なぜ科学の誤報は生まれるか?(1) [ 科学コミュニケーション]
私自身、出版社関係の方にお世話になってます。またかつて、報道発表した
際に、科学関連の記者さんが如何に真面目で一生懸命か、よく分かりました。
(失礼ながら、勉強熱心な方が多く、タジタジでした。)
しかし、広く「マスコミ」として捉えると、科学記事の誤報が絶えません。
いや、むしろ増えている気さえします。1ヶ月前の下記の誤報はみなさんも
よくご存知でしょう(以下は、私自身のツィッターより)
科学を専門とするものであれば容易に見分けられるであろうことが、なぜ新聞の
一面にスクープとして掲載されたのでしょう? 連載「科学コミュニケーション」で、
何回かにわたって考えてみましょう。
本件、読売新聞が大きく取り扱いましたが、マスコミの科学ニュースの入手方法とは、
1) 研究者自身からマスコミ各社へ直接連絡がある場合(←本件はこれ)
2) 大学や研究所が、マスコミや文部科学省記者室(新聞記者が常時詰めている)
へプレス発表内容をFAXなどで連絡する場合。一般に「投げ込み」といわれている。
3) 大学や研究所が、マスコミや文部科学省記者室へ「プレス発表説明会」の連絡
を行い、説明会で詳細説明を行う場合。一般に「レク付き」といわれている。
といった3つの方法に大きく大別されます。
記者としては3が誤報も少なく、安全でしょう。研究成果の中身を詳しく聞けますし。
2だと「なんか難しい内容のFAXが来たなぁ」というところでしょうか?
一方、1は他社を出し抜くスクープの要素があるので、それはそれで魅力的。
しかし、裏付けを記者自身が取らねばなりません。今回はそれをやらなかった。
(以下は騒動の経緯です)
朝日新聞によれば、毎日・日経は今回、誤報を免れたとはいえ、過去に
森口氏の成果を記事にしています。今回も薄氷だったかもしれません。
これらを通じて感じるのは「情報を疑う」力が、情報発信者である記者自身に
必ずしも備わっていないという実態でしょう。
●肩書、大学に確認せず iPS誤報で読売新聞
http://www.asahi.com/national/update/1013/TKY201210130153.html
一方、朝日新聞の記事からは、「私たちは嘘情報に引っかからなかった」と
自慢してる様が目につきます。これは私だけの印象ではないようで。
●他社の「誤報」をどう扱うか――「iPS誤報」がもたらした難題
http://www.magazine9.jp/shibata/121031/
逆に言えば、記者の横のつながりは相当に希薄な様子です。ライバル会社だから当然
かもしれませんが、また同じ過ちを犯しかねませんね。一方で、海外での取材や震災の
際などでは、複数の社が連携して事にのぞんでいるとも聞きます。なんとかならんのか?
その他の関連ニュースです。
政治家の発言はさておき、、、iPSカレーは発売して欲しいなぁ!
しかし本件、事の本質は「行き過ぎたノーベル賞信奉」ではないでしょうか?
森口氏のタレコミも、山中先生のノーベル賞受賞がなければ、1面を飾ること
もなかったでしょうに。
とかく賞というものはとかく、いろんな思惑が絡むものです。純粋に「素晴らしい科学」
かどうかを公平に決める方法などありません。一部では「発表論文の引用数」で客観化
できるとする意見もありますが、下記の記事ではそれに基づく予想が当たっていない
ことを示しています。(受賞予想14件 → 実際の受賞は1。予想屋としては大外れ)
今回のiPS関係の誤報はこれくらいにして、他の事例を取り上げて
「科学の誤報」についてもう少し考えましょう。
際に、科学関連の記者さんが如何に真面目で一生懸命か、よく分かりました。
(失礼ながら、勉強熱心な方が多く、タジタジでした。)
しかし、広く「マスコミ」として捉えると、科学記事の誤報が絶えません。
いや、むしろ増えている気さえします。1ヶ月前の下記の誤報はみなさんも
よくご存知でしょう(以下は、私自身のツィッターより)
- manta33blog iPS細胞利用で心筋移植、世界初の臨床応用 http://www.kyoko-np.net/2012101301.html 29日前
- manta33blog "2010年5月の読売新聞の記事についても「東京医科歯科大で実験及び研究が行われた事実はない」と発表した" http://www.asahi.com/national/update2/1012/TKY201210120580.html 29日前 iPS報道、読売新聞が「調査」 共同、誤報認めおわび
- manta33blog 【おわび】iPS移植は虚偽…読売、誤報と判断(読売新聞) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121013-00000115-yom-soci 29日前
科学を専門とするものであれば容易に見分けられるであろうことが、なぜ新聞の
一面にスクープとして掲載されたのでしょう? 連載「科学コミュニケーション」で、
何回かにわたって考えてみましょう。
本件、読売新聞が大きく取り扱いましたが、マスコミの科学ニュースの入手方法とは、
1) 研究者自身からマスコミ各社へ直接連絡がある場合(←本件はこれ)
2) 大学や研究所が、マスコミや文部科学省記者室(新聞記者が常時詰めている)
へプレス発表内容をFAXなどで連絡する場合。一般に「投げ込み」といわれている。
3) 大学や研究所が、マスコミや文部科学省記者室へ「プレス発表説明会」の連絡
を行い、説明会で詳細説明を行う場合。一般に「レク付き」といわれている。
といった3つの方法に大きく大別されます。
記者としては3が誤報も少なく、安全でしょう。研究成果の中身を詳しく聞けますし。
2だと「なんか難しい内容のFAXが来たなぁ」というところでしょうか?
一方、1は他社を出し抜くスクープの要素があるので、それはそれで魅力的。
しかし、裏付けを記者自身が取らねばなりません。今回はそれをやらなかった。
(以下は騒動の経緯です)
- manta33blog <iPS臨床問題>「大学が知らないんです」森口氏一問一答(毎日新聞) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121013-00000005-mai-soci 29日前
- manta33blog ”米国で臨床応用を行ったとしていることから、「パスポートの出入国記録を見せてほしい」と要請されると一転、目を閉じ、黙り込んだ” http://www.nikkansports.com/general/news/p-gn-tp0-20121013-1031885.html 29日前 森口氏、iPS「応用成功」は事実無根
- manta33blog 「東京大学医学部iPS細胞バンク研究 室室長」とメールに記載していた。今回の事態を受け改めて調べたところ、東大にはその組織 自体が存在しないことも分かった http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121013-00000141-yom-soci 29日前 森口氏、医師資格なし…米大関連病院在籍1か月
- manta33blog ”森口氏が書いたもので本紙が確認できたのは、同誌サイト内に併設された治療計画(プロトコル)についての自由投稿欄の記事だけだった” http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121013-OYT1T00128.htm 29日前 検証「iPS移植報道」森口氏、治療の事実なし
- manta33blog 森口尚史さん、どうやら有名なお騒がせくんの様子 http://www.asahi.com/national/update/1013/TKY201210120636.html 29日前 森口氏、iPS研究の詳細説明あいまい 朝日新聞も取材
- manta33blog 森口氏「研究者やめる」…iPS移植虚偽発表(読売新聞) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121014-00000528-yom-soci 28日前
- manta33blog 森口氏は報道陣に特任研究員として在籍する東京 大学に辞意を伝えたと話しましたが、 東大側は「現時点で聞いていない」としています。 http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5156871.html 25日前 森口氏「東大に辞意」 東大「聞いてない」
朝日新聞によれば、毎日・日経は今回、誤報を免れたとはいえ、過去に
森口氏の成果を記事にしています。今回も薄氷だったかもしれません。
これらを通じて感じるのは「情報を疑う」力が、情報発信者である記者自身に
必ずしも備わっていないという実態でしょう。
●肩書、大学に確認せず iPS誤報で読売新聞
http://www.asahi.com/national/update/1013/TKY201210130153.html
一方、朝日新聞の記事からは、「私たちは嘘情報に引っかからなかった」と
自慢してる様が目につきます。これは私だけの印象ではないようで。
●他社の「誤報」をどう扱うか――「iPS誤報」がもたらした難題
http://www.magazine9.jp/shibata/121031/
逆に言えば、記者の横のつながりは相当に希薄な様子です。ライバル会社だから当然
かもしれませんが、また同じ過ちを犯しかねませんね。一方で、海外での取材や震災の
際などでは、複数の社が連携して事にのぞんでいるとも聞きます。なんとかならんのか?
その他の関連ニュースです。
- manta33blog iPS森口氏捏造 見抜けなかった理由をジャーナリストが検証(NEWS ポストセブン) http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121022-00000017-pseven-soci 20日前
- manta33blog ねつ造が明るみになると著者だけでなく、大学 の名前も傷付くため、なるべく隠そうとする→「論文ねつ造世界記録」日本人トンデモ医師処分 「173編創作」なぜ可能だったのか (3/3) : J-CASTニュース http://www.j-cast.com/s/2012/10/16150295.html?p=3 24日前
- manta33blog そこは放っておいてやれ→「山中教授に洗濯機贈呈を」=田中文科相が提案(時事通信) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121016-00000057-jij-soci 26日前
- manta33blog あなた自身も再調査してみては?→内閣府の研究助成、再調査へ=森口氏問題で前原科技担当相(時事通信) http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121019-00000092-jij-pol 23日前
- manta33blog 京大名物「iPSカレー」、さっそく発売 即日完売店舗も http://www.kyoko-np.net/2012101001.html 29日前
政治家の発言はさておき、、、iPSカレーは発売して欲しいなぁ!
しかし本件、事の本質は「行き過ぎたノーベル賞信奉」ではないでしょうか?
森口氏のタレコミも、山中先生のノーベル賞受賞がなければ、1面を飾ること
もなかったでしょうに。
とかく賞というものはとかく、いろんな思惑が絡むものです。純粋に「素晴らしい科学」
かどうかを公平に決める方法などありません。一部では「発表論文の引用数」で客観化
できるとする意見もありますが、下記の記事ではそれに基づく予想が当たっていない
ことを示しています。(受賞予想14件 → 実際の受賞は1。予想屋としては大外れ)
- manta33blog はたしてそうなのか→2012月10月9日「ノーベル賞受賞者の業績」 サイエンスポータルレビュー 科学技術 全て伝えます SciencePortal http://scienceportal.jp/news/review/1210/121009.html 30日前
今回のiPS関係の誤報はこれくらいにして、他の事例を取り上げて
「科学の誤報」についてもう少し考えましょう。
コメント 0