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なぜ科学の誤報は生まれるか?(3) [ 科学コミュニケーション]

科学の誤報を考えるシリーズ、続きです。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2012-11-12
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2012-11-15-1

ここまで、科学記事の誤報の流入経路や、正しい科学記事が正しく伝わらない編集体制
の話を少ししました。つまりは記者個人が一つの科学ニュースをどれほど正しく理解して
いるかがカギとなります。
では、マスコミの記者が、ある科学ニュースの裏を取るために、発信元とは別の研究者に
コンタクトを取ったとして、研究者は好意的にそれに答えるでしょうか?必ずしもそうでは
ないでしょう。その原因は一部のマスコミの「一方的、やりっ放し」の取材体制です。
一例をあげましょう。これは私自身が経験したことです。


たしかに沖縄で調査しています→ http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2012-06-17

昨年の秋、尖閣諸島の国有化がニュースとなっていた頃、下記メールが届きました。
Date: Wed, 12 Sep 2012 16:30:26
○○様  ←注:私の本名です。隠さなくてもいいですけどね。
お忙しいところ恐れ入ります。
テレビ××「・・・・」(月~金 ×時×分~×時×分生放送)を担当しております■■■■と申します。
突然のメールで恐れ入ります。
番組では、9月14日(金)に「尖閣諸島の資源」といったテーマで放送できないか取材を進めており、海底資源に関して○○先生にお話を伺えないかと思いご連絡差し上げました。「どれくらいのどんな資源が眠っている可能性があるのか」など伺えればと思っております。
お忙しいところ大変恐縮ですが、メールを見ましたらお返事いただけと幸いです。

見知らぬ記者からの突然のメールでした。ネットなどで私の研究内容とアドレスをみて
飛び込みでメールしたのでしょう。しかし、なかなか失礼なメールです。例えばこのブログ
の読者や中高生から質問メールをたまに頂きますが、「読んだら返事ください」なんて
メールの締め方、見たことありません(笑)。普通は「お返事をお待ちしています」です。

またこのメール、取材協力の依頼ではなく「お話を伺いたい」とあります。
尖閣諸島の資源ポテンシャルについては、「海の国境」付近のため探査活動も制限
されていて、ちゃんとは分かっていないはずです。これは中国・台湾側も同様でしょう。
●尖閣沖は原油や天然ガスの「宝庫」 でも、試掘権の申請は40年近く棚上げ
 http://www.j-cast.com/2012/09/16146285.html?p=all
しかしこれをメールでお返事したら、そのまんま「専門家の○○先生のお話では…」と
報道されるかも。どうお話を伺い、どう番組に反映させるかの記述もないですし。
考えた末、無視をするのもいかがなものかと思い、下記のお返事をいたしました。
Date: Wed, 12 Sep 2012 17:34:36
■■様
○○でございます。
あいにくただいま出張ですので、  ←本当に出張中でした。
下記への迅速な対応は難しく思います。
私自身は沖縄沖海底熱水鉱床の調査研究を行っておりますが、当該海域には不案内です。今後の海域調査は重要であると考えておりますが、よりお詳しい専門家のかたにお問い合わせ頂くのがよろしいかとぞんじます。取り急ぎお返事差し上げます。
熱水鉱床のご質問でしたらお答えできますので、また機会がございましたらよろしくお願いいたします。

丁寧にお断り申し上げましたが、案の定、その記者さんからの返信は何もありません。
私の予想ですが、私と同様の専門家に同様のメールをばらまいて送ったのではない
でしょうか?まるで宿題をYahoo知恵袋で聞く子供のようです。いくら研究者とコミュニ
ケーションを取りたくても、これではお断りですわ。

そもそもなぜ私が身構えたか。マスコミに自身の意図と違う報道をされた研究者が周りに
たくさんいるからです。マスコミといわず、即席・即物的な行動ばかりしている人には悪評が
たつものです。ニュースを適正に報道したいのであれば、それ相応の人間関係(コミュニ
ケーション能力 ← マスコミなのに!)を身につけて頂く必要があるでしょう。

だんだんと単なるマスコミの悪口になってきましたが、続きます (-_-;)
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