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そんなことで争ってる場合か(1) [ 科学コミュニケーション]

科学と技術は、両輪です。理屈ばっかりでもダメだし、目先の利益とか小手先ばっかりでも
ダメ。私は企業でいうところの「投資」と「回収」みたいな関係だと常々思っていますが、
しかし一方では二つを分けるか分けないかで、議論をしている人たちもいるようで…

●譲れない「・」 科学技術か科学・技術か、専門家バトル
 http://www.asahi.com/science/update/1214/TKY201012140441.html

要するに「科学技術」と書くか、「科学・技術」と書くかで意見が分かれているらしい。
はっきり言おう。そんなん、どっちでもええわ!

science.jpg
 奪い合い?助け合い?

手始めに英語で考えてみよう。英語では「Science and Technology」と
称されていて次のような違いがある。どちらのサイトも英語だがわかりやすい。
1)Science vs Technology - Difference and Comparison (Diffen)
 http://www.diffen.com/difference/Science_vs_Technology
2)Difference Between Science and Technology
 http://www.differencebetween.net/science/difference-between-science-and-technology/
しかしこれらは「相違点まとめサイト」である(こんなのがあるんですね!)。上記2の冒頭では、
この違いは希薄で、2つの単語は頻繁に相入れ替わると書かれてある。このような科学と技術
の混じり具合は、下記の文部科学省(当時は科学技術庁)の資料が端的で分かりやすい。
●「科学」と「技術」、「科学技術」について(資料3-6)
 (21世紀の社会と科学技術を考える懇談会:平成11年5月)
 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kagaku/kondan21/document/doc03/doc36.htm
したがって「科学・技術」のように不可分のものをあえて分けるのは、時代にも逆行する
無駄な行為である。実際、理学部出身で工学部で働く私からすれば、科学も技術もまさに
両輪で、どちらが偉いということもない。むしろコウモリのように好きな側を駆使して研究を
進めている私にとっては、科学か技術のどちらか片方だけを強調するのはかえって不利益
ではないかとすら思える。

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いやもちろん「科学」者の気持ちがわからないでもない。たとえば新英和中辞典によれば、
「Technology」の和訳は「科学技術」だ。「Science」はどこへ? 科学にもっと光を!
しかも純粋な科学研究であるほど、理論構築や実験に長い時間とお金がかかる一方、
社会への還元は見えづらいため、いわゆる「仕分け」などの憂き目にあいやすい昨今だ。

しかしである。では単に「科学・技術」とすれば、国や人々の目は、純粋科学はすばらしい!
となるだろうか? 国会議員にとっても一般市民にとっても「・」など、正直、どうでもいいこと
なのだ。むしろ「科学技術」として、科学と技術の垣根を越えて頑張ることが重要ではないか?

最後にこんな絵を出して終わりましょう。
新規作成_1.jpg
 http://www.neatorama.com/2010/06/18/how-scientists-see-the-world/より

何の変哲もない絵ですが、科学を勉強すると世界の見え方がこう変わります。
→ http://jp.makezine.com/blog/2010/06/how_scientists_see_the_world.html
標題では「科学者には世界がこう見えている」とありますが、
技術者も科学を勉強しているのできっとこう見えるはずです (笑)
「・」くらいで揉めることなんてないです。同じ世界観を有する者同士、楽しくやりましょう。
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paleomagician

どっちでも良いですよね(笑)
それよりもっと大切かつ早急に解決すべき課題が沢山あるような.

科研費繰り越し可能はグッドニュースですね.
by paleomagician (2010-12-22 06:26) 

MANTA

>それよりもっと大切かつ早急に解決すべき課題が沢山あるような
paleomagicianさん、ですよね~!たとえば先日の記事でも紹介したこちら。
●民主党は「日本の理系」を殺す気かこのままじゃ、日本は2番どころか20番になる
 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1720
この記事によれば、日本の科学技術関係予算の伸び率は、米国・EU・中国
韓国にも負けています。2010年度の日本の予算は子ども手当などでさらに
減りそうですし、不安定な民主党政権では大型プロジェクトは立ち上げられ
ないとおっしゃる先生も少なくないです。
by MANTA (2010-12-22 07:11) 

HOKUTEN

科学は技術力によって裏づけされ(電子顕微鏡など)、技術は科学的に分析する力を与えていると思う。
科学のみが進む事も無ければ、(物質特性を知らぬ)技術の確立も無い。
単純に考えて、双方が必要としていて切り離せないもの。
結局それでいいじゃんか。
はい、次。
by HOKUTEN (2010-12-26 00:02) 

MANTA

>はい、次。
HOKUTENさん、コメントありがとうございます。こうなってくると、いったいどこの
誰が「・」を欲しているか、名前をさらしてもらいたくなりますね(笑)

とはいえ、科学者と技術者の関係は(ご想像通り?)いつもハッピーというわけ
ではなく。そんな記事をまたUPする予定です。

by MANTA (2010-12-26 08:47) 

optimist

この記事、私も全く同じ感想でした。
いや、まじめに論争するのも分からなくも無いのですが、そんな事より・・・って思いますよね。
我が家にも、子ども手当てが支給されていますが、ぶっちゃけ来年からは扶養控除廃止で結局トントンか負担は微増、或いは微減って感じになりそうです。
個別に支給するより、優秀な頭脳が海外に流出しないよう、国内の技術がより進歩するように、大学や研究機関への予算配分を多くすべきなんだと思います。
乱暴な話、皆が大学に進んだところで、質が伴わなければ意味ないですし、卒業したあと就職する場が国内に無いでは、笑い話にもなりませんものね^^;
by optimist (2010-12-26 22:05) 

MANTA

>我が家にも、子ども手当てが支給されていますが、ぶっちゃけ来年からは扶
>養控除廃止で結局トントンか負担は微増、或いは微減って感じになりそうです。
optimistさん、そうなんですね。私も気になってちょっと調べました。
http://money.biglobe.ne.jp/sp/column/economy/colum_01.html
上記では子ども手当の月額は26千円ですが、実際は0-2歳児は20千円、
3-15歳児は13千円です。なので「専業主婦ファミリー年収500万円」の場合
0-2歳児はプラス3千円/年くらい、3-15歳児はマイナス20千円/年くらい
ですね。なるほど微増もしくは微減ですが、来年度の児童手当や扶養控除
がどうなるかにもよりますから、よくわかりませんねぇ…
総額2兆円ほどの子ども手当よりも、その10分の1の予算でいいので、
科学技術に回すほうがこの国の成長に寄与するように思うのですが・・・
by MANTA (2010-12-29 11:43) 

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