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海底で鉱山を探す(10) [ 海底鉱山]

船の中には研究室もあります。
PC190244.JPG
ここでは、探査機「うらしま」が調査した、海底地形の解析の真っ最中。

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3D映像なので分かりづらいかもしれませんが、熱水チムニーが写ってるようです。
熱水地域では海底から熱いお湯が湧いています(100度以上!)。これが冷たい海水と
出会うと、お湯が急速に冷やされて、中に溶けていた岩石の成分が沈殿します
(温泉地によく見られる湯の花と似ています)。お湯の出口は沈殿物が溜まるにつれて
だんだんと高くなります。その天辺ではまだお湯が出ている。まるで見た目は煙突です。
なので熱水「チムニー」と呼ばれています。この熱水チムニーやその周辺の沈殿物には
貴重な金属資源も濃集されている=海底鉱山、というわけ。

ちなみに上記は超音波によって調査されたもの。海底の凸凹をこのように立体的に
知ることが可能なのです。一方で、海底より下に、このチムニーがどのように広がって
(埋まって)いるかは超音波では分からないので、電気を使って探してるのです。

さて、難しい話をすませたところで、前々回の記事で海底へ投下した装置を
回収しましょう。海底で電気とか磁気を測定する装置=OBEMと呼んでいます。
PC140661.JPG
まずは海底の機器に超音波で呼びかけます(写真)
海底の地形を調べるときも、海底の装置と通信するときも、超音波を使います。
無事に通信ができたら、おもりの切り離しを超音波で指示します。すると、装置は
軽くなって海面へ浮いてきます。

PC140657.JPG
なかなか装置が浮いてこない。そんな時は神頼み。こちらは船橋(ブリッジ)にある
「こんぴらさん」。香川の「金刀比羅宮」のお札が掲げられています。船の神様です。

PC160073.JPG
祈ってみるものです。ちゃんと浮いて来ました。
一等航海士が、船の前方で見失わないように見張っています。

newimage1.gif
浮いている様子はこんな感じ(アニメーション)。これは船が相当近づいた時の
写真です。実際はもっとずっと小さくて波間で浮き沈みする装置を探します。

PC160075.JPG
その時のブリッジの様子。「ストップエンジン」「ストップエンジン、サー」
船長や機関長の声が響きます。緊張!!

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船を装置の横まで近づけます(4000トンの船を、100kgの装置に近づける神業!)
竹竿で装置を引っ掛けて、回収フックを取り付けて、クレーンで引き上げます。

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よいしょっと!!  すると黄色の球の下には、イカのようなだらりとした足が。
これは前々回の記事にも写っていた「アンテナ」です。アンテナは最初は十文字型
で開いているのですが、おもりを切り離して浮上してくるときには、こんなふうに
だらりと垂れ下がるように設計しています。そう、変形するんですよ。トランスフォーマ。

こうして無事に装置を回収。海底に設置した6台の装置全てを無事に回収できました。
PC150082.JPG
写真は私の個室(主席研究者室)。作業中はこの部屋にはあまり帰って来ません。
帰ってくるときは、うまくいかない時の次善策を練っている時が多いのですが、
しかし今回の航海はたいていうまくいきました。よかった、よかった。
(この部屋では考え事をしていることが多いですね。次の日の調査のこととか)
(あと、ここに私のベッドがあるので、夜は寝に帰ってきます)

あと少し、つづきます。
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かっぱ

ご乗船中ですか。船メリだったんですね~(笑)。


by かっぱ (2011-12-27 19:36) 

MANTA

かっぱさん、コメントありがとうございます。
毎度のことですが、下船までに乗船レポートは終わらず。
クリスマスには終了して、下船しておりました。
調査は無事に目帝達成。金毘羅さんへお願いした甲斐がありました。
by MANTA (2012-01-01 08:13) 

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