失敗といえば「あかつき」

先日、自分の講義の生中継に失敗したので、あらたなツールで巻き返し（？）
を誓ったところですが、昨今の失敗といえば「あかつき」ですね。

12/7に、半年の旅路の後、金星の周回軌道に乗ろうと試みたのですが…

逆噴射の時間が足りず、金星の周回軌道には乗れなかったようです。金星の公転軌道
と並行する軌道には乗れたので（っていうか、「あかつき」自身もしばらくは太陽の周りを
公転することになりました）、6年後にはもう一度、金星に近づくそうです。下記によれば、
6年間で金星は10回公転する間に、「あかつき」は11回公転するそうです。
●「あかつき」６年後の再挑戦のイメージ
　http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101209-00000007-maiall-soci.view-000
ってことは、おそらく「あかつき」自体はいま金星に相当近いところを漂っていますね。
ああ、まさに電車に乗り遅れた如く、金星は徐々に遠ざかっていくんですね。。。

6年後にもう一度金星へ、といっても6年間はとても長い。
●＜金星探査機あかつき＞６年後再挑戦に三つの課題　「電池」「燃料」「放射線」
　http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101209-00000007-maiall-soci
上記によれば、探査機のそもそもの設計寿命が2年。設計寿命の3倍の年月を待ち、
無事金星に近づいて お疲れ様、ではなくそこからが科学的開始観測とは…
おまけに今回の逆噴射停止の理由は、燃料配管が何かの理由でうまく送れなかった
らしい。配管の目詰まりか、最悪エンジン破損か？その原因もまだ不明だそうな。

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私の様に「ネットの生中継がうまくいかない」となったら、新しい装置に切り替えて問題
解決すればよいが、宇宙の場合はそうはいかない。どうするか？実は衛星の場合は
打ち上げたものと同じ衛星をもう一つ作っておいて、地上に保管してあるらしい。
これからその保管しておいた同型機を使って、何が起きたのかテストするのでしょう。
「あかつき」が無事軌道に投入されれば、日の目を見なかった陸上保管機。
問題がなければ実施されなかった、今後の数々のテスト。失敗さえなければ、こんな
面倒なことにはならなかったのだけれども、一方でこれでまた、日本の宇宙開発技術が
アップするともいえます。なんとも皮肉な…「失敗は成功の母」とは、本当にうまいこと
言ったものだと思います。

最後に。かつて、同様の「恐るべき旅」を行って火星に向かった探査機がありました。
（http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2006-04-12）

恐るべき旅路 新版―火星探査機「のぞみ」のたどった12年

• 作者: 松浦 晋也
• 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
• 発売日: 2007/10
• メディア: 単行本

「のぞみ」の場合は、打ち上げから約5年で、火星到着を断念。運用停止になりました。
今回の「あかつき」はあと6年＋観測期間数年・・・結構絶望的ですがそんな「のぞみ」で
培った技術が「あかつき」には宿っているので、やっぱしできるだけ粘ってほしいですね。
ガンバ。

※おまけ：
金星探査機「あかつき」なんだけど、ついつい「あけぼの」って間違っちゃう。
「あけぼの」って衛星もあるんですよ。明けの明星と、宵の明星からの連想か？　
こないだ高校生が大学見学に来た時も間違って「あけぼの」って言っちゃった。
失敗は成功の母…

コメント 2

「あかつき」がらみではこんな記事も読んだよ。
理学系が工学系よりお金がたっぷりあるなんて、宇宙はちょっと事情が違う？
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20101209/217480/
by Working Dad Oversea (2010-12-14 22:23) 

Working Dad Overseaさん、記事紹介ありがとうございます。
上記の「恐るべき」の著者、松浦さんの記事ですね。一見すると工学系が寂しい
状態に追いやられているように見えますが、実はJAXA全体は工学屋さんの
ほうが多いはずです。問題は、宇宙工学系がお金がないことではなく、JAXAの
宇宙科学研究所が工学屋さんとうまくコミュニケーションを取れていないことが
問題なように思います。組織内の壁は厚いのかもしれませんが、それは組織
外には通用しないお話でしょう。
by MANTA (2010-12-15 19:10)