電磁気で地震予知 ~地下は硬い柔らかいか?(12) [ 知識ゼロから学ぶ地底のふしぎ]
連載「電磁気と地震予知」に関連の深い記事が出てましたのでご紹介。
以前、この連載で「地下の構造が均一でない」ことが地震発生の複雑さを決める
要因の一つだと書きました。
●電磁気で地震予知 ~地下の"格差"が地震を起こす(6)
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-03-26
今回、岩手・宮城内陸地震でも地下の構造が均一でなく、断層の下に
「軟らかい、液状とみられる領域がある」ことが分かったそうな。
●岩手・宮城内陸地震 断層下に液状領域 誘発の可能性 (毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090607-00000004-maip-soci
図は地震学会ニュースレター(vol.20 no.4 )より(一番下に載ってます)
ちょっと以前の解析結果のようですが。
その他、観測時の様子はこちら、観測点分布はこちらにあります。
上記の毎日新聞の記事は端折りすぎなので補足すると、、、
・今回は、陸上で電磁場を測定することで地下の電気の通りやすさをイメージできる
物理探査法の一つ、「電磁探査」(正確にはMT探査)を行った。
・すると、地震を起こした活断層深部の下盤側には、電気抵抗の低い部分が認められた。
・電気抵抗が低いってことは水をたくさん含んだ地層ってことじゃね?
・ってことは柔らかいんじゃね?
ということのようです。 柔らかいとなんで大きな地震が起きやすくなるのか?については
こちらに書いてあるので見てね~
神戸・新潟だけじゃなくて、あちこちで仮説が検証されていく様子は興奮しますね。
今後の地下探査にますます期待したいと思います(期待してください)。
ところで!毎日新聞の記者はどこで取材したのかなぁ? 秋田大学のサイトには
プレス発表はなさそうなので、先日幕張での学会「地球惑星科学連合2009年大会」
の発表を記者さんが聞かれたのかな? でも坂中先生、あの解析ではまだまだですよ。
論文化、がんばってください!(坂中先生は私と同窓で、同い年なのだ)
----
もう1件ご紹介。こちらも私にとっては衝撃でした。
●2005年宮城県沖の地震(M7.2)後の海底の動き(海上保安庁)
~世界初!ひずみの解消から蓄積開始に至る動きを捉えた~
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KOHO/chikaku/kaitei/miyagi20090511/MYGW20090511.pdf
(PDFファイルが開きます)
図は上記PDFファイルより引用
この研究、面白いんですよ。また宮城県ですが、、、
・海上保安庁は、音波とGPSを組み合わせた「海底地殻変動観測」を宮城県沖で実施中。
(同庁は海図作りを担当しているので、こういう研究もされています。)
・太平洋プレートの沈み込みに伴って、宮城沖の海底も毎年6.5cmずつ陸側へ押し込まれて
いる様子がはっきりしてきた。
・それだけじゃない。2005年の宮城県沖の地震の前から海底地殻変動観測をやっているが、
2005年の地震に伴って海底は「東」へ動いたけど、2007年ごろから「西」へ押し込まれ
始めている。
・地下の活断層は地震のときに割れるけど、地震から2年くらいで再びくっついた?
・この調子でいくと、また地震が起きる? いつ?
ということが分かってきたようです。
特に興味深いのは、現在の海底は、2005年の地震発生「前」の場所よりも、さらに「西」
へと押し込まれてしまっているということ(PDFファイルの図1左側のグラフを参照)。
これは2005年のM7.2よりも大きな歪が地下に溜まりつつあることを意味しています。
今後の動向に注意が必要です。
----
注意が必要なんですけども、最初の秋田大学の研究成果にせよ、海上保安庁の
研究成果にせよ、なんだか天気予報のように、どこに歪が溜まっているのかが
分かる時代が近づいてきた、そんな気がしませんか?
以前、この連載で「地下の構造が均一でない」ことが地震発生の複雑さを決める
要因の一つだと書きました。
●電磁気で地震予知 ~地下の"格差"が地震を起こす(6)
http://goto33.blog.so-net.ne.jp/2008-03-26
今回、岩手・宮城内陸地震でも地下の構造が均一でなく、断層の下に
「軟らかい、液状とみられる領域がある」ことが分かったそうな。
●岩手・宮城内陸地震 断層下に液状領域 誘発の可能性 (毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090607-00000004-maip-soci
図は地震学会ニュースレター(vol.20 no.4 )より(一番下に載ってます)
ちょっと以前の解析結果のようですが。
その他、観測時の様子はこちら、観測点分布はこちらにあります。
上記の毎日新聞の記事は端折りすぎなので補足すると、、、
・今回は、陸上で電磁場を測定することで地下の電気の通りやすさをイメージできる
物理探査法の一つ、「電磁探査」(正確にはMT探査)を行った。
・すると、地震を起こした活断層深部の下盤側には、電気抵抗の低い部分が認められた。
・電気抵抗が低いってことは水をたくさん含んだ地層ってことじゃね?
・ってことは柔らかいんじゃね?
ということのようです。 柔らかいとなんで大きな地震が起きやすくなるのか?については
こちらに書いてあるので見てね~
神戸・新潟だけじゃなくて、あちこちで仮説が検証されていく様子は興奮しますね。
今後の地下探査にますます期待したいと思います(期待してください)。
ところで!毎日新聞の記者はどこで取材したのかなぁ? 秋田大学のサイトには
プレス発表はなさそうなので、先日幕張での学会「地球惑星科学連合2009年大会」
の発表を記者さんが聞かれたのかな? でも坂中先生、あの解析ではまだまだですよ。
論文化、がんばってください!(坂中先生は私と同窓で、同い年なのだ)
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もう1件ご紹介。こちらも私にとっては衝撃でした。
●2005年宮城県沖の地震(M7.2)後の海底の動き(海上保安庁)
~世界初!ひずみの解消から蓄積開始に至る動きを捉えた~
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KOHO/chikaku/kaitei/miyagi20090511/MYGW20090511.pdf
(PDFファイルが開きます)
図は上記PDFファイルより引用
この研究、面白いんですよ。また宮城県ですが、、、
・海上保安庁は、音波とGPSを組み合わせた「海底地殻変動観測」を宮城県沖で実施中。
(同庁は海図作りを担当しているので、こういう研究もされています。)
・太平洋プレートの沈み込みに伴って、宮城沖の海底も毎年6.5cmずつ陸側へ押し込まれて
いる様子がはっきりしてきた。
・それだけじゃない。2005年の宮城県沖の地震の前から海底地殻変動観測をやっているが、
2005年の地震に伴って海底は「東」へ動いたけど、2007年ごろから「西」へ押し込まれ
始めている。
・地下の活断層は地震のときに割れるけど、地震から2年くらいで再びくっついた?
・この調子でいくと、また地震が起きる? いつ?
ということが分かってきたようです。
特に興味深いのは、現在の海底は、2005年の地震発生「前」の場所よりも、さらに「西」
へと押し込まれてしまっているということ(PDFファイルの図1左側のグラフを参照)。
これは2005年のM7.2よりも大きな歪が地下に溜まりつつあることを意味しています。
今後の動向に注意が必要です。
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注意が必要なんですけども、最初の秋田大学の研究成果にせよ、海上保安庁の
研究成果にせよ、なんだか天気予報のように、どこに歪が溜まっているのかが
分かる時代が近づいてきた、そんな気がしませんか?
なるほど。呼び戻しがあるんですねぇ。
で、へぼな質問で申し訳ありませんが、毎年5-6cm動いているセンサーはどこへどう、へばりついてるのですか。
でどのように信号を発し、受けてるのですか?
最近つくばへ行くことが多いのです。
受けてはあの国土地理院のアンテナですか?
>軟らかい、液状とみられる領域がある
岩石も含めた粘弾性測定できればいいのでしょうね。
by yao (2009-06-13 00:52)
>これは2005年のM7.2よりも大きな歪が地下に溜まりつつあることを意味しています。
宮城県沖地震の平均の再来間隔が37年くらいだったと思いますけれども、次の宮城県沖地震でも2005年のM7.2の地震ですべった部分がまたいっしょに活動してすべるという事を意味しているのでしょうか?
なんか質問ばかりですみません( ̄ー ̄;
>なんだか天気予報のように、どこに歪が溜まっているのかが分かる時代が近づいてきた
プレート間地震の予知情報を出せる日が早く来るといいですね!
by 銀色霞渓 (2009-06-13 01:50)
>で、へぼな質問で申し訳ありませんが、毎年5-6cm動いているセンサー
>はどこへどう、へばりついてるのですか
yaoさん、そのとおり。陸上だと国土地理院がアンテナを全国に1000か所
くらい設置して観測しています(パラボラじゃないです。ロウソクみたいな、
街頭みたいなやつです)。でも電波の届かない海底でどうやって??
続きは海上保安庁のPDFファイル(上記)をご覧ください~
by MANTA (2009-06-13 07:32)
>次の宮城県沖地震でも2005年のM7.2の地震ですべった部分がまた
>いっしょに活動してすべるという事を意味しているのでしょうか?
銀色霞渓さん、あくまで私の予測ですが、
1) 2005年の地震の前から、ここの海底は西向きに押されていた
2) 2005年の地震で海底が東側に跳ね上がった
3) 2005年の地震の直後から、海底は再び西向きに押されているはずだが
2005年の断層面が地震の2年間位はくっついていないため、ここの海底
は西向きに動かない。
4) 2年たって断層がくっつきはじめたので、西向きに動き始めた。
5) 2005年の地震で動かなかった断層部分は地震前から現在まで
歪をため続けている(おそらく1978年の宮城県沖地震の震源域。
ここが次の宮城県沖地震の震源なのだろう)
参考:http://www.hinet.bosai.go.jp/topics/miyagi050816/
6) ただし2005年の地震の震源域あたりはすでに歪が解消されている
ので、次の宮城県沖地震のときに大きな歪エネルギー解放は行わない
だろう。
7) とはいえ次の宮城県沖地震の時に、2005年の断層も一緒に動いて
大きな海底地殻変動=津波を起こす可能性は十分考えられる。
といったところでしょうか?
by MANTA (2009-06-13 07:39)
あと年間10cmで太平洋プレートは日本列島を押し込んでいるのに、
列島側の海底は6.5cmしか動いていない。3.5cmはどこにいったのか?
福島沖に至っては3mだ。7cmもたらん。だれかウソでもいいので教えてちょ!
by MANTA (2009-06-13 17:32)
わかりやすい解説ありがとうございます。
次の宮城県沖地震も迫ってきてそうだし、このあたりの防災対策が急がれますね。
>3.5cmはどこにいったのか?
陸側のプレートをペロンとめくって見てみたいといつも思います(笑
by 銀色霞渓 (2009-06-13 20:26)
>陸側のプレートをペロンとめくって見てみたいといつも思います(笑
銀色霞渓さん、それができればねぇ…(笑)
でもそんな日に近付いているようにも思います。
by MANTA (2009-06-13 23:20)