの第二部をまた読みたくなったよ。
by Working Dad Oversea (2013-05-30 19:55)
Working Dad Overseaさん、第2部は先日までアニメを放送してましたね。
ご覧なりました?かなり評判いいですよ、私はいまケーブルテレビで視聴中です(^^)
「つぎにおまえは、『カンボジアでも放送すればいいのに』という」
(ご出張、お疲れ様です)
by MANTA (2013-05-31 18:20)