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地球温暖化は自然現象なのか? [ 地球温暖化を学ぼう]

さて、前々回の温暖化連載記事で、「過去30年の気温上昇の様子は太陽活動の
変動では説明できない」と述べたところ、次のようなコメントを頂いた。

>何千、何万、・・・、何十億年と続く営みを、僅か数十年での矮小な差異を
>針小棒大に扱って否定できるものでは到底ないでしょうね。
----
>科学の法則というものは数万年前も数千年前も現代も成り立つものです。
>現代だけ別というのはあり得ません。

そこで今回は、いわゆる地球温暖化は単なる自然現象なのかどうかを考えてみたい。
結論を先に書くが(観測データもまだ足りないけれども)、地球温暖化はやはり近年の
工業化に伴う要因によるものではないか?と私は考えている。

新規作成_1.jpg
  「小氷期」は石油文明とは無関係な、自然現象だ。

まず人類が石油を大量に使い始める以前から気候は大きく変動している。14世紀半ば
~19世紀の寒冷な期間(=小氷期)はその代表例だ。地球温暖化もこのような自然の
気候変動の一部ではないか?という考えもあって、下記はその代表的論文である。

○赤祖父俊一, 気候変動への誤りのない適応のため:自然変動と人類活動の区別
 (黒潮圏科学, vol.2, p.179−182, 2009年)
 https://ir.kochi-u.ac.jp/dspace/bitstream/10126/1221/1/akasofukikou.pdf
赤祖父先生はオーロラ研究の第一人者である(同じ「黒潮圏科学」同号には
先生のオーロラに関する寄稿もあるのでそちらもあわせてご覧いただきたい)。
上記論文で赤祖父先生は、「地球温暖化は自然現象であり、1800年頃に終わった
小氷河期からの回復過程である」と主張されている。つまり、「異常に」寒かった地球が
温かい「正常な」地球へと戻る自然のプロセスを「地球温暖化」と呼んで、問題だと
騒いでいるのではないか?と言うわけだ。本当だろうか?

ここで長期的に地球の気温を決定する要素に注目しよう。大きく分けて3つある。
1)地球へ降り注ぐ太陽光の強弱(例えばこちら
 これには太陽活動そのものの強弱のほか、太陽と地球の距離変化等に伴う
 太陽入射光強度の変化も含まれる。
2)太陽光を反射する物質(氷・雪・雲など)の増減こちらこちら
3)温室効果ガスの増減(例えばこちら

このうち1は現時点では人間は制御できない(あたりまえ)。一方、2や3は自然な変化と
人為的な変化が混じっている。まずはこの1=「太陽活動」と2,3=「太陽活動以外」の
どちらが地球の気温を決定しているか考える必要がある。

この難題に対して、Scafetta氏とWest氏は、簡単な熱力学モデルと経験式を用いて解き、
「気候は太陽活動変化に対して鋭敏か?」と題する意見をPhysics Today誌に投稿した。
これが掲載されて世界中の話題となったのは2008年3月のことである。
●Is climate sensitive to solar variability?
 http://www.fel.duke.edu/~scafetta/pdf/opinion0308.pdf
この元となる論文も公開されている(Scafetta and West, JGR, 2007)。
 http://www.fel.duke.edu/~scafetta/pdf/2007JD008437.pdf
これらに関連する日本語の解説は下記で紹介されている。
●米陸軍の科学者、温暖化理論への疑念を解説(Wired)
 http://wiredvision.jp/news/200806/2008061021.html

彼らの研究成果を簡単に説明すると次のようである。
graph1-838c7.jpg
(Scafetta and West, JGR, 2007のFig.5bに加筆)
図中の破線イは、北半球の平均気温変動(観測値や氷床コアなどからの推定値)である。
一方、太線ロ・ハは太陽活動の推移から予測される平均気温変動である。予測値が2つ
あるのは、太陽活動データ(太陽放射量:TSI)として2つの異なる研究結果を用いている
ためである。また予測値には太陽活動変化→気温変動に至るまでの「時間遅れ」も
含まれている。なお同様のTSIデータ例は下記サイトでも見ることはできる(グラフ2つめ)。
○ここまでわかった!地球温暖化の現実(第4回)
 http://eco.nikkeibp.co.jp/style/eco/special/070803_warming4/index3.html

この図から明らかなのは以下の2点である(これは私自身の解釈である)。
・1600~1900年頃の気温変動(上図青)は太陽活動の強弱だけで概ね説明できる。
 これには小氷期が含まれていることから、小氷期とその回復過程も太陽活動の
 強弱で概ね説明できるようである。
・1900年頃以降(上図赤)では、観測値が予測値を上回る傾向が見られる(赤矢印)。
 従って気温上昇傾向を説明するためには、太陽活動変化以外の別の要因も必要である。

次に上図のうち、1950年以降の部分だけを拡大しよう。
graph2.jpg
(Scafetta and West, Physics Today, 2008より)
図中の緑線=北半球の気温の観測値(黒はその11年移動平均)であり、赤線=衛星に
よる太陽放射量(TSI)観測データ”ACRIM"に基づく気温の予測値である。両者の傾向は
良く似ており、地球温暖化と言われる近年の気温上昇傾向のうち、7割程度は太陽活動
変動によるものと言える。別の衛星データ”PMOD”を用いた場合の予測値も青線で示され
ている。この場合は地球温暖化の3割程度が太陽活動変動によるものと言える。
このように、太陽活動と太陽活動以外の両方の要因が合わさって、地球の気温は決定
されているようであり、どちらか片方だけで気温変動を説明することは困難だ。

----
ただ、Scafetta氏とWest氏は議論を避けているが、2つの衛星データのうち、
"ACRIM"にはデータに不自然な部分があることが指摘されている。
○Has the sun been cooling or warming in recent decades?
 http://www.skepticalscience.com/acrim-pmod-sun-getting-hotter.htm

もう一つの衛星データ"PMOD"が信頼できるとすれば、1900年以降の気温上昇の内、
約3割が太陽活動に起因する自然変動であり、約7割は「太陽活動以外」の要因による
ようだ(注:追記)。 しかも「太陽活動以外」の要因は石油・石炭を用いて工業化を始めた
1900年頃以降に顕著であり、もっぱら気温を上昇させるセンスに働いている。

ただし、衛星データをちょっと変えるだけで地球温暖化の要因理解が大きく変わるようでは
正直困る。大事なことは、近年の優れた地球観測技術を用いた高品質なデータ収集や
分析を続けることではなかろうか? ここ30年の最新観測データに私が注目する理由は
ここにある。過去のデータもむろん有益だけれども、それだけでは1900年以降に顕著となる
太陽活動以外の要因を知ることはできないのだ。

---
さて、そうなると上図の1940-70年ごろの気温の低下が非常に気になる。
(気温の観測値が太陽活動からの予測値とほぼ一致している)
なぜこの期間、地球は温暖化しなかったのか?似たような指摘が前述の
赤祖父先生の論文でもなされている。次回の連載記事では、この要因を考えてみよう。

追記:
上記で「温暖化の約7割は太陽活動以外が要因」と書きましたが、IPCC(2007)によれば
産業革命以降の長寿命温室効果ガスの増加による放射強制力のうち、二酸化炭素の
寄与は約63%だそうです。互いの数字がなんとなくあいますね。
● 二酸化炭素(気象庁大気・海洋環境観測報告)
 http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/cdrom/report/html/2_1.html

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Working Dad Oversea

1940-70年ごろの気温の低下は、WWIIとその後の一連の独立戦争・紛争の戦火により生じた煙などで、太陽光の入射が制限されたため、などとコメントすると、議論の本筋から外れる?
by Working Dad Oversea (2010-07-05 15:01) 

MANTA

Working Dad Overseaさん、さすがですなぁ。しかしここで私なりの
答えを書いちゃうと、次記事のネタがなくなっちゃう!!ので、お楽しみは
先に取っておきましょう(^^)  でも、まあ、そのようなところです、ハイ。

by MANTA (2010-07-05 18:24) 

げお

はじめまして。 釈迦に説法になるとは思うのですがあまり言ってる人がいないので。

観測事実は事実としてきちんと解析・評価しなければいけないのですが、この間(4/30)の学術会議シンポジウムで松野さんがコメントしていたように、人為起源のCO2の温室効果による温暖化というのはかなりの部分、理屈先行みたいなところがあります。
どういうことかというと、まず現在の地球の気温は温室効果で30度ほど底上げされているという解釈以外説明のしようがありません。それを精密化したのが真鍋さんたちの仕事で幅はありますが、80~90%が水蒸気、10~20%がCO2によるものとされています。つまりCO2の温室効果で3~6度くらい気温が上がっているわけです。で、これにKeelingの仕事の結果どうやらCO2が産業革命以後20~30%くらい増えているらしいということがわかってきます。すると、単純に考えて気温が0.6度から1.2度くらい上がっても不思議はないよね というのがそもそもの発端のような気がしています。もちろん、この値が正しいとはだれも思いませんが、じゃあ実際はどうなんだということで動いた結果をまとめたのがIPCCの報告と思っていいでしょう。
 なので、そういう感覚からすると、もし観測事実として温室効果以外の何らかの機構によって平均気温の変動が説明できるとするならば、逆になぜ温室効果が効いていないのかということがすごく疑問になってくるわけです。
 もちろん、確固たる事実としてそれが確立されれば気象学者は必死になってその理由を研究するでしょうが、いまのように単に温室効果に対する対立仮説としての取り上げ方でしかもデータ自体もあいまいさがかなり残るような状況では、ほんとにそのデータ正しいの?その解釈に無理はないの?という方が先に立ってしまうのは致し方のないことのような気がします。
 それにCO2による気温上昇自体は事実としても、それでなにがおこるのかはまだまだ不確かだと思います。というか、こっちの方が予測するのははるかに大変なことなのですが。
by げお (2010-07-06 01:25) 

おおくぼ

太陽が地球の平均気温を変えるとしたら、どんな物理現象なのでしょうか?

私は太陽「犯人説」の線を妄想しているのですが、皆目見当がつきません。

前も書き込みをしましたが、太陽の可視光線の変化速度は極めて遅いので、1980年頃からの急激な温暖化の説明にはつかえません。
by おおくぼ (2010-07-06 05:43) 

NO NAME

 太陽風による雲の増減への影響が考慮されていないようですね。
by NO NAME (2010-07-06 09:57) 

MANTA

げおさん、コメントありがとうございます。ご指摘の通りかと思います。
現状では、CO2以外に温暖化を説明できる要因がはっきりとは認められない
ため、「CO2が温暖化の要因として尤もらしい」というレベルかと思います。
なので将来の気候変動の予測レベルも高いとはいえません。とはいえ、もしも
温暖化を「公害」ととらえるならば)不確実な予測とは言え、その中で
最悪のシナリオ頭に入れながら対策を練らざるをえないでしょう。

>もちろん、確固たる事実としてそれが確立されれば気象学者は必死に
>なってその理由を研究するでしょうが
CO2以外の温暖化要因は昔も今も調べ続けられていると思いますよ。
上記研究や下記はその一例でしょう。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2010-03-20
ただ(これは地震予知研究でも、どの研究でも同じで)本流から外れたこと
を重要だと主張するには思い付きでは駄目で、よい証拠を探さねばなりま
せん。これはなかなか難しいことですが、不断の努力とひらめきが必要です
(ここが学問の面白いところでもある!)。
でなければ本流=真実であり続けるだけです。
by MANTA (2010-07-06 17:31) 

MANTA

>太陽が地球の平均気温を変えるとしたら、どんな物理現象なのでしょうか?
おおくぼさん、単に入射光の変動です。上記記事のグラフ1枚目の予測値
(Scafetta and West, JGR, 2007)によれば、1900年頃以前は、太陽
からの入射光が0.04~0.07%程度変化するだけで、気温は0.3度程度
変化するようです。太陽観測の重要性が示唆されますね。
by MANTA (2010-07-06 17:33) 

MANTA

>太陽風による雲の増減への影響が考慮されていないようですね。
考慮の必要はありません。過去記事をご参照ください。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2010-01-11
スベンスマーク自身が、温暖化を宇宙線強度変化では説明できないこと
を示してくれてますね。
by MANTA (2010-07-06 17:36) 

おおくぼ

>1900年頃以前は、太陽からの入射光が0.04~0.07%程度変化するだけで、気温は0.3度程度変化するようです。

にわかには信じられない話です。

例えば、こちらのブログの記事を読むと・・・

http://blogs.yahoo.co.jp/eng_cam_fld_tgs/42199919.html

あるいは

http://ptrboundary.at.webry.info/201004/article_1.html
by おおくぼ (2010-07-07 04:22) 

MANTA

おおくぼさん、ご紹介リンクの内、2番目を読みましたが、上記と概ね
(オーダー的に)話は合うようです。
1番目の方は、だいぶ違いますね。ちょっと考えてみます。
by MANTA (2010-07-07 08:35) 

NO NAME

MANTAさん
 提示していただいたブログでは反対する論文は紹介されていますがスベンスマーク自身が否定しているとは書かれていません。
 正確なご提示をお願いします。

by NO NAME (2010-07-07 14:52) 

げお

ちょっと書き方まずかったかも。CO2の温暖化以外の要因があること自体は否定していません。ただ、もしCO2が全く効いていないんだとしたら、それはそれで効かないというかなり強力な理由がいるんじゃないのということです。いいかえればCO2:CO2以外要因 ということでいったら, 7:3 では十分あり得るし 3:7だとちょっときついけどありえなくはないよねという感じですが、1:9とかになるとじゃあ、なんでCO2の効果は効いてないのさと思うということです(もちろん、温度の上昇率が今より1ケタ上がったとかなら別です)。ま多分に私の感覚でしかないのでだからどーだというわけではありませんが。

あと、単純にシュテファンボルツマンからいくと、δT=(T/4)δW/W程度に見積もれるのでWの1%の変動で1度くらいというのは自然ですが、さすがに0.1%で1度はちょっときついように思います。実際黒点周期でもそれくらいの幅で変動しているようですし(もちろん気温が即座に追随してなければならないというわけではないので、これを理由に否定できないのは承知しています)
by げお (2010-07-07 20:15) 

MANTA

>MANTAさん
>正確なご提示をお願いします。
紹介させていただいた拙記事にすべて書いてあります。読んでからコメント
してください。スベンスマーク自身がはからずも否定している、というのは
私の解釈ですよ。
by MANTA (2010-07-08 02:44) 

MANTA

おおくぼさん、げおさん、コメント有難うございます。確かにご指摘の通り、
上記のScafetta and West (2007)で見積もられた、太陽光変動→気温
の影響率は大きいですね。

下記に示したように放射平衡モデルの場合で考えますと(式2の次の式)
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-12-16-1
太陽の放射する熱量(TSI:数式中ではFs)が1%変化すれば、気温は約
0.7度変わります。上記のScafetta and West (2007)の見積もりでは
1%変化で約4~8度変化しますから、6~11倍程度大きいですねぇ。
気温変動の「正のフィードバック」(太陽光変動に伴って気温上昇を加速する
自然要因:例、氷の面積が減るなど)がある、ということかなぁ?
by MANTA (2010-07-08 02:45) 

MANTA

げおさん、私も言葉足らずでした。確かにCO2増加による昇温分は必ずある
はずです。ただその定量的な程度が問題で、いまのところ、数値シミュレー
ションでしか定量化できていないと思います。
地球スケール(時間・空間)を理解するときは、どこかで数値シミュレーション
が必要で、そこがもどかしいところですが、逆に言うとやっとそういうことが
できる時代になったともいえます。
by MANTA (2010-07-08 02:51) 

おおくぼ

温暖化の原因を解明する場合、どのくらいのタイム・スパンで考えるかによって、変わってくると思うのです。

例えば、中世温暖期 → 小氷期 → 現代という数百年規模で見ると、太陽の影響が大きいように思えるのです。

でも20世紀を丁寧に見ると、黒点数の増減と平均気温は相関関係はよくありません。



温室効果は雲と水蒸気の割合が大きいのですが、日本の場合、降水量は減っています。
そうすると、雲と水蒸気の温室効果は小さくなっているかどうかということを考えないといけないと思うのです。

http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/an_jpn_r.html
by おおくぼ (2010-07-08 05:08) 

MANTA

>雲と水蒸気の温室効果は小さくなっているかどうかということを考えない
>といけないと思うのです。
おおくぼさん、上記のScafetta and West (2007)の研究の面白い点
は、太陽活動や気温変化に伴う自然の現象(含む雲や水蒸気)も含まれて
いることです(タイムラグを伴う現象も含まれている)。1900年以前は太陽
活動とそれに伴う自然現象で気温は説明できています。一方、1900年以降
はそれ以前と違う人工または自然の現象が新たに始まっていると考えない
といけません。
by MANTA (2010-07-08 07:04) 

おおくぼ

>一方、1900年以降はそれ以前と違う人工または自然の現象が新たに始まっていると考えないといけません。

たしかに人工の影響は年々大きくなっていると思うのですが、どこまでが自然で、どこまでが人工かを分けるのは難しい気がします。

例えば、今年はオーストラリアと中国で猛暑の日が増えています。
特にオーストラリアの猛暑は数年に渡っています。

オーストラリアの場合は、干ばつの影響が大きいです。
この干ばつの原因は、どこまでが自然で、どこまでが人工かの区別が難しいと思うのです。
ダイポールは自然現象ですし・・・。

自然プラス人工という単純な足し算ではなく、相乗効果で影響が何倍にもなっている地域がある可能性も高いのではないでしょうか?
by おおくぼ (2010-07-08 18:05) 

MANTA

>たしかに人工の影響は年々大きくなっていると思うのですが、どこまでが
>自然で、どこまでが人工かを分けるのは難しい気がします。
人工の変動によって誘発される自然の変動もあると思います。
「気候のフィードバック」の引き金となるのは自然現象だけとは限りません。
そう言う意味ではこれを「相乗効果」と呼んでもよいでしょう。
by MANTA (2010-07-09 05:27) 

おおくぼ

前にあるWorking Dad Overseaさんのコメントは、大気汚染が原因で平均気温が変わったという話で、それが次回のMANTAさんの記事に関係あるそうですが・・・・。

ここで連想したのが槌田敦さんの『CO2温暖化説は間違っている』(ほたる出版)の第四章「温暖化の原因は何か?」です。

槌田氏は、大気汚染は寒冷化だけではなく、温暖化の原因にもなるということを主張しています。
これはトンデモではなく、鋭い指摘だと個人的には思っているのです。
どうでしょうか?
次回の記事で触れてもらえるとありがたいのですが。
by おおくぼ (2010-07-11 05:32) 

MANTA

>『CO2温暖化説は間違っている』
おおくぼさん、私は読んでませんので内容を存じません。Webで検索して
みたところ、エアロゾルが白い・黒いで説明されているのでしょうか?
そのような観測事実はないようですので、おおくぼさんが「鋭い指摘」とされる
根拠や証拠をお示しいただければ幸いです。本書を読んでませんので、
的外れでしたらごめんなさい。

by MANTA (2010-07-11 12:55) 

おおくぼ

槌田敦さんの主張は素直に同意できない部分も多いですが、参考になると個人的には思っています。
だから、槌田氏の主張はあくまで温暖化の原因を考えるヒントと思って下さい。
白と黒に関しては、槌田氏の主張は「白は太陽光を反射するから寒冷化」です。
黒に関してはかなり複雑なことを言っています。

引用すると「黒いほこりや化学物質による汚染の場合、太陽光を吸収するので、地表に直接届く太陽光が減って地表は冷えるが、その汚染高度での気温は上昇する。」85頁

この後、かなり複雑な話を展開しているので、コメント欄に書くと長くなるので省略します。

あとMANTAさんがWebで検索した槌田説の紹介記事を教えていただきたいのですが・・・。



大気汚染で、温暖化と寒冷化の根拠ですね。

http://www.data.kishou.go.jp/obs-env/cdrom/report/html/4_1bis.html

引用「エーロゾルの多くは太陽光を反射・散乱し、直接的には大気を冷却する効果を持つが、すすの一種で黒色炭素(ブラックカーボン)と呼ばれるエーロゾルは、太陽光を吸収し大気を暖めて温暖化を促進する。」

http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/research/profiles/017/index.html

引用「Q:つまり、雲ができることでちょうど地球がシャツを一枚着たよう感じで暖められるということでしょうか。

近藤:それが実は逆なんです。というのも、エアロゾルで空気が靄って見えるというのは光が遮られているからで、同じように太陽の光が地面に到達するのをブロックしているんです。先ほど雲が出来るお話をしました。雲ができる時に水蒸気量が同じであればエアロゾルがたくさんあればある程、雲粒の数は多くなりますが、1粒1粒の大きさは小さくなります。というのは、一つのエアロゾル当たりの水蒸気量が少なくなりますから。そうすると、結果的に雲の断面積が大きくなるので、より太陽の光を反射しやすくなる。また、雨というのはその雲を構成する粒がぶつかることによって大きくなり、落ちるんですが、最初の雲粒が小さいと、雨粒になりにくく、浮かんでいる雲の量は多くなります。このようにエアロゾルが増えると、雲により太陽光が反射されやすくなり、地球を冷却するという複雑な「間接的な効果」と言われる現象が起きるのです。その効果が結構大きくて、これを計算すると産業革命以降のCO2増による温室効果をエアロゾル粒子がかなり相殺していると考えられていて、第4次IPCC(気候変動に関する政府間パネル)レポートでもそのように述べられています。」




荒っぽい話しますと・・・

1 エアロゾルによって雲が増えると太陽の光が反射→寒冷化(丸山茂徳さんの説と似ていますが、宇宙線が原因ではありません)。

2 地球からの熱の放出が雲やエアロゾルで遮断される→温暖化。

そして1と2の効果は、相殺するのか?、相乗効果があるのか?ということなんです。

これは難問な気がするのです。
by おおくぼ (2010-07-11 17:58) 

MANTA

>そして1と2の効果は、相殺するのか?、相乗効果があるのか?という
>ことなんです。
おおくぼさん、それは存じています。私が伺いたかったのは(槌田氏がそう
言ってると予測しますが)、エアロゾルの「色の違い」でこれまでの温暖化
や寒冷化を説明できるか、そのような証拠があるかどうかです。長いコメント
にはその記述はなく、ガッカリしています(とはいえこれ以上長いお返事は
もう結構ですが)。ちなみに私が検索で見つけたサイトは下記です。
http://www.teamrenzan.com/archives/writer/nagai/warming-cause.html
by MANTA (2010-07-11 21:43) 

MANTA

温暖化記事に関しまして、今回初めて、投稿時からコメント欄を「承認制」
にしてみました。コメンテーターの方々にはご不便をおかけしておりますが、
温暖化懐疑派・肯定派の双方から、感情的ではない落ち着いたコメントを
お寄せ頂いています。ありがとうございます。大変勉強になります。
温暖化記事については今後も随時「承認」制としたいと思います。
お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。  

なお、この記事に関しましては、頂きましたコメントはすべてそのまま公開
させて頂いております(非認証となったコメントはございません)。
by MANTA (2010-07-16 12:23) 

おおくぼ

私は平均気温の経年変化の「世界平均」に懐疑的です。
その理由は、経年変化に地域差があるからです。

例えば・・・こちらのサイトのpdfのカムチャッカと北海道の経年変化です。

http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/20454
by おおくぼ (2010-07-16 13:01) 

おおくぼ

大気汚染に関しては次回の記事で書き込みさせてもらいます。

ただMANTAさんの紹介していただいたリンク先の・・

>もしもこの仮設で現代の気候変動を説明しようとするならば、1940-70年の間は、白いエアロゾルが増えて気温が低下し、1990年以降は、黒いエアロゾルが増えて気温が上昇したということになるが

・・・という記述はリンク先のサイト主の独自の解釈ですね。
「もしもこの仮設で現代の気候変動を説明しようとするならば、・・・」と断っていますし。



槌田敦さんは大気汚染には温暖化と寒冷化の効果があり、大気汚染の影響は大きくなっているとしていますが、20世紀の平均気温の経年変化は自然現象の可能性も高いとしています。
だから、大気汚染と平均気温の経年変化の相関性には全く触れていません。
by おおくぼ (2010-07-16 20:49) 

MANTA

>私は平均気温の経年変化の「世界平均」に懐疑的です。
おおくぼさん、「地球温暖化」の定義は、気象庁・環境庁などのページにも
はっきりとは書かれていませんが、通常は地球平均気温の増加をさします。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-07-08

>>もしもこの仮設で現代の気候変動を説明しようとするならば(中略)
>・・・という記述はリンク先のサイト主の独自の解釈ですね。
その通りです。一方、貴殿のご紹介では、槌田氏は単にエアロゾルも温暖化
を考える際に重要だと言っているだけで、具体的証拠を示しているわけでも
なさそうですね。私はそのようなものを「科学的妄想」(科学と程遠い、あるいは
未だ科学になりえない妄想)と呼んでいます。
妄想は楽しいですが、科学ではないということです。
by MANTA (2010-07-17 06:40) 

おおくぼ

世界平均と言えるのは、人工衛星からの計測だと思うのです。
人工衛星からの計測では、20世紀が特別かどうかは判断できないと思うのです。

エアロゾルが全地球的な気温への影響を与えたというグラフは現時点は皆無だと思います。
けれど、部分的な影響があるのは事実です。
だから地域を限定すれば妄想ではないと思うのです。
槌田敦さんはエアロゾルに関しては、具体的なグラフは示していません。
私は槌田敦さんの「気温が増えたから二酸化炭素が増えた説」は「具体的証拠」を示しているように見えますが、間違いだと思っています。
けれど、エアロゾルに関しては「妄想」とは思えません。
まだ科学の条件に達していない仮説の段階だとは思いますが・・・。
でもMANTAさんの「科学的妄想」の定義は「未だ科学になりえない妄想」なので、条件さえ整えば科学に充分なる可能性が高いと思います。
科学は「仮説プラス実証プラス論理整合性」です。
今回の私のエアロゾルの主張は、実証が不足しているのはその通りです。
今回、槌田敦さんの名前を出しましたが、エアロゾルに関しては槌田敦さんを批判するつもりはないので、私個人の主張だと思って下さい。
by おおくぼ (2010-07-17 08:36) 

MANTA

>だから地域を限定すれば妄想ではないと思うのです。
おおくぼさん、定義によりそれは地球温暖化とは言いません。あしからず。

>エアロゾルに関しては槌田敦さんを批判するつもりはないので、
>私個人の主張だと思って下さい。
了解しました。
by MANTA (2010-07-17 08:47) 

おおくぼ

追記

本記事の(Scafetta and West, JGR, 2007のFig.5bに加筆)のグラフが、「地球全体」の平均であるという根拠は何でしょうか?
「北半球の平均気温変動」と書いてありますが、北半球のある地域の「平均気温変動」ではないのでしょうか?
by おおくぼ (2010-07-17 08:51) 

MANTA

>本記事の(Scafetta and West, JGR, 2007のFig.5bに加筆)の
>グラフが、「地球全体」の平均であるという根拠は何でしょうか?
(これは私の想像ですが)著者らも本当は、地球全体の平均気温に基づいて
計算をしたかったのでしょうけれど、南半球では昔のデータが乏しく、北半球
に限ったのでしょう。

>北半球のある地域の「平均気温変動」ではないのでしょうか?
違います。元ネタはMoberg et al.(2005)ですが、
http://www.ncdc.noaa.gov/paleo/pubs/moberg2005/moberg2005.html
ざっとみたところ、古い気候データについては、中国・アラビア・欧州・米国・
グリーンランド・大西洋の計11か所の湖沼堆積物および欧州・米国・ロシア
の計7か所の年輪データに基づいています。さすがはNature論文ですね。
by MANTA (2010-07-18 09:50) 

おおくぼ

たしかに北半球の平均と言えますね。

http://www.co2science.org/data/mwp/studies/l1_mobergnh.php

これは同じグラフで、過去2000年間分です(懐疑派がよく使うグラフでもあります)。
このグラフを見ますと、現在の温度は過去800年間で最高値ですが、過去1000年間では違います。
この過去2000年間のグラフを見ますと、20世紀が特別という根拠は弱い気がします。 
by おおくぼ (2010-07-19 00:06) 

おおくぼ

素朴な疑問としては、どうして「世界平均」が必要なのか?・・です。
北極圏だけ、南極圏だけ、中国だけ、オーストラリアだけを切り離して説明できれば十二分でなのではないでしょうか?
by おおくぼ (2010-07-19 00:34) 

MANTA

>この過去2000年間のグラフを見ますと、20世紀が特別という根拠は
>弱い気がします。 
おおくぼさん、コメントありがとうございます。
たしかにMorberg et al.(2005)のグラフでは1600年より前のデータが
載っています。一方、太陽放射量データのほうは1600年~現在までしか
ありません。なので上記の議論は1600年以降に限られています。より過去の
(信頼できる)太陽放射量データがあれば同様の比較ができるでしょう。

>素朴な疑問としては、どうして「世界平均」が必要なのか?・・です。
それが「地球」温暖化だからです。定義とお考えください。
「北極」温暖化、「中国」温暖化を議論したければどうぞご自由に。
by MANTA (2010-07-19 10:18) 

MANTA

おおくぼさん、上記でどうしても気になることがあります。
たくさんコメントを頂きますので、それには感謝いたしておりますが、議論の
主題を次々に変えられています。ご自身の強い好奇心からでしょうけれども
当方がそれぞれに対して、「こうではないか」とお返しした結論については、
お応えもなく、お礼も頂けないことが多いようです。結局、温暖化に関する
深い議論には至っておらず、読者の参考にもなりません。

その一方、グラフ一つ(例:過去2000年間の温度変化)をちらりと見ただけで
記事の本旨を「根拠は弱い」とするのは、あんまりではありませんか?上記の
400年間の議論を尽くすこともなく、期間を2000年間に広げればご満足で
しょうか? ここ数カ月、頂きましたどのコメントも上記の様なテイストですので
管理人としてあえて苦言を呈させて頂きました。ご容赦ください。

なお主題となる議論を避けて、説明範囲をどんどん広げて行くのは詭弁家の
よくやる手口です。お気を付け下さい。
(例:絶対に外れない大気イオンによる地震予知)
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2009-08-23
by MANTA (2010-07-19 10:36) 

おおくぼ

今までお礼を言わなかったのは申し訳ありません。
丁寧にお付き合いくださってありがとうございます。
また今までのご無礼をお詫びします。

>当方がそれぞれに対して、「こうではないか」とお返しした結論については、お応えもなく、

それは具体的にどれでしょうか?
また、どういう形式で、お応えすれば良かったのでしょうか?

深い議論になっていないというのは、その通りだと思いますが、主題を変えているつもりはありません。
議論のルールを提示をしていただければ、それに従ってコメントをさせて頂きます。
実は、私自身もMANTAさんとの議論が噛み合っていないというか、こちらの意図がうまく伝わっていないという気持ちが強いのです。
双方と読者にとって実り多い議論にしたいし、それが無理そうなら、二度とコメントはしません。
忙しいところすいませんでした。
しばらくは自分のブログの更新に力を入れますので、夏以降にでもまたお邪魔させていただきます。


by おおくぼ (2010-07-19 14:04) 

MANTA

>それは具体的にどれでしょうか?
>また、どういう形式で、お応えすれば良かったのでしょうか?
おおくぼさん、あまり堅苦しく私のコメントを捕えて頂く必要はございません。
本記事の主題から貴殿のご質問がだんだんと離れて行くなぁ…と思いながら
お付き合い申し上げた結果が、2010-07-19 00:06のコメントでしたので
ずっこけた次第です(笑)  また宜しくお願いいたします。

by MANTA (2010-07-19 18:26) 

春分

コメントのやり取りも含めて勉強になりました。
引用されたWeb情報まであたるのは時間が掛かりそうでしませんが、
どうもブログなどでは怪しい根拠で「温暖化は嘘だと皆言ってる」論が多く、
「是とする意見も非とする意見もある」という乱暴な意見もあるし、まともな
話を読んでみたいと思っていました。少し学べた気がします。

by 春分 (2010-07-24 12:15) 

MANTA

コメントありがとうございます。
>引用されたWeb情報まであたるのは時間が掛かりそうでしませんが
ですよね・・・
最初は気楽に、分かりやすく、この連載記事を書こうと思ったのですが、
温暖化懐疑派の方々からの「厳しい」コメントに対応しているうちに、どんどん
小難しいサイトになってしまいました。んで、最近の世論の流れとしては、
「温暖化のことを勉強しようと思うと小難しい。だから温暖化ってよく分から
ないけど、ウソって話もあるよね」って意見が多いようで。なんだ、わたしゃ、
なにをやっているんだ!(苦笑) もうちょっと最初の頃の連載の雰囲気に
戻したいと思います。またお読みいただければ幸いです!
by MANTA (2010-07-24 15:40) 

MANTA

※参考:2010-07-08 02:45のコメントで「太陽光変動→気温の影響率が大きい」
というお話をしましたが、よく考えてみたらマウンダー極小期には火山活動の
影響も大きいのでした(偶然?)。
●地球は氷河期に突入した
 http://www.skepticalscience.com/translation.php?a=53&l=11
Scafetta and West (2007)はそれを入れていないので、影響率が過大
に評価されている可能性があります。だとすれば、近年の温暖化は、太陽光
変動ではより説明できなくなるでしょう。
by MANTA (2012-06-27 03:23) 

Sen Funa

 初めの方は本旨に関係ない導入部ですので、読み飛ばしていただいてかまいません。

 2009年の日食を見ようとして、初めて本件に感心を持ちました。
 その時の影響か、「二酸化炭素が地球温暖化の主因だ」 との意見には、未だに眉唾で見てしまいます。
 「CNN_co_jp 15年後に北半球が寒冷化? 太陽の活動から予測 英研究」 ← とか言う話が数日前に出たようで。
 この話を聞いて、2009年当時知った、「2005年にアメリカ国立太陽天文台の二人の学者が「今後10年以内に黒点の数はゼロになる」と予測した」 という話を思い出し、検索していたらこちらのHPにたどり着きました。
 決定的に太陽活動が弱まってしまえば、細かい議論は吹っ飛んでしまうかもですが。

~~~ここまで関係ない導入部 ↑ ・ ↓ 以下本題です~~~

 スベンスマルク効果についてです。
 ヘリオスフィアは、今が最大な訳ですよね?
 太陽風は、直近の放出が 「効く」 のかも知れませんが、遠くに行った物 (過去、何十年分とか) も、積分的に係わっているのでは?
 などと思いました。
by Sen Funa (2015-07-19 20:52) 

Sen Funa

 先ほど投稿させていただいた者です。
 ヘリオスフィアまで太陽風が届くのに、時間がかかるのだろうなあ、と思っておりましたが、正確にわかりません。
 仮に100天文単位(15000000000km)を太陽風速度(仮に300km/s)で割ると、約580日。
 何十年では無かったですね、すみません。
by Sen Funa (2015-07-19 21:56) 

MANTA

>太陽風は、直近の放出が 「効く」 のかも知れませんが、遠くに行った物
>(過去、何十年分とか) も、積分的に係わっているのでは?
私は太陽や宇宙のことにはとんと疎いのですが、どうなんでしょうね、
太陽から放出されて→地球軌道をはるかに通り越して→再び地球に影響を
与えるようなことってあるのかしら?
地球温暖化って考えれば考えるほど、深いですね。

一方、スベンスマルク効果は(あったとしても)気候に与える影響は限定的だと
私は思っております。はい。
●太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-07-21
●再・太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2010-01-11
●宇宙線では寒冷化しない
 http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2012-06-14

by MANTA (2015-07-20 15:31) 

Sen Funa

 スベンスマルク効果の件は別として。

http://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/4403/?ST=m_news
 ↑ 太陽風の荷電粒子が、遙かに地球を通り越して、地球を守っています。
by Sen Funa (2015-08-05 11:50) 

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