再・太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない [ 地球温暖化を学ぼう]
Solar eclipse partial phase and corona by RBerteig
(protected by CC License)
本連載で以前に「太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない」という
記事を書いたのだけれども、どうもまだ疑り深い人がいるようなので、
新しいデータとあわせて改めて「説明できない」ことを説明しよう(ややこしい)
さて昨年は太陽活動の低さが話題になった。例えばこちら。
●弱る太陽 活動200年ぶりの低水準(2009年6月3日:asahi.com)
太陽活動の指標の一つである太陽黒点数の少なさは今も変わらない。
図1:黒点相対数の変動(~2009年11月)。
ベルギーの研究所(SIDC)の提供データに基づき作図。
データ詳細はこちら(http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sunspot-number.png)
もしも太陽活動が現在の地球温暖化の主要因ならば、地球温暖化の傾向=気温上昇の
傾向は衰えているはず。はてさて?
久々に衛星データをチェック。あいかわらずの上昇傾向である(約0.12℃/10年)。
図2:衛星データによる気温変動。下記サイトと同じ図を当方で作図。
http://www.drroyspencer.com/latest-global-temperatures/
ということで、太陽活動の変化だけでは地球温暖化は説明できませんでした。おしまい。
…それでは少し寂しいので、以下参考となるサイトを列挙しておく。
まず上記より長い期間を見てみよう。19世紀後半~現在までの黒点数と気温変化を比較
すると、20世紀半ば以降は黒点数は増えていないが、温暖化傾向は顕著となっていく。
●CGER ココが知りたい温暖化 太陽黒点数の変化が温暖化の原因?
http://www-cger.nies.go.jp/qa/17/17-1/qa_17-1-j.html
●Solar activity & climate: is the sun causing global warming?
http://www.skepticalscience.com/solar-activity-sunspots-global-warming.htm
これはすでにこれまでの連載記事で述べたことで、20世紀前半までは気温変動は
主に太陽活動により制御されていたとも言えるかもしれない(ただし衛星データはない)。
太陽黒点数ではなく、太陽から地球へやってくる太陽放射量(TSI:Total Solar Irradiance)
でも見てみよう。直接的に「地球を暖める」度合いであり、衛星観測の値が最も信頼できる。
衛星の寿命はそう長くないので、複数の衛星を組み合わせて長期変動を見るのだが、組み
合わせ方を変えても、1978年以降はTSIは横ばいか減少傾向であり、増加傾向にはない。
●ACRIM vs PMOD - Is the sun getting hotter?
http://www.skepticalscience.com/acrim-pmod-sun-getting-hotter.htm
上記は2007年頃までの記録だが、現在のTSIも低調なままである。
●Total Solar Irradiance (TSI) Data (SORCE)
http://lasp.colorado.edu/sorce/data/tsi_data.htm
※Daily Average Full SORCE Mission Plotをクリック(2003年~最新)
こういった話は今に始まったわけでなく「太陽からの放射エネルギー変化は小さすぎて
過去30年間の温暖化傾向には寄与できない」と専門家の間では考えられている。
例:Variations in solar luminosity and their effect on the Earth's climate (Nature)
http://www.nature.com/nature/journal/v443/n7108/full/nature05072.html
このReview論文は、TSIと気温変動の類似を指摘した過去の論文もちゃんと紹介している。
しかしそれらの論文のTSIデータは間接的測定値であり不確かだとも指摘している。
(実際、衛星の直接測定値とは異なる値である)
とはいえ、地球が太陽の影響を全く受けないわけはない。たとえば下図だ。
●Do solar cycles cause global warming?(Skeptical Science)
※原論文はCamp & Tung (GRL, 2007)
温暖化傾向を取り除いた後の気温変動とTSI変動の間にはよい相関がある。
11年周期での変動幅は、TSI=1W/m2に対して気温=0.18℃程度である。
(※私には0.36℃程度にみえるのだけれども…)
----
一方、しばしば話題となる「宇宙線強度」と気温の関連性についても同様だ。
●Svensmark and Friis-Christensen rebut Lockwood's solar paper
(Skeptical Science) ※原論文はSvensmark & Friis-Christensen (2007)
この2つのグラフ、赤が宇宙線強度、青が気温である。上側のグラフでは宇宙線強度が弱い
ときに気温が上昇する傾向が見える。下側だとその傾向はもっとはっきりしている。上側と
下側のグラフの違いはなんだろうか? 下側のグラフでは、気温変動からはエルニーニョや
火山活動などによる影響を取り除かれており(どうやって取り除いたのか詳細はない)、
さらに気温の直線的増加も取り除かれている。
要するに、気温変動のうち、11年周期については宇宙線強度変化と相関は高いが、地球
温暖化とされる長期間の気温の直線的増加傾向は宇宙線強度変化と相関が低いといえる。
なお、このグラフを作ったのは宇宙線強度と(雲と)地球温暖化の仮説を提案したことで有名な
スベンスマーク氏本人である。スベンスマーク自身はこれらのグラフで「宇宙線強度と気温の
相関が高い」と言っているのだが、素直にみると温暖化を説明できていないように思える。
(なぜスベンスマークはこんなグラフを作ったのか、私自身理解に苦しむ)
ちなみに、スベンスマークの仮説は多くの研究で否定されているようだ(下記)。
●「地球温暖化の原因は太陽の活動」説を否定する新論文
http://wiredvision.jp/news/200707/2007070922.html
http://wiredvision.jp/news/200707/2007070922.html
●Study: Cosmic rays do not explain global warming
http://www.cicero.uio.no/webnews/index_e.aspx?id=11074
●More doubt on cosmic climate link
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/7352667.stm
考えてみれば、宇宙線強度も結局は太陽活動に左右されている。ということはスベンス
マークが作ったグラフに見える宇宙線-気温間の相関は、単に11年周期の太陽活動-気温
間の相関を反映した見かけ上のものではないだろうか?
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以上まとめると、太陽活動という地球外からの入射エネルギー変化は、11年周期のような
比較的短い周期の気温変化を説明できるようだが、気温の長期増加の傾向=地球温暖化
は説明できない(特に1980年頃以降)。それでは、CO2の増加が地球温暖化の唯一の
要因なのだろうか?次回はちょっと目線を変えて温暖化を考えてみたい。つづきます。
○太陽黒点数の少なさ(の長期化)
その影響がこれからどう出てくるかという話ですから、今の段階で決めつけるのは尚早ですね。
○太陽11年周期
相変わらず11年周期にこだわりますね、否定し易いからでしょうか。しかし、この記事で言っているような11年周期自体と長期気温傾向とは合わないとの見方は、太陽活動を主因と考える側から既に示されています。相手が既に認識しているのと同じことをしつこく指摘しても仕方ありませんね。
むしろ、55年周期や周期長と気温との関係が良いと言われていますので、こちらについて反論してみてはどうでしょうか。
○宇宙線強度と気温
宇宙線強度はほぼ全期間でマイナスですね。つまり宇宙線は減り続けてきたわけで、気温上昇傾向と辻褄が合っていますよ。
by 早秋 (2010-01-11 15:42)
早秋さん、重要なコメントありがとうございます。
>その影響がこれからどう出てくるかという話ですから、今の段階で決めつ
>けるのは尚早ですね。
すなわち、太陽活動変化から「遅れて」、気温が変化するのではないか?
という考え方ですね。そういう論文もあります。一方でピナツボ火山噴火の
際の全地球レベルでの気温低下は速やかに(数年で)元に戻っています。
●The Physics of Climate Modeling (GISS, NASA)
http://www.giss.nasa.gov/research/briefs/schmidt_04/
太陽活動減少とピナツボ火山噴火の影響は似ていて、共にも地表への入射
エネルギーが減少します。ですので太陽活動変化による気温変化も、さほど
の時間遅れを伴わないのではないか?と私は考えています。
>相変わらず11年周期にこだわりますね、
私の好みではなく(笑)、データの特徴ですので。55年周期や周期長と気温
との関係については十分に存じません。ご紹介いただけると幸いですが、近年の衛星データで議論できない部分は不確定性が多いと思われます。
>宇宙線強度はほぼ全期間でマイナスですね。
なるほど、マイナスですがこれはある値を基準とした「宇宙線強度比」でしょう。
したがって減り続けてません。
by MANTA (2010-01-11 18:39)
宇宙線と低空の雲は相関性はあるみたいですが、それだけです。
温暖化との相関性は悪いと思います。
太陽からの可視光線では、1980年以後の温暖化は説明できません。
それ以前の1960年代〜1970年代は寒かったのです。
可視光線は累積効果が重要で、100年くらいでゆっくり効果が出てきます。
マウンダー極小期が、太陽の影響かどうかはわかりません。
これも仮説の域を出ていません。
by おおくぼ (2010-01-11 19:31)
私は太陽原因説なのですが、一番悩むのが、因果関係です。
太陽の何が、地表の温度を変えているかが?・・です。
可視光線でもないし、宇宙線でもないのです。
太陽風だと思っているのですが・・・・。
by おおくぼ (2010-01-11 23:54)
>可視光線は累積効果が重要で、100年くらいでゆっくり効果が出てきます。
おおくぼさん、コメントありがとうございます。ですので上記の私のコメントに
書いたように(そういう論文もありますが)ゆっくりと効果がでることはない
のではないか?と思っています。どんな理由でゆっくり効果が出るか?
ここで科学的に考えてみても面白いですね(私にはわかりません)。
>太陽風だと思っているのですが・・・・
太陽風でも上記記事の関係と同じと思います。
by MANTA (2010-01-12 02:05)
・宇宙線は減り続けてきた
言い方が不適当でしたので訂正します。
宇宙線強度はほぼ全期間でマイナスですね。つまり宇宙線量が1950年代までに減少して以降も増えない状態が続いてきたことになりますので、気温上昇傾向とも辻褄が合っています。
http://meteo.lcd.lu/globalwarming/Gray/Influence_of_Solar_Changes_HCTN_62.pdf
(p.49参照)
by 早秋 (2010-01-12 02:39)
太陽の可視光線の変化は、黒点の増減とは無関係です。
けれど、毎年微妙に変わります。
だから、数年くらいでは地球に大きな変化は与えませんが、数十年から数百年かかると、1度以上の影響は与えることができると推測できます。
宇宙線は、低空の雲の増減と関係があるみたいですが、温暖化との因果関係が曖昧です。
雲が、太陽の可視光線を遮るから→宇宙線と雲との因果関係が、原因だ・・・というふうにはなりません。
雲には、最大の温室効果があります(水蒸気より大きいと思われます)。
また、宇宙線と相関関係がいいのは、低空の雲だけです。
雲全体とは、相関関係がいいわけではないので、温暖化を説明できません。
あと平均気温の変化しても、場所によっては違います。
例えば、北極圏の20世紀前半はかなり暖かったし、1970年代まではかなり寒かったです(日本の変化率と比べた場合)。
この北極圏の気温変化(特に1970年代までの寒冷化)をどう説明するかは、かなり難しいと思います。
私は海流の変化で説明できるのではないかと・・・予測しているのですが・・・。
http://www.junkscience.com/MSU_Temps/Arctic.htm
by おおくぼ (2010-01-12 09:50)
>つまり宇宙線量が1950年代までに減少して以降も増えない状態が続い
>てきた
早秋さん、温暖化自体、ある時点を基準とした「変化」です。気温はここ30年
で変化してますが、宇宙線強度自体は小さめの値のまま推移、ということ
で理解しました。
----
おおくぼさん、下記ですが、
>太陽の可視光線の変化は、黒点の増減とは無関係です。
私にはよい相関にあるように見えますが。
>数十年から数百年かかると、1度以上の影響は与えることができると推
>測できます。
その根拠は何でしょうか?「推定する」だけならばいくらでも可能です。
つまりは定量的に、そのような時間遅れを伴う気温変動はあるのか?
という話です。
by MANTA (2010-01-13 00:33)
訂正します。
訂正前 太陽の可視光線の変化は、「黒点の増減」とは無関係です。
訂正後 太陽の可視光線の変化は、「最近の地球温暖化」とは無関係です
★
増田耕一さんの説明を読むと、太陽定数の観測はかなり難しいみたいですね。
http://web.sfc.keio.ac.jp/~masudako/publ/geosci/liac/text.html
引用
>太陽定数の1 %の違いにつき、平均気温は2度強変わるという結果である。
問題は、1%にどのくらいの時間がかかるかです。
でも、太陽定数の変化が、1980年代からの温暖化の原因ではないことは確かでしょう。
by おおくぼ (2010-01-13 01:51)
>訂正後 太陽の可視光線の変化は、「最近の地球温暖化」とは無関係です
おおくぼさん、了解です(笑)
太陽のみならず、地球関係の観測は難しいし大変です(実感)。
by MANTA (2010-01-14 00:39)
>太陽風でも上記記事の関係と同じと思います。
電離層は、太陽の影響に敏感に反応すると思うのですが・・・。
ただ、電離層の影響が、どのように地表に影響を与えるかが、よくわかりません。
by おおくぼ (2010-01-15 18:01)
>電離層は、太陽の影響に敏感に反応すると思うのですが・・・。
おおくぼさん、面白いアイデアですが、仮のそうだとしても太陽活動と同期
するはずで、そうなると上記の黒点や宇宙線強度と気温の関係と似た感じ
になると思います(地球温暖化の傾向は説明できないのでは?)。
by MANTA (2010-01-15 21:33)
例えば、こんなニュースがあります。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=29284732&expand
ニュースの真偽は、私には判断できないのですが、この熱圏上層の運動が、地表に影響を与えている可能性はあるのかなあ〜と思ったりします。
もちろん、これだけで地球温暖化を説明できるとは思っていません。
ただ、太陽黒点11年周期だけでは明確にならない「太陽が地球に与える影響」が、あるのではないかと思っているのです。
by おおくぼ (2010-01-15 23:33)
今年の冬は、エルニーニョの影響もありますが、北極振動の影響も大きいみたいです。
http://blogs.yahoo.co.jp/wth_map/58979317.html
北極振動は、「太陽の影響があるのでは?」と思っているのですが・・・。
by おおくぼ (2010-01-16 17:18)
参考
http://eco.nikkei.co.jp/column/kanwaqdai/article.aspx?id=MMECzh000003122009&page=1
http://www.mri-jma.go.jp/Dep/cl/kuroda/kokuten/kokuten%20frame.html
以下引用
衛星観測データによると太陽の11年黒点周期変動に伴う太陽放射エネルギー変動は0.1%程度と非常に小さいものの、紫外線域の変動は数パーセント程度と有意に大きいこともわかってきた。
実際、紫外線吸収が大きい上部成層圏では太陽黒点周期変動に伴う温度変動は1K程度にも及んでいることがわかっている。
大気の力学=放射結合変動が大きな役割を果たしている成層圏ではこのような上層大気場の放射変動が成層圏変動の変調を引き起こすことによって下層大気の変動を引き起こしている可能性がある。
by おおくぼ (2010-01-17 20:28)
太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない。
それでは、他の要素を加えれば説明可能かと言えば、そうは思いません。
現時点の研究では、1980年頃からの温暖化の原因で、謎の部分が50%(私の勝手な数値)ではないかと思っています。
by おおくぼ (2010-01-18 02:30)
>実際、紫外線吸収が大きい上部成層圏では太陽黒点周期変動に伴う温
>度変動は1K程度にも及んでいることがわかっている。
おおくぼさん、仮にそうであったとしても紫外線強度はTSIと似た変動を
するでしょうから、結局は長期の気温増加傾向=地球温暖化を説明でき
ませんよ。
>それでは、他の要素を加えれば説明可能かと言えば、そうは思いません。
それを考えてみようと言うのがこの連載の趣旨であり、温暖化の「科学」
です(この連載は温暖化の「経済学」ではないのです)。
by MANTA (2010-01-18 22:11)
考え中なのですが、北極振動には太陽の影響があると推測しているのですが、黒点周期とは相関していない気がするのです。
かなり複雑な要因が絡んでいる気がするのです。
by おおくぼ (2010-01-19 00:47)
温暖化のシミュレーションは、惑星の運行のシミュレーションなどと比べれば、精度が低いというか、予測を外す未確定要素が大きいと思うのです。
その理由としては、太陽、大気の流れ、海流の因果関係がよくわかっていないからだと思うのです。
by おおくぼ (2010-01-19 09:13)
次の温暖化の記事を期待しています。
by おおくぼ (2010-01-23 20:48)
おおくぼさん、頂いたのは個人的なご意見と承っています。ご質問だすると、
温暖化研究に関する広範な知識を持ちあわせない当方ではお応えできま
せん(苦)。次の記事をまた楽しみにお待ちくださいね。
by MANTA (2010-01-24 10:18)
はい、個人的な意見です。
科学で大事なことの一つは、わからないことはわからないと明確にすることだと思います。
ここまではわかっていて、ここからはまだわかっていないと線を引くことです。
線は絶えず、更新されます。
だから未来には判明することでも、現時点ではわかっていないと明確にすることだと思います。
★
「二酸化炭素の温室効果は過大評価されているのか?」という記事を、楽しみに待っています。
by おおくぼ (2010-01-24 19:35)
>一方でピナツボ火山噴火の際の全地球レベルでの
>気温低下は速やかに(数年で)元に戻っています。
火山灰がずっと漂い続けていたとしたら、どうなったんでしょう。
ちなみに夜気温は下がりますが、翌日には元に戻ります。
でも、ずっと夜だったら・・・・二日目は初日より、三日目は二日目より
気温は下がる・・・・はずだ。ってことは、たとえ気温低下が速やか
だとしても、タイムスパンを考慮しないと、正しい判断はできません。
って思うんですが。
by アマディー (2010-02-06 01:08)
私は物理の世界しか知りませんが、物理の発展史を見ると、新しい現象を説明する法則は、いつでも「多数決」とは逆の方向で決着します。
それからもうひとつ。この問題を計算機で予測するのは、あまりにも問題の対象が複雑すぎて、はたして可能なのか?と思ってしまいます。現場のみなさんはどのように思っているのでしょうか。
by アマディー (2010-02-06 01:22)
>火山灰がずっと漂い続けていたとしたら、どうなったんでしょう。
アマディーさん、リンク先の記事にあるように、空気中の微少なチリの量と
気温変動には時間遅れはあまりありません。
http://www.giss.nasa.gov/research/briefs/schmidt_04/
なので火山灰が漂い続けていれば、気温も低いまま推移するでしょう。
人工的にチリを巻いて温暖化を防ごうというアイデアはここからきます。
より長い周期でも太陽活動と気温変動の間の時間遅れは少なそうです。
太陽活動の11年周期変動に伴う気温変動は上記記事のとおりです。もっと
長い周期はどうでしょうね?海全体が温まるのには数十年かかるかもしれま
せんから、そのタイムスケールでは時間遅れが発生するかもしれません。
ただ一方で、1980年ごろまでは太陽活動と気温変動にはよい相関があり
ますので、長期の時間遅れもさほどないのだろうと私は思っています。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-07-21
by MANTA (2010-02-06 08:09)
>私は物理の世界しか知りませんが、物理の発展史を見ると、新しい現象
>を説明する法則は、いつでも「多数決」とは逆の方向で決着します。
温暖化の問題も、それが叫び始められたときには「地球は寒冷化する」と
思っていた研究者のほうが多かったと思います。
>この問題を計算機で予測するのは、あまりにも問題の対象が複雑すぎて
>はたして可能なのか?と思ってしまいます。
地球は一つしかないので、それを使って実験するわけに行きません。なので
コンピュータ中で再現するしかないのが実情でしょう。予測というよりも数値
実験と考えている人が多いと思います。あくまで現場に携わっていない私の
意見ですが。
by MANTA (2010-02-06 08:11)
>空気中の微少なチリの量と気温変動には時間遅れはあまりありません。
先日の皆既日食でもわかるとおり、太陽が「消えた」とほぼ同時に気温は下がります。そういった意味で時間差はないのは昼と夜の気温差をみても想像がつきます。
ただ私のような門外漢でも想像できますが、地球そのものが非常に大きな蓄熱材です。ですから時間スケールを大きく取ればその影響も大きくなるはず、と考えるのは単純な熱力学モデルを考慮しても自然ではないかと・・・
ですから仮に太陽活動が気温変動に何らかの影響を及ぼすならば、短期的な影響もさることながら、長期的にもじわじわ「きいてくるんじゃないか」と漠然と思うのです。たぶんこの解釈は正しいような気がします。
by アマディー (2010-02-06 10:28)
>長期的にもじわじわ「きいてくるんじゃないか」と漠然と思うのです。
>たぶんこの解釈は正しいような気がします。
アマディーさん、データを見るとそう見えないですよ、というのがこの記事や
コメント欄に書いてあることなのですが… よく読んでいただきたいものです。
by MANTA (2010-02-06 10:40)
>予測というよりも数値実験と考えている人が多いと思います。
物理でも「計算物理学」というのがあります。例えば原子核の衝突を計算機の中で再現します。まさに数値実験です。しかし多くの場合、そのモデルは気象変動シミュレーションと比べればかなり単純です。(非常に単純なモデルでも計算そのものが複雑になることは多々ありますが)
もし究極の物理法則があるならば、素粒子で構成されている人間の脳も計算物理で解明できるはず・・・・なわけはないのです。あまりにも複雑すぎて。もちろん気象変動の数値シミュレーションはそこまで複雑ではないとは想像していますが、しかし、たぶん、これからもいろいろと新しいパラメータが導入されていくるんじゃないかと思います。
ですから、気象変動数値シミュレーションについての科学者としてのスタンスは、常に「複雑で非常に難しく、過去は説明できても未来についてはたぶん正確には予測できない」と正直に認めつつ、「予測」について語ることではないでしょうか。過去については複雑であればあるほど、パラメータの数とその値を調節することで「正しく」説明することは可能だからです。
例えば最近もこんな記事がありました。
http://www.asahi.com/science/update/0130/TKY201001300299.html
数値モデルをこれにあった形に変えたとしても、また近い将来似ているようなことがおこる、というのが現実であり、それもふくめて一般の人にも伝わるようにすることが「科学者」の責任であると思っています。
そして最終的には「事実」がその正当性を証明する唯一の手段であります。これが科学です。
by アマディー (2010-02-06 10:58)
>よく読んでいただきたいものです。
MANTAさん・・・・・・・!
仮に空に漂う火山灰が「一定になる程度」ピナツボ火山が今でも噴火を続けていてたら、たぶん今はもっと寒くなっていなかっただろうか、という疑問がわいてくる、と思っただけです。MANTAさんに叱られたくて書いたわけではありません。
でもごめんなさい。
by アマディー (2010-02-06 11:12)
アマディーさん、こちらこそ厳しい言い方になってしまいました。温暖化の記事
には、思い込みの激しい方からの非科学的なコメントが多く手を焼いている
ものですから、ついこちらも身構えてしまいました。お気を悪くなさらないで
ください。
>ですから、気象変動数値シミュレーションについての科学者としてのスタ
>ンスは、常に「複雑で非常に難しく、過去は説明できても未来については
>たぶん正確には予測できない」と正直に認めつつ、「予測」について語る
>ことではないでしょうか
同意いたします。実際、予測の話をする際には複数の数値モデルの平均を
とっている場合が多いようですので、専門家もその辺は気にしていると思い
ますが、専門外の方にはまだまだ伝わらないでしょうね。
>仮に空に漂う火山灰が「一定になる程度」ピナツボ火山が今でも噴火を
>続けていてたら、たぶん今はもっと寒くなっていなかっただろうか
おっしゃるとおりで、人工的に火山灰のようなものを漂わせれば、温暖化を
防げるのではないか?というアイデアもあるそうですよ。
●トンデモ科学が地球を救う?
http://newsweekjapan.jp/stories/2009/11/post-748.php
by MANTA (2010-02-06 11:38)
気候変動数値シミュレーションに懐疑的な人はその歴史を知ると理解が深まると思います。
下記Webページが参考になります。
「簡単な問いには簡単な答えがあるか? そうとは限らない。」
http://www.realclimate.org/docs/weart_ja.html
by rubysuke (2010-02-07 00:21)
rubysukeさん、URLのご紹介ありがとうございます。下記のくだりは象徴
的ですね(以下、上記Webページからの引用)
" そして、当時もそれ以後も、この論文の数値を正確な予測としてはだれも
信用しないだろう"
この一文の意味が分かるかどうかで、数値シミュレーションとは何かを理解
しているかどうかが分かりそうです。
数値シミュレーションには誤解が多く伴いますね、またこの連載でも取り上
げて見たいと思います。
by MANTA (2010-02-07 12:18)
紹介したURLから引用頂きましたが、気候変動数値シミュレーションに
懐疑的な人は、「だれも信用しないだろう」いう言葉だけに強く反応し、やっぱり
信用出来ないのだと思う恐れがあります。
そこで、下記のように補足説明をしたいと思います。
1970年代の数値シミュレーションの結果はとても信用出来るものではなかっ
たが、その後、いろいろな要素が取り込まれ、コンピュータの進歩に助けられ
て、今ではかなり信用出来るレベルまで高まっている。
これから研究が進めばさらに信頼性が高まる。
というのが正しい理解だと思います。
by rubysuke (2010-02-07 14:22)
>ただ一方で、1980年ごろまでは太陽活動と気温変動にはよい相関があり
ますので
私は、その相関性に懐疑的なんです。
例えば・・・リンク先のグラフです。
https://sites.google.com/site/europa62/climatechange/sngtaco21870
相関性はよくありません。
もし1980年以後に、本当に相関性が悪くなったら、1980年頃から地球規模の異常現象が起きていることになると思うのです。
だから、相関性がいいそのグラフは、間違いだと思っています。
by おおくぼ (2010-02-08 01:12)
>今ではかなり信用出来るレベルまで高まっている
rubysukeさん、補足のご紹介ありがとうございます。でもきっと「かなり」とか
っていう部分に懐疑派の人は「信用できない」ってかみつくのでしょうね(笑)
----
>私は、その相関性に懐疑的なんです。
>例えば・・・リンク先のグラフです。
おおくぼさん、黒点数との比較をご紹介いただきまして、ありがとうございます。
データを変えると見方も変わって面白いですね。
by MANTA (2010-02-08 07:44)
詳しくはロバート・アーリック:著『怪しい科学の見抜きかた』(草思社)の第6章「地球温暖化は本当に心配すべきなのか?」の「太陽のエネルギー量変化で気候変動を説明できるか」で説明されています。
明快な懐疑派批判が展開されているので、懐疑派の方には是非、読んで欲しい本です。
私もロバート・アーリックの本を読んで、自説を大幅に訂正しました。
専門的な説明の部分は長いので、結論だけ引用します。
>ゼイールとラーセンは1999年の論文で、1991年におこなった黒点サイクルと地球の気温の関係に関する初期の研究に、新たなデータを加えた。
より最近のものであるこのデータを見ると、1991年以降の年については、よく一致しているとはとうてい言えないことがわかる。
過去10年の地球の気温は、実際には黒点周期の長さから予測されるよりも著しく高くなっている。
ゼイールとラーセンは興味深い結論を述べている。
1990年代に観測された気温は予測を上回ったが、これはおそらく、人間に起因する作用、すなわち温室効果による温暖化の影響を示しているのだろうというのである。
この1999年に得られた結果について、これとは別のもっと理にかなった解釈は、新たに加えたデータはもはや以前のパターンに一致しないのだから、はじめに報告された黒点サイクルと地球の気温の相関は、統計上の見かけのものにすぎないというものである。
197ページ
by おおくぼ (2010-02-08 13:19)
厳しいことを言えば、太陽原因派は、統計データを相関性がよく見えるような操作をしたということです。
これは捏造だと思うのです。
by おおくぼ (2010-02-08 13:24)
>これは捏造だと思うのです。
おおくぼさん、それは言い過ぎだと思いますよ。
by MANTA (2010-02-08 19:55)
詳しい検証をしてみないと「捏造」とは断定はできませんが、「捏造」の可能性が高いと思っています。
by おおくぼ (2010-02-08 20:06)
>詳しい検証をしてみないと「捏造」とは断定はできませんが、
>「捏造」の可能性が高いと思っています。
それを言い過ぎというのです。私はこの連載記事を書く際には、必ず自分
なりの検証をしています。それをせずに軽々しい発言はお気を付け下さい。
by MANTA (2010-02-08 21:17)
わかりました、気をつけます。
ロバート・アーリック:著『怪しい科学の見抜きかた』(草思社)の第6章「地球温暖化は本当に心配すべきなのか?」の「太陽のエネルギー量変化で気候変動を説明できるか」についての、MANTAさんの感想を聞きたいです。
もし時間ができたらで、いいのですが・・・。
by おおくぼ (2010-02-08 22:07)
私には 太陽活動説も CO2主因説も同じ類にしか見えません
双方、相関をあるように言ってるだけで見える数式が出ていません。
CO2主因説は、シミュレーションのパラメータ調整に成功しているので一見数式で説明されたのと同じだと勘違いしていますが、CO2の影響だけでは不足するためにポジティブフィードバックをパラメータ内に抱えています。
その為、CO2の影響は増幅され、結果としてそれで未来予測させると20年で1℃上昇などという予測が平気で出てきます。
少し前まで「1990年から20年で1℃上昇のペース」なんて平気で書いてましたよ。
今は2010年ですが1℃上昇していますか?
太陽活動説を今合っていないと批判するなら、同じだけCO2温暖化説も批判すべきでしょう。
by 大げさのたぐいです (2010-02-10 10:37)
>私には 太陽活動説も CO2主因説も同じ類にしか見えません
>双方、相関をあるように言ってるだけで見える数式が出ていません
大げさのたぐいさん、本記事には「太陽活動変化と気温変動の相関は近年
は低い」と書いたのですが… また下記ですが、
>太陽活動説を今合っていないと批判するなら、同じだけCO2温暖化説も
>批判すべきでしょう。
についても、記事本文末尾に次回の当連載で行うと書いてますが…
あまり記事をお読みいただけていないようで残念です。
by MANTA (2010-02-11 12:15)
>CO2主因説は、シミュレーションのパラメータ調整に成功しているので一見数式で説明されたのと同じだと勘違いしていますが、CO2の影響だけでは不足するためにポジティブフィードバックをパラメータ内に抱えています。
気候シミュレーションをよく理解されていないとこういう誤解をされます。パラメータで好き放題できるわけじゃありません。
by aqua (2010-02-13 04:04)
aquaさん、コメントありがとうございます。シミュレーションがご専門の方で
しょうか?最近はシミュレーションに関するコメントが増えました。「CO2が
温暖化の主犯」とする主要因の一つが、シミュレーション結果に基づくから
でしょうか?aquaさんのご指摘通りで、なんでもかんでもパラメータ化して
数字合わせをしているのが「気候シミュレーション」で、そこに物理はないと
思い込んでいる人がいるようですね。
シミュレーションについて、一度記事にしたいですね。英和辞書には「模擬
実験」って載ってるんですけど、案外それを知らない人が多いようです。
by MANTA (2010-02-13 11:31)
>太陽黒点数は約11年の周期を持って増減を繰り返していますが、その最大値は必ずしも一定ではなく、周期ごとに異なっています。
この最大値の変化と地球の平均気温の変化を比較しますと、19世紀後半から20世紀前半にかけては、たしかに両者の相関が高いように思われます。
しかし、この時期にはすでに温室効果ガスも徐々に増加し始めており、それに伴う気温上昇も考慮しなければなりません。
じつは、この時期に観測された気温変化の原因についてはまだよくわかっていないのですが、太陽活動の長期的な変化だけでは説明しきれないと考えられています。
>
これはMANTAさんが、記事内でリンクしているサイトからの引用です。
http://www-cger.nies.go.jp/qa/17/17-1/qa_17-1-j.html
私には、太陽黒点と平均気温の相関性は、19世紀後半〜20世紀前半が、「似ている!」と言われれば、似ているような気がするというレベルだと思うんです。
by おおくぼ (2010-02-13 20:47)
太陽活動説は、
太陽風が地球磁気圏の構造(太陽側が磁束密度が高くなる等)に影響し、太陽風が宇宙放射線に影響する。その結果、夜と昼の雲の比率に影響する。
雲は昼あれば太陽光を遮り寒冷化要素だが、夜あれば放射冷却を遮り温暖化要素になるので、昼と夜の比が1%変化すれば1~2度気温に影響する。
というような風が吹けば桶や方式なので、否定も肯定もなかなか厄介です。
一方CO2温暖化の方は気候感度の匙加減で好きな未来予測が作れます
気候感度を6度にすれば20年で1度上がるという事も出来ますし
地球シミュレータのように気候感度を4度に設定して、北極海の気温が+12度も上がると脅す事も出来ます。
しかし放射強制力 3.7W/㎡の増加で、北極海の気温が12℃も上がったり、雪の無い低緯度地方が+3度も上がればエネルギー収支が合うはずがありません。
こういう無茶な水増しによる脅しを認めるくらいなら、滑稽に見える太陽説を支持したくなります。
by 大げさのたぐいです (2010-03-02 04:55)
>しかし放射強制力 3.7W/㎡の増加で、北極海の気温が12℃も上がっ
>たり、雪の無い低緯度地方が+3度も上がればエネルギー収支が合う
>はずがありません。
大げさのたぐいさん、まさにここが知りたいところですね。しかし実際には
シミュレーションでしかエネルギー収支を確かめられない。もどかしい限り
です。ただ私は「滑稽」とまでは思いませんが。
by MANTA (2010-03-02 12:47)
このコメントは、次の記事へのリクエストなので、返信は不要です。
私の主張は、以下の説は根拠が弱いということです。
根拠が弱いというのは、間違いとは断定できないけど、強く肯定できないという意味です。
1980年頃までは、平均気温は自然現象だけで説明可能。
でも1980年頃から後は、自然現象だけでは説明不可能。
ゆえに、1980年頃から後は、人為的な影響が大きい。
★
それでは、平均気温変化に人為的な影響があるなら、いつ頃からでしょうか?
平均気温「変化原因」の全体の何割でしょうか?
この謎が知りたいです。
by おおくぼ (2010-03-02 15:17)
エネルギー収支が成立するかどうかは物理法則ですから、コンピュータを使わなくても判る話だと思いますよ。
北極海は海氷面積が減れば気温が上がり、気温が上がれば高気圧が弱まり、海氷面積が増える・・・という振動をしています。 遅延を含むフィードバック系なのでしょう。
この固有周期が太陽黒点周期に近いとすれば、太陽黒点周期が少しずれると振幅が変動する=大きな変動をするというようなモデルも作れるでしょうね。
一方,CO2のような温室効果ガスの影響は一様で連続した変化ですから振動に影響は与えられません。そして フィードバック系では 与えたステップ入力に対して出力は安定後、与えた入力より小さくなります。
地球シミュレータで出る北極圏+12℃を実現するには放射冷却50W/㎡近い増加をどこかから補わなければいけません。 もともと極高気圧+海氷運搬でエネルギーを得てる北極海の気温が+12℃も上がればどこからもエネルギーを得る事が出来ません
by 大げさのたぐいです (2010-03-03 05:54)
>でも1980年頃から後は、自然現象だけでは説明不可能。
>ゆえに、1980年頃から後は、人為的な影響が大きい。
そうそう、この2行目がそれでよいかどうかがカギですね > おおくぼさん
次の連載記事、もうすぐUPしますよ。お楽しみに。
>エネルギー収支が成立するかどうかは物理法則ですから、コンピュータ
>を使わなくても判る話だと思いますよ。
大げさのたぐいさん、上のrubysukeさんのご紹介サイトをご覧になると
よいでしょう。また地球スケールのエネルギー収支は簡単ですが(例えば
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-12-16-1)、地球上のある
地域(例:北極)のエネルギー収支は簡単に計算できると思えませんが。
by MANTA (2010-03-03 18:48)
エネルギー収支を計算するのは難しいとしても、エネルギー収支の変化分は簡単です。
どの地域も数10年平均ではエネルギー収支がバランスしてるわけです。
海流と海氷と大気とアルベドがどう変化すれいいかの問題です。
特に北極圏は北半球で最も寒い地域ですから大気は基本的に極高気圧で上から下に流れてくる(夏は低気圧も起きるが)し、面積的に北極海の比率が大きいので考えるのは容易でしょう。
+50W/㎡近い放射冷却分の上昇を満たせる物理現象を探すのは私には不可能でしたよ。
by 大げさのたぐいです (2010-03-04 05:15)
>どの地域も数10年平均ではエネルギー収支がバランスしてるわけです。
そういった閉鎖系をどの時空間スケールで考えるかが難しいのですが?
by MANTA (2010-03-05 08:06)
上記の記事(地球温暖化問題懐疑論へのコメントVer.3.0の議論8の反論も同じ論旨)では黒点周期2周期半ほどの最近の30年間の部分のみを取り上げて、太陽活動が低下しているのに気温が上昇しているから、太陽活動と地球温暖化とは無関係という説明が行われていますが、そこでは100年、数百年といった長期の傾向やタイムラグの問題を無視していています。
「木を見て森を見ず」のことわざ通りのミスをしています。1日の中で日射のピークと気温のピークには2時間のずれがあります。1年の中では6月下旬の日長が一番長い日と8月上旬の一番暑い時期の間には1か月半のずれがあります。天文学的サイクルに伴う北半球高緯度の日射の変化によって地球全体の気温が変化し、氷期と間氷期の交代を生じさせるミランコビッチサイクルも温度の変化まで数千年のタイムラグがあります。
これらはすべて巨大な熱容量のものが温まり切るまでに一定の時間を要することによるものです。12時から14時まで日射が減っているのに気温は上昇しているから、また、6月下旬から8月上旬まで日射は減っているのに気温は上昇しているから、1日の中での、あるいは1年の中での日射と温度上昇の関係は無関係と主張しているのと同様のことを上記の記事では主張しています。
過去100年間では1900~1950年に比べて、1950~2000年の黒点周期のピークは明らかに高く、太陽活動が活発だったことは歴然としています。したがって、20世紀後半の温度上昇が太陽活動が活発となったことによる可能性は大いにありますし、長期的な太陽活動がピークを越えて低下し始めても、タイムラグで気温が上昇し続けることも十分にあり得ます。
中世温暖期(海面が今より50cm高かった平安海進の頃)は太陽活動は活発でした。太陽活動が不活発だった1600年代後半のマウンダー極小期、1800年代前半のダルトン極小期は寒冷な時期でした。もっと前の時期でも延々と同様な対応があります。このように過去の気温の変化と太陽活動は良く対応しています。
太陽活動の変化に伴う光強度の変化はわずか0.1%しかありませんから光強度の変化ではそのような対応を説明できませんが、太陽風の変化に伴う宇宙線量の変化で雲量が変化し、地上に達する日射が変化するとするスベンスマルク効果(霧箱と同様の効果)があると仮定すると、それらの対応をうまく説明できます。一方、炭酸ガス濃度はそれらの時期はほとんど変化していませんから、それらの温度変化を炭酸ガス濃度の変化で説明することはできません。
by クロップサイエンス (2010-03-10 23:35)
クロップサイエンスさん、長いコメントを頂きましたが、
>そこでは100年、数百年といった長期の傾向やタイムラグの問題を無視
>していています。
については一部はすでに上記コメントで解説済みです。「ピナツボ」でページ
検索してみてください。そこにも書きましたが、太陽活動変化による気温変化
はさほどの時間遅れを伴わないのではないか?と私は考えています。
数十年という、もっと長い時間スケールでの研究例も紹介しましょう。
下記はScafettaらによるPhysics Today掲載の記事です。
http://www.fel.duke.edu/~scafetta/pdf/opinion0308.pdf
(元ネタはScafetta et al.,JGR,2007)
彼らは、太陽活動変化から気温変化へは数十年の時間遅れが発生しており
1900年以降の地球温暖化の70%程度は太陽活動が原因としています。
(図中の赤線=太陽活動からの予測値、黒線=観測値。傾向が似ている)
しかし、彼らの研究では太陽→気温変化のメカニズムを考えることなく、
単に数学的な解析を施しただけです。さらに彼らが用いた衛星気温データ
ACRIMには、一部不自然な部分があることが指摘されています。
http://www.skepticalscience.com/acrim-pmod-sun-getting-hotter.htm
もう一つ衛星データ(PMOD)を用いた予測値(Scafettaらの図の青線)の
ほうが尤もらしく、となると「時間遅れモデル」を用いたとしてもやはり
1980年以降の気温上昇は太陽活動では説明できなくなります。
by MANTA (2010-03-19 20:15)
気温と太陽活動とを同時の時間軸でしか見ることができない限り、クロップサイエンスさんなどの言われている意味を理解することは難しいでしょうね。
by NO NAME (2010-04-04 22:23)
>気温と太陽活動とを同時の時間軸でしか見ることができない限り
NO NAMEさん、そういうかたはぜひ、上記のPhysics Todayなどを
読むべきでしょう。英語ですが。
by MANTA (2010-04-06 12:35)
太陽活動と気温の変化には14~20年のタイムラグ(時間的遅れ)があるという報告がいくつかあるようです。
京都のヤマザクラの満開日から復元した気温と太陽活動は良く連動しています。図からは気温の方にタイムラグがあるように見えます。
http://akumanosasayaki.blog.shinobi.jp/Entry/37/
チベット高原北縁の降水(アジア夏季モンスーンの強度)と太陽黒点とは強い関連性があります。
中国とオマーンの石筍、鍾乳石から再現した降水量と磁場には強い相関があり、太陽活動との関連があります。スベンスマルク説を裏付けるものになっています。
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2557517/3681496
モンスーン強度は太陽放射の変動と強くリンクしていて、2万年周期があるという報告もあります。
歴史上、氷河の前進、後退や温暖な時期、寒冷な時期の交代は太陽活動と連動しています。
http://stesun5.stelab.nagoya-u.ac.jp/study/sub8.htm
太陽活動と気温に強い関連性があることは、歴史上の数々の証拠から歴然としているとみるべきでしょう。それらの時期の炭酸ガス濃度はずっと280ppm付近でしたから、それらの温度変化や降水量の変化に炭酸ガス濃度は何ら関与していません。
火山の噴火で大量の噴出物が舞い上がるのは数日、数週間のことで、エアロゾルで日射がさえぎられる年数も数年です。一方、太陽活動は11年周期があり、さらに数十年ごとに活動が活発な時期と不活発な時期を繰り返しています。この二つのことを同列に扱って、太陽活動はタイムラグなしにすぐに気温に影響するはずだと考えるのは早計というものです。
1950年から2000年までは過去400年で最も太陽活動が活発でした。
いわゆる温暖化にはこの非常に活発な太陽活動と、1980年頃にPDO(太平洋十年規模振動)指数がマイナスからプラスに転じて、1980年代、1990年代にずっとプラスだったことが関係しています。
http://www.data.kishou.go.jp/kaiyou/db/climate/pdo/pdo_month.html
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/an_wld.html
国立環境研の江守室長は過去10年の気温の低下はPDOがプラスからマイナスに転じたためと主張しています。
by クロップサイエンス (2010-04-10 01:29)
またもたくさんお書きいただき有難うございます。 > クロップサイエンスさん
ただ「過去」に太陽活動と気温変化にタイムラグを伴う相関関係があったと
しても、「現在」もそうであるかどうかは別であることをお忘れてはいけません。
例えば…
>京都のヤマザクラの満開日から復元した気温と太陽活動は良く連動
とても興味深いです。このような古気候復元と黒点などの太陽活動との相関
に関する研究は多く、タイムラグがあることも指摘されています。ところで
1980年頃以降はどうでしょうか?私の本記事中の図をみても、黒点数と気温
の相関はよいとはいえませんね。またPhysics Today誌の論文(私が上記
のコメント欄に書いたもの)はご覧いただけましたか?(図だけでも結構です)
私の解釈ではありますが、タイムラグの効果を考えても1980年以降の気温
上昇は太陽活動では説明できなさそうです。
他についても同じです。たとえば…
>中国とオマーンの石筍、鍾乳石から再現した降水量と磁場には強い相関
元ネタはこちらのGeology論文のようですね。
http://geology.geoscienceworld.org/cgi/content/abstract/37/1/71
中身を読めませんのではっきりしませんが、これも「過去の相関」の話です。
温暖化が進む現在は、地磁気強度が「小さく」なりつつあります。
http://www.kakioka-jma.go.jp/knowledge/mg_bg.html
スベンスマーク仮説に従えば、地球の磁場が弱くなると→地球に届く宇宙線
が増え→雲が増えて→気温が下がるはずですが、そうはなっていません。
ようするにスベンスマーク効果はあってもマイナーなのだと思います。
>http://stesun5.stelab.nagoya-u.ac.jp/study/sub8.htm
こちらのうち、19世紀以前の古いところはその通りでしょう。一方、「気温と
太陽活動」については、その後、著者のLassen自身が否定しているようです。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-07-21
by MANTA (2010-04-11 00:16)
まさしく木を見て森を見ず、の見方ですね。
何千、何万、・・・、何十億年と続く営みを、僅か数十年での矮小な差異を針小棒大に扱って否定できるものでは到底ないでしょうね。こと「太陽活動と気温」については、あまりせっかちに結論しないことが肝要ですよ。
もっと大局に構えて考察した方が良いでしょう。
by 「現在」もそうであるかどうかは別? (2010-04-11 01:35)
記事中の、
「考えてみれば、宇宙線強度も結局は太陽活動に左右されている」
との一文もあまりに安直・乱暴ですね。
宇宙線は宇宙線、太陽は太陽であり、その相互関係についても、もっと丁寧に捉えるべきでしょうね。
by NO NAME (2010-04-11 08:49)
>スベンスマーク仮説に従えば、地球の磁場が弱くなると→地球に届く宇宙線が増え→雲が増えて→気温が下がるはずですが、そうはなっていません。
これもガサツな「→」のつなぎ方ですね。
特に最後の「気温が下がる」のところは、「気温が上がらなくなる」の段階がその前にあってしかるべきでしょうね。
by NO NAME (2010-04-11 10:21)
「現在」もそうであるかどうかは別?さん、コメント有難うございます。
>まさしく木を見て森を見ず、の見方ですね。
科学的立場から見れば、「森」を理解するためには「木」一つ一つを地道に
理解する努力が必要です。本記事や以前の記事にある通り、ここ30年でも
地球規模の気温上昇は確実で、これこそが地球温暖化です。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-07-10
矮小で取るに足らない現象ではありません。「何十億年」などという言葉に
酔いしれて「森」を俯瞰した気になるのは気持ちのよいことだと思いますが
それでは自然現象は理解できません。
>何千、何万、・・・、何十億年と続く営みを(中略)否定できるものでは
>到底ない
本稿では、”現在”の地球温暖化と太陽活動の因果関係は明らかではない
と主張していますが、同時に過去の因果関係は一度も否定していません。
むしろよい相関にあると思います。
by MANTA (2010-04-11 11:12)
NO NAMEさん、ガサツという言葉がお好きのようですね。
> 「考えてみれば、宇宙線強度も結局は太陽活動に左右されている」
>との一文もあまりに安直・乱暴ですね。
いいえ。下記サイトなどを読むとよいでしょう。
http://cosray.shinshu-u.ac.jp/crest/contents/research/Norikura/page1.html
>特に最後の「気温が下がる」のところは、「気温が上がらなくなる」の段
>階がその前にあってしかるべきでしょうね。
補足、ありがとうございます。
by MANTA (2010-04-11 11:40)
>科学的立場から見れば、「森」を理解するためには「木」一つ一つを地道に理解する努力が必要
どうも分かっていないようですが、木を見て森を見ずとは、それでは足りませんよ、ということですよ。森を俯瞰しつつ木を見ていかねば、大抵は見間違いますからね。
また、矮小な差異と言っているのは、地球気温の上昇のことではありませんよ。
>、”現在”の地球温暖化と太陽活動の因果関係は明らかではないと主張していますが、同時に過去の因果関係は一度も否定していません。
超長期に続いてきた因果関係が例えば20世紀半ばから突如、途切れたかのような主張をすることが、真摯な科学的態度と本当に言えるのか、よく自問してみた方が良いでしょうね。
>いいえ。下記サイトなどを読むとよいでしょう。
>http://cosray.shinshu-u.ac.jp/crest/contents/research/Norikura/page1.html
これも分かっていないようなのでもう少し分かりやすくしておきますが、例えば黒点数が100個であったとき、宇宙線強度も常に同じ値になる訳ではありませんね、ということです。
by 木を見て森を見ず (2010-04-11 20:39)
「ただ「過去」に太陽活動と気温変化にタイムラグを伴う相関関係があったとしても、「現在」もそうであるかどうかは別であることをお忘れてはいけません。」ということですが、科学の法則というものは数万年前も数千年前も現代も成り立つものです。現代だけ別というのはあり得ません。
逆に、最近の30年は成り立つように見えるが、過去数百年、数千年で成り立たないことは科学的真実ではありません。前者は太陽活動と気温の関係、後者は60ppm程度の炭酸ガス濃度の上昇と気温の関係です。
1900年代後半は過去400年で最も太陽活動が活発でしたから、最近30年の温度上昇はタイムラグを伴いながら、歴史上の数々の証拠と同様に活発な太陽活動の結果として生じた可能性が高いのです。
http://green.ap.teacup.com/pekepon/86.html
一方、過去数千年で温暖期、寒冷期が繰り返されましたが、それらの時期の炭酸ガス濃度はほぼ一定でしたから、それらの温度変化は炭酸ガス濃度と無関係に生じたことになります。
過去6億年で現代も含めて氷河期は5回ありました。そのうち、現代に近い炭酸ガス濃度だったのは古生代石炭紀~二畳紀だけで、中生代ジュラ紀末は4倍、古生代オルドビス紀末~シルル紀始めは14倍、そのもっと前の6億年前は6倍の炭酸ガス濃度でした。
http://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/taikitokaiyonorekishi.htm
14倍の5000ppm前後でも灼熱地獄とならずに氷河期になるくらいですから、わずか60ppmでは温暖化の効果はゼロと考えるべきです。本当に温暖化の効果が歴然としているのは赤道直下まで凍結したスノーボールアースを終了させた0.12気圧以上の炭酸ガスです。すなわち現在の0.04%の300倍の12%の炭酸ガス濃度にならないと、明らかな温室効果は見られないのです。
http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=59
炭酸ガスによる温暖化を主張している人たちは炭酸ガスによる温暖化の効果を2ケタも過大に見積もっています。
1980年頃からの急激な温度上昇は炭酸ガス濃度の上昇が原因とされていますが、その本当の原因は400年間で最大の太陽活動と、PDO(太平洋十年規模振動)指数のマイナスからプラスへの転換と、NOAA(アメリカ海洋大気圏局)およびイギリスのCRUによる気温データのねつ造、都市化の影響が強い観測点の選択、温暖化していない観測点の無視によるものです。
http://www.data.kishou.go.jp/kaiyou/db/climate/pdo/pdo_month.html
http://nagatsuki07.iza.ne.jp/blog/entry/1462953/
http://akumanosasayaki.blog.shinobi.jp/Entry/53/
by クロップサイエンス (2010-04-11 21:09)
まず、どうもお二人とも、上記記事を読まれていないようですので、よく
読むことをお薦めします。観測事実から言えば、タイムラグをもったとしても
最近の温暖化は太陽活動では説明できないのです(過去は説明できたのに!)
すなわち、観測事実からみれば、過去と現在はすでに「違っている」のです。
コメントへの詳細なお返事は後ほどいたしましょう(残念ながら私はそこまで
暇ではありません)。それまで本記事を一度ちゃんと読む時間として下さい。
またそれまでにお二人もしくはそれ以外の方からのコメントは混乱を招きま
すので、当面コメント欄を承認制にします。あしからずご了承ください。
by MANTA (2010-04-11 21:28)
>よく読むことをお薦めします。
何を言っているのでしょうね、記事の中身がなっていないから色々突っ込まれている訳ですよ。
>コメント欄を承認制にします。
また始めましたね、このブログでの都合の悪いコメントの排除はかなり有名になってきているので驚きはしませんが。
見せかけだけ自分がいかにも正しいかのように取り繕っても、ただ恥を上塗りするだけだと思いますがね。まあ、好きにやって下さい。
by NO NAME (2010-04-11 21:53)
さて、やっと時間ができました。まずは「木を見て森を見ず」さん。
(ニックネームくらいはちゃんと名乗ってほしいものですね)
>どうも分かっていないようですが、木を見て森を見ずとは、それでは足り
>ませんよ、ということですよ。
おっしゃるとおりでしょう。
しかし、木の一つも記載できず(=最新データがそろったここ30年間の気温
上昇の要因をきちんと解釈できず)、何が分かると言うのでしょうか?
「自然は雄大だから人知は及ばない」というご主張でしたら、科学的にそれ
を理解しようとするこのブログをお読みいただく必要はもうないでしょう。
>>いいえ。下記サイトなどを読むとよいでしょう。
>例えば黒点数が100個であったとき、宇宙線強度も常に同じ値になる
>訳ではありませんね、ということです。
日本語の意味から説明しないといけないようです。私の原文は以下です。
「考えてみれば、宇宙線強度も結局は太陽活動に左右されている」
大辞林によれば、
・左右する=影響を及ぼし支配すること
・支配する=あるものの意志・命令・運動などが、他の人間や物事を規定し
束縛すること。
ちなみに
・決定する=はっきりときめること。また、きまること。
すなわち「太陽活動度が宇宙線強度を規定し束縛している」わけで、
「決定」しているわけではありません。太陽活動以外の要因が地表への
宇宙線強度に影響を与えてもよいわけで、その良い例がクロップサイエンス
さんのコメント (2010-04-10 01:29)に紹介されていますね。
というわけで、本文をよく読むことをお薦めしているのです。今回は内容を
読まない言いがかりのようなコメントにお返事しましたが、次回以降は同様
のコメントは削除します。ご了承ください。
>このブログでの都合の悪いコメントの排除はかなり有名になってきている
>ので驚きはしませんが
このブログが有名になっているとは知りませんでした。喜ばしいことです。
賛成・反対、どんどんコメントをお寄せ下さい。都合の悪いコメントを排除して
いるかどうかは、各コメント欄での対応を読んで頂ければ分かることでしょう。
(宿題のまま、回答できていないものはあります。ごめんなさい。
順にお返事いたしますので)
by MANTA (2010-04-12 12:58)
さてクロップサイエンスさん(他お一方)貴重なコメントありがとうございます。
>「ただ「過去」に太陽活動と気温変化にタイムラグを伴う相関関係があっ
>たとしても、「現在」もそうであるかどうかは別であることをお忘れてはい
>けません。」ということですが、科学の法則というものは数万年前も数千
>年前も現代も成り立つものです。現代だけ別というのはあり得ません。
----
>超長期に続いてきた因果関係が例えば20世紀半ばから突如、途切れ
>たかのような主張をすることが、真摯な科学的態度と本当に言えるのか
過去の温暖化現象の理解と、現在の温暖化現象の理解は何がどう違うのか?
観測データとその解析結果は何を我々に教えてくれているのか?
とてもこの小さなコメント欄では書ききれません。
次の温暖化連載記事でお返事することにいたしましょう。
(他にもお返事することが溜まっているのですが、最優先としますよ!)
by MANTA (2010-04-12 19:29)
>最新データがそろったここ30年間の気温上昇の要因をきちんと解釈できず
データは揃ってなどおらず、きちんと解釈できている域に達した人もいませんよ。あなたもCO2主因説に疑問を持っているんでしたよね。
>「考えてみれば、宇宙線強度も結局は太陽活動に左右されている」
あれでピンと来ないのではちょっと重症ですが、太陽活動が弱いのに宇宙線が少ないことも、太陽活動が活発なのに宇宙線が多いこともありますよね、ということですよ。
by まだ分かっていませんねえ (2010-04-12 19:30)
地球史という46億年レベルで見ることも大事だし、天気予報のように今日や明日の天気も重要です。
ただ天気予報に、46億年の過去データは大きすぎて邪魔だと思います。
★
20世紀中の太陽黒点数と平均気温の相関性は悪いです。
前半がなんとか相関している「気がする」という程度です。
後半は全く相関していません。
https://sites.google.com/site/europa62/climatechange/sngtaco21870
太陽が地球の平均気温に与える影響は大きいと、私は推測していますが(あくまで仮説の段階です)、20世紀中の太陽黒点数だけから判断すると、平均気温に与える影響は不明(大きいか小さいかすらわからない)だと思うのです。
by おおくぼ (2010-04-12 20:43)
まだ分かっていませんねえさん、その通りです。
>データは揃ってなどおらず、きちんと解釈できている域に達した人もいま
>せんよ。
だから科学者はみんな注目しているのです。私もです。一方で(次の記事
に書く予定ですが)過去だからと言って、よく分かっているわけでもないです。
>太陽活動が活発なのに宇宙線が多いこともありますよね
前述の通り、あると思いますよ。
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おおくぼさん、ご紹介ありがとうございます。次の記事でも似たような図が
出てくると思いますのでまたコメントを頂ければ幸いです。
by MANTA (2010-04-13 08:45)
前から疑問なのが、対流圏上部や成層圏の経年変化なんです。
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/20th/1_4_1.htm
地表の変化と違う気がするんです。
変化の度合いも微妙だし。
これはリクエストです。
次回の記事を、のんびりと期待しています。
by おおくぼ (2010-04-13 13:55)
おおくぼさん、成層圏の気温下降、興味深く拝見しました。気象庁のサイト
では「成層圏での気温の下降は,地球温暖化に伴って現れる現象とされて
います」とありますね。なんでだろう? 不思議ですね。考えてみます~
ご紹介ありがとうございます。
by MANTA (2010-04-13 17:54)
温度が数百度に達する発電所や自動車、エアコンの廃熱、熱せられたアスファルト・・・etc・・・
これらはある意味"暖房器具"と考えることができると思います。
中国やインドなどの急発展で近年ますます"暖房器具"が増加している訳ですよね。
これらの"暖房器具"の増加による影響はどうなんでしょう?
太陽活動が減少傾向であるにも拘らず気温が増加傾向なのは"暖房器具"
に原因があるのではと個人的には思っているのですが、いかがでしょうか?
by kazu (2010-07-08 06:50)
kazuさん、コメント有難うございます。これは荒っぽいですが計算することは
できて、温暖化への影響はあまりありません。そのうち記事にするつもりではいますが、ご自身で計算されるとよいでしょう。
あと、以前にコメント欄で次のような研究を紹介していただきました。
http://www.agu.org/pubs/crossref/2008/2008EO280001.shtml
これによれば人類の作り出すエネルギーは太陽のそれの0.015%だそう
です。
by MANTA (2010-07-08 07:19)
大変お待たせしました。
>過去の温暖化現象の理解と現在の温暖化現象の理解は何がどう違うのか?
>観測データとその解析結果は何を我々に教えてくれているのか?
>次の温暖化連載記事でお返事することにいたしましょう。
下記に書きました。
でもクロップサイエンスさん他の方々からはコメントを頂けませんね。
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2010-07-04
by MANTA (2010-07-24 16:36)
気候の変動とは、数十年規模のもの、数百年規模のもの、数千年あるいは数万年規模のものがあります。氷河時代の氷期や間氷期のサイクルは10万年ほどで、これは地球の公転と地軸の傾きに起因するというのが定説になりつつあります。太陽活動の変動による気候への影響とは、数百年〜数千年規模の変動で、例えば、現在と同じように温暖だったと言われる中世温暖期は1000年前、寒冷だったと言われるマウンダー極小期は300年前です。
人為的なCO2によって気候が変動し地球温暖化となると危機感を煽る人達は「太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない」と言います。もちろん気候変動とは、さまざまな要素がフィードバックとして働くものであり「太陽活動だけで」説明がつくものではない。しかし「CO2だけで」説明がつくものでもない。
少なくとも物理学を学んだ人であれば、気体と液体では比較にならないぐらいに比熱が異なることを知っているから、空気と海水を同じ温度だけ温めるのに、どれほどのエネルギーが必要かは想像がつくだろう。ましてや、海洋や気象に興味がある人ならば、表層の海水は海流によって移動していること、数百メートルの深さの海水はほとんど温度変化がなく、数百年のオーダーのゆっくりした変化だということを知っていますね。
気候は、海洋の状態に依存するわけです。海洋はつねに太陽放射と定常状態に向かい、数百メートルの深さの海水温度は数百年〜の時間スケールの変化ですから、太陽の11年周期のサイクルが気温変化と同期しないからといって、太陽活動の気候への影響を否定できるものではありません。
by TSUNE (2012-05-07 14:07)
TSUNEさん、たくさんこコメントありがとうございます。
>人為的なCO2によって気候が変動し地球温暖化となると危機感を煽る
>人達は「太陽活動だけでは地球温暖化は説明できない」と言います。
「煽る・煽らない」とは関係なく、科学的事実をみると、太陽活動では説明
できません。この記事や他の記事にまとめたとおりです。
>気候は、海洋の状態に依存するわけです。
その海洋もまた温暖化しています。これはどのようなメカニズムで起きるの
でしょうか?「長期間の気温変動の結果だ」とあいまいなご意見をお持ち
でしたら下記を御覧ください。
●地球温暖化は自然現象なのか?
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2010-07-04
科学には素直な気持ち(感覚に近い)が必要です。素直に見ると、なにか複雑な
プロセスで地球温暖化を作り出そうとするよりも、CO2による温室効果で考える
ほうがスッキリします。では。
by MANTA (2012-05-25 08:02)
立命古気候学セの中川先生のところが
地球磁場・銀河宇宙線と気候変化の報告を出されています。過去の気候変動はミランコビッチ理論と宇宙/太陽活動の変動をベースにして良いのではと言う考えです。
http://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=317767
by 引退技術者 (2018-02-04 14:17)
引退技術者さん、ありがとうございます。
拝見させていただきました。こういう研究はとても重要ですね。
(兵頭先生もよく存じております)
ただ、この発見と現在進行中の地球温暖化はまた別の問題かと思います。
by MANTA (2018-02-05 08:29)