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大学生の4割が就職難? [▼科学ニュース New!]


※Twitterからの投稿です。以下はブログでの追記です。

1つ目のご紹介記事はこちら。
●日本の大学教育が崩壊している‐大学生の2割が就職も進学もできない(JBpress)
 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4183
2つ目は同じ著者のブログ。こちらは短いのですぐ読めます。
●大卒はなぜ職にあぶれるのか(池田信夫Blog Part 2)
 http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51465063.html

発端は8月頭に文科省が発表した資料(文部科学省H22年度学校基本調査)で、
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
これによると卒業時に就職が決まっている大学生は約6割だそうです。
「では4割も職にあぶれるのか?」と驚きそうですが、4割の中には大学院進学者を
含むので実際には16%程だそうな。ところが!最近は就職が決まらないと意図的に
留年する4年生もいるし、大学院に行っても就職できない学生もいる(上記の学校基本
調査によれば、H22年度は約15%の学生が博士課程などへの進学も就職もしていない
らしい) 結局、2~3割くらいの学生は、卒業・修了後に即就職とはならないようです。

JBpressの著者、池田氏の見解では「その最大の原因は大学の定員を増やしすぎ」
とのこと。また著者自身がブログのコメント欄で以下のように述べています。
・大卒の対義語は、この場合は高卒ではなく「専門学校卒」
・ごく一部の一流大学以外は、最初から専門学校へ行ったほうがいい
でもちょっとこれ、おかしくないかなぁ?

たとえば下記グラフを見てください。
gakko.jpg
このグラフは2002年を基準として、大学・短期大学・専修学校(専門学校を含む)の
学校数の増減を示しています。同じく学校基本調査のデータに基づいて作成しました。
これをみると、確かに大学は増えていて、2002年以降でも100校近くも大学が新設されて
います!(知ってた?)  ところで短期大学・専門学校等は減っています。ちゃんとした
資料がみつからないのですが、2011年4月開校の新設大学7つについて調べたところ
3つは短期大学から、残る4つは専門学校が前身となっているようです(下記)。
●新設大学・学部・学科特集(大学受験パスナビ:旺文社)
 http://passnavi.evidus.com/search_univ/newdept/main.html
つまり新設大学の多くは元は短期大学や専門学校のようで、既存大学よりも資格取得や
就職支援で手厚いはずなのです。

なのに、なぜ大卒の新規採用率が下がっていくのか? やっぱり「最大の原因」は
日本経済悪化に伴って新卒採用者数が減っているからでは? たとえばこちら。
●新卒採用100社調査、減が増を7年ぶりに上回る(asahi.com)
 http://www.asahi.com/job/syuukatu/news/OSK200811220055.html
「専門学校に行けば就職できる」というような単純なことではないように思います。

だから大学は悪くないと居直る気などありません。日本社会の激変の中、「看板だけで
商売できるほど甘い時代ではない」というあたりまえの現実に大学は直面したわけです。
むしろこれは大学にとってはチャンスでは?たとえば数ヶ月前になりますが当大学の
OB会で、企業にお勤めのある大先輩がこんなことを話されていました。
「大学ではいろいろ習ったが、仕事の上では20年間全く役に立たず、出てもこなかった」
これではいかんと思うのです。「趣味の学問の府」では教官は楽しいでしょうけれど、
学生や社会にとってはメリットがありません。一方でこうもおっしゃておられました。
「ただ、20年たって最近、やっと習ったことがでてくるようになりました」
この方を教えられた先生は時代を先取りしすぎたか、あるいはすぐ役に立つと思ったこと
が役に立つまで20年たってしまったのか?(笑) それはわかりませんが、この大先輩は
きっと良い先生に教えてもらったのだと思います。私もイチ大学教員として、自分の知識や
興味を学生に伝えるだけではなく、すぐに役立つ知識や時代を先取る知識を学生に教える
とともに、それらの大元となる原理原則、さらに新発想の仕方を学生に身につけてもらえる
ような教育を目指したい。 これが短期大学や専門学校での教育との違いだと思います。

最後に・・・私も大学院をでたときに就職も進学もしてない時期がありました。
新卒採用だけが社会への道ではないのだ!!

※おまけ:凝り固まった発想からは何も生まれない。工夫こそが打開点だ!!
 (いつものデイリーポータルZより)

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素風

2番目の方、大学生の新卒者就職率が低いのが問題であれば大学生を減らせばいいじゃん、と書いてあるように見えるんですが気のせいでしょうか。私の読解力不足のせいだといいんですが。
by 素風 (2010-08-30 00:09) 

MANTA

素風さん、その通りです。で、その反論を上に書いてみました。反論というか
自戒の記事と思ってくださいね。
by MANTA (2010-08-30 08:48) 

素風

> その通りです。

やっぱりそうなんだ…。この池田さんとか言う人はどうも、なんというか、その、大学で教鞭をとっていると言う経歴を伏せずに堂々とこういうことを書けるなんて、大人としてどうかと思います。

さて、大学と学生の就職についてですが。
「学校で習ったことが社会に出て役に立つかどうか」を先生が考えてくださるなんてすばらしい、と私は驚いちゃうんですが、理工系学部だとよくあることなんでしょうか。夫(工業大学卒)からも研究室の教授が「社会に出てすぐ役に立つことを教えている」と胸を張っていらっしゃったと聞いたことがあります。
大学新卒者就職率の低下は、もちろん採用数の減少によるところが大きいです。でも、大学としてできることは何か、とお考えになる先生がいらっしゃるというのは心強く感じられます。
講義の内容の工夫も重要ですが、産学協同やインターンシップなどでいろいろな企業を見たり体験したりする機会が増えるといいかもしれませんね。学生さんたちが社会の中にどう身をおくかのイメージが育つと間接的に就職活動に役立つかもしれません。就職がうまくいかないのは案外マッチングの問題が大きかったりするものですから。
by 素風 (2010-09-01 01:14) 

MANTA

>大人としてどうかと思います
素風さん、池田氏は癖のある先生(?)ですが、参考になる意見が多く、
なのでこのブログで時々紹介させていただいてます。彼の意見にすべて賛同
はできませんが、考える材料として使わせていただいております。

>「学校で習ったことが社会に出て役に立つかどうか」を先生が考えて
>くださるなんてすばらしい
工学部系はその傾向が強いです。学部・大学院での教育カリキュラムは
非常にそれを意識していて、理学部出身の私は感動しました。
それでも「役に立たなかった」という方もおられます(上記)。要するに、
変わりゆく社会構造にあわせ続ける必要があるのでしょう。

>産学協同やインターンシップなどでいろいろな企業を見たり体験したり
>する機会が増えるといいかもしれませんね。
当大学院の専攻では、インターンシップ等は必須となりました。学部学生
でもインターンシップに行く学生は増えています。それでも産学連携は、
むずかしい!!

by MANTA (2010-09-01 08:42) 

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